リーダーやマネジメントに求められるインテグリティ<President’s Report vol.7>
株式会社ビズアップ総研 代表取締役
吉岡 高広
(2024/3/25)
皆さまこんにちは、
株式会社ビズアップ総研の代表取締役 吉岡高広です。
いつも弊社サービスをご利用いただき、誠にありがとうございます。
今回は、組織のリーダーやマネジメントに求められる資質の1つとして注目を集めているインテグリティについてお話ししたいと思います。
インテグリティ(integrity)とは、ラテン語のintegritasに由来し「全体性」「完璧性」「清廉性」を意味します。経営者がインテグリティを備えると、法律・社会通念に基づく振る舞いをするようになり、コンプライアンス(法令遵守)経営が実現すると考えられています。
主に欧米企業を中心に、経営方針やマネジメント層が持つべき価値観として使われてきましたが、近年は日本でもインテグリティに注目する企業が増えています。
一見すると、インテグリティはコンプライアンスと同一の意味に見えるかもしれません。しかし、コンプライアンスは国や企業が定めた法律や社内規則を守る他律的な行為なのに対し、インテグリティは個人が内面に持つ自律的な意識や規範を指します。
そんなインテグリティが注目を集める背景には、コンプライアンスの限界があります。
コンプライアンスの限界とは、コンプライアンスの重要性が高まっているのにもかかわらず、企業の不祥事が相次ぎ、コンプライアンスが機能不全に陥っている状況です。
コンプライアンスの運用が限界を迎えているのは、本来の語義から来る「遵守」「守ること」というイメージの先行が要因の1つとして挙げられます。
管理者側が「守ること」を強く意識するあまり、ルールを官僚的に適用した結果、本末転倒な結果を招いてしまっているのです。管理の縛りを強めたことで、従業員のエンゲージメントが低下する問題は、その筆頭事例といえます。このほかにも、コンプライアンスのために事務手続きが煩雑になったり、ITツール・サービスの利用が認められなかったりするケースも、過剰なコンプライアンスの弊害と捉えられるでしょう。
このように過剰なコンプライアンスは、企業利益を大きく損なわせます。したがって、コンプライアンスで企業が自滅しないためにも、インテグリティが必要なのです。
では、企業はどのようにインテグリティを発揮すればよいのでしょうか。
企業がインテグリティを発揮するには、企業の行動指針にインテグリティを明文化するのが有効です。例えば、大手外資系企業の事例として、企業の行動基準として「誠実原則(インテグリティ)」を掲げ、国内約8,000人の従業員にその遵守を求めています。
ただ誠実原則を掲げるだけではありません。社員が懸念を抱いた時、社外のヘルプラインに匿名で報告できる仕組みを整えるなど、誠実原則に関わる問題への対応にも万全を期しています。企業経営者の皆さまは、こうした先行事例を参考にしながら社内のインテグリティを高め、誠実で信頼される企業を目指すとよいでしょう。
当社のe-JINZAIの動画コンテンツでも、インテグリティに関する最新情報をご用意していますので、ぜひご活用いただければと思います。
今後も変わらぬご愛顧を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。