円安下で資産価値の上昇に寄与する可能性が高いとされる外貨建て保険の為替リスクを回避する方法について<President’s Report vol.23>
株式会社ビズアップ総研 代表取締役
吉岡 高広
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今回は、円安下で資産価値の上昇に寄与する可能性が高いとされる外貨建て保険の為替リスクを回避する方法についてお話したいと思います。
外貨建て保険とは、外貨で払い込んだ保険料を運用・積立し、満期保険金や解約返戻金、死亡保険金などを外貨で受け取る保険商品のことです。保険の種類には終身保険や個人年金保険、養老保険があり、選択できる外貨としては、安定した通貨である米ドルや豪ドル、ユーロが一般的です。
そんな外貨建て保険には、さまざまなメリットがあります。1つは、低金利が続く国内の利率より比較的高い金利で運用できる点です。金利が相対的に高いため、資産を大きく増やせる可能性があるでしょう。
外貨建て保険は、資産減少のリスク分散にも役立ちます。実際、現在は円安によって外貨の価値が上がっているため、外貨建て保険の保有により円の資産の目減りを防げるでしょう。
また外貨建て保険は、一般的に保険料の一部が積み立てられ、満期時や解約時にお金を受け取れる貯蓄性のある保険であると同時に、投資性の強い保険でもあります。そのため、万が一の事態へ備えつつ、外貨を利用した資産形成を行うことができます。
一方で、外貨建て保険にもデメリットがあります。最大のデメリットとされるのが、円相場の変動によって、払い込む保険料や受け取る保険金などが変わってしまう為替リスクです。
たとえば、保険料が1万米ドルで保険料の払込方法が一時払いの米ドル建て終身保険に、1米ドル=100円のときに加入したとします。つまり、加入時に払い込んだ保険料は100万円。外貨建て保険の持つメリットから考えれば、為替レートの変動により高い運用成果を期待していることでしょう。
しかし、日銀のマイナス金利政策解除の影響により、為替レートが1米ドル=90円になったと仮定します。そのときに保険期間の途中で解約した場合、解約返戻金は90万円となり、保険加入時に払い込んだ保険料を割り込んでしまうのです。
もちろん、為替レートが加入時のレートより円高になる前に、保険を解約してしまえば、為替リスクを回避できます。しかし、外貨建て保険は積立保険の一種。短期での解約は理想的な運用方法とはいえません。為替リスクと付き合い、そのリスクを減らす対策を講じるのが現実的な対応になるでしょう。
為替リスクを減らす対応策として考えられるのが、平準払いの採用です。平準払いとは、月払いや年払いで、決まった時期に保険料を払い込む方式のこと。支払うときに毎回異なる為替レートが適用されるため、一時払いと比較して為替変動リスクは抑えられるでしょう。
円高対策で外貨のまま受け取れる保険商品を選択するのも有効です。普段から米ドルや豪ドルを使う可能性がある方は、そのまま外貨で保険金を受け取ることで円に換金する際の為替リスクを回避できるでしょう。
このように、外貨建て保険の為替リスクを回避する方法は複数ありますので、ご自身に合う方法を選んでみてください。
当社では今後も、会計・税務のコンテンツや最新情報を提供して参りますので、
是非、ご活用いただければと思います。
今後も変わらぬご愛顧を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。