税理士はネット時代の『水先案内人』へ<税理士のヒヤリ・ハット体験談 第22回>

税理士法人 古田土会計 社員税理士
土田大輝

2022/1/31

第22回 税理士はネット時代の『水先案内人』へ


今年もコロナ禍の中、確定申告の時期が近づいてきました。今年からふるさと納税の寄附金控除について、ふるさと納税の取扱いサイトで国が指定した『特定事業者』から、「寄附金控除に関する証明書」の発行を受け、それを使って確定申告ができるようになります。また、スマホでの申告についても、利便性が年々向上している印象です。わからないことがあれば、ネットで検索すれば国税庁HPのタックスアンサーやよくある間違いに関する情報が公表されており、もはや確定申告の手続きはもちろん、一般的な税の相談内容であれば、我々税理士を頼りにされなくても正確な答えにたどり着くようになっているように感じます。
税理士業界としては、過去の栄光や凝り固まった業界内の常識(しばしば他から見ると非常識に感じられる)を払しょくし、ネット時代の流れに乗りながら、その中で絶えず先を示していくようにしなければいけませんね。
 
2022年、今年の中で大きな変化は、民法の成年年齢の変更だと思います。
今度の4月1日から、成年年齢が今の20歳から18歳に変更されます。それに伴い税制においても、20歳以上の年齢制限がされている諸制度について、過去の税制改正で順次18歳への引き下げが発表されています。

【18歳からに年齢引き下げになる制度】
・相続時精算課税の受贈者年齢
・結婚子育て支援の贈与特例
・事業承継税制の後継者年齢 など
住宅資金贈与の特例も、昨年12月に発表された来年度税制改正大綱において、年齢の引き下げ案が盛り込まれています。
 
子を持つ親としては、「18歳から大人なのか」といろいろな気持ちが交錯しますが、法務省のHPに記載されている国の考えとして、
「世界的に成年年齢を18歳とするのが主流であり、成年年齢を18歳に引き下げることは,18歳,19歳の若者の自己決定権を尊重するものであり,その積極的な社会参加を促すことになると考えられます。(抜粋)」
ようです。
 
確かに昨年の東京オリンピックで若い選手たちが躍動していたり、ネット動画サイトやオンラインゲーム業界でも、多くの若年者が活躍しています。時代の流れなのかもしれません。
 
ところで、ヒヤリハットとして、一つ共有しておきましょう。
4月1日から成年年齢の概念が変わりますが、税制の適用においては【その年1月1日時点の年齢で判断する制度】であることです。
これは、昨年10月掲載の
税理士のヒヤリ・ハット体験談<第19回>
に記載していますが、この18歳の適用についても、1月1日時点での判定になります!
 
これは、よくよく考えると当然わかるのですが、落とし穴とも言えますね。
是非適用やお客様へのご案内の際には、その点を強調してお伝えください。
 
このように、近年急速に変化する環境下で、利便性は向上していますがたくさんの情報があふれる時代になっていますが、我々の役目はその中で誤った判断をお客様にさせないことや、納税に関するリテラシーを向上させ、前向きな正しい申告をするように促していくことだと思います。私も、そのネット時代の『水先案内人』の役割を果たしていきます。
今年も“ヒヤリハット”の発信を通じて、税制の奥深さや面白さ、そして恐ろしさをお伝えしていきます。どうぞよろしくお願いします!

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