オンラインカジノ・スポーツベッティングの利用は犯罪です<ネット時代に必要な企業防衛の極意vol.33>

昨今のサイバー攻撃強化で改めて注目度が高まっているセキュリティ対策。2022年4月に施行された改正個人情報保護法でも、個人情報の利用や提供に関する規制が強化されています。一方で、ネット上の情報漏洩や誹謗中傷といった事例も近年、急増しています。当コラムでは、こうしたネット上のリスクや対応策について詳しく解説します。
※本記事は、会報誌『BIZUP Accounting Office Management Report』vol.137(2025.3)に掲載されたものです。
弁護士法人戸田総合法律事務所 代表
中澤 佑一 先生
オンラインカジノを利用した芸能人のニュースが話題になっています。近年、インターネットの普及により、オンラインで手軽に楽しめるカジノやスポーツベッティングをよく目にするようになりました。全く違法性のない適法なサービスかのように光の当たる場所で堂々と広告がなされていた例もあり、その危険性や違法性に関して正確な理解が広がらなかった面もありますが、日本国内ではこれらのサイトを利用して賭け事をするのは、完全な違法な行為です。グレーでもなんでもありません。
今回ニュースになったように警察もオンラインカジノの違法性について明確に警告を発しており、利用者の摘発にも積極的になってきました。警察庁の発表では、ここ3年の間にオンラインカジノに係る賭博事犯について、令和3年中127人、令和4年中59人、令和5年中107人と、合計300人近くを検挙したとのことです。
バレないから大丈夫ということも言えなくなってきています。
まず、日本では、金銭や財産を賭けるギャンブル行為は賭博罪として犯罪です。犯罪に当たる賭博とは、金銭や財産を賭けて偶然の勝敗を争う行為を指します。オンラインカジノは思いっきり賭博ですし、格闘技やスポーツの勝敗を予想して金銭を賭けるスポーツベッティングも、賭博罪に該当し日本国内で行うことは違法行為となります。
海外のサービスであれば日本の法律は適用されないという誤解もありますが、賭博罪はその行為の一部でも日本国内で行われれば、日本の法律が適用されて犯罪が成立します。日本からの利用はすべて犯罪と考えましょう。
オンラインカジノで賭博行為を行った場合、単発でも賭博罪が成立し、常習的に行っている場合には常習賭博罪が成立します。法定刑はそれぞれ
● 賭博罪 : 50万円以下の罰金または科料
● 常習賭博罪 : 3年以下の懲役
です。
また、紛れもない犯罪ですから信用の低下などの社会的なペナルティもあります。有名人や企業経営者であれば、営業的な損失も避けられません。社会的信用は失墜しますし、常習賭博罪で懲役刑となった場合には、社会生活への影響は計り知れません。
なお、アフィリエイトやインフルエンサーマーケティング等を利用してオンラインカジノが広告を出している例があります。広告を行うこと自体は、必ずしも犯罪には当たりませんが、今後は、グレーではなく違法という認識も今回のニュースで広がったことから、コンプライアンス上の要請も厳しくなってくるはずです。企業としてはそのような違法な事業の広告に関与するべきではありません。広告代理店等でこれまでに取引があった企業は、契約を解除して今後は関係を断つなどの対応が必要です。

中澤 佑一
なかざわ・ゆういち/東京学芸大学環境教育課程文化財科学専攻卒業。 上智大学大学院法学研究科法曹養成専攻修了。2010 年弁護士登録。2011 年戸田総合法律事務所設立。 埼玉弁護士会所属。著書に『インターネットにおける誹謗中傷法的対策マニュアル』(単著、中央経済社)、 『「ブラック企業」と呼ばせない! 労務管理・風評対策Q&A』(編著、中央経済社)など。