経営成功のために必要な高い志、目標と努力(小宮一慶先生 経営コラムVol.62)
株式会社小宮コンサルタンツ 代表取締役CEO
小宮 一慶 先生
2023/1/26
本コラムでは『小宮一慶の「日経新聞」深読み講座』等の著書を持ち、日経セミナーにも登壇する小宮一慶先生が経営コンサルタントとしての心得やノウハウを惜しみなくお伝えします。
経営成功のためには、経営者が高い志を持つことです。自社を通して何を成し遂げようかということです。企業で言えば、「目的」、「ミッション」、「パーパス」と呼ばれるもので、「社会をより良くする」、「働く人を幸せにする」などです。自社が何のために存在しているかを示したものです。
そして、その目的は、多くの人が支持してくれるものでなければなりません。経営者の私利私欲が目的では、お客さまや社会、社員は同調してくれるということはないでしょう。
多くの人は、私同様、聖人君子ではないので私利私欲をなくすことは難しいと思います。しかし、高い志や目的を掲げ、それを実践していたほうが、間違いなく業績も上がり、多くの利益を得ることができます。結果として富や名声を得ることは、私利私欲ではありません。私利私欲を追求しての経営とは根本的に違うのです。
松下幸之助さんは『道をひらく』の中で、「志を立てよう。本気になって、真剣に志を立てよう。生命をかけるほどの思いで志を立てよう。志を立てれば事はもはや半ばは達せられたといってもよい。」と述べておられます。
次は、高い目標を持つことです。「目的」や「ミッション」は、存在意義ですが、「目標」は、具体的な姿です。到達したかしないかが分かるものです。たとえば、「業界で日本一、世界一の売上げになる」などです。
目標の最上位に来るのが「ビジョン」です。企業の将来像です。それに向かって社員全員が力を合わせて全力で取り組むことが必要です。
また、目標は、お客さまに対しての商品やサービスの目標とともに売上高や利益のことも少なくありませんが、なぜその売上高や利益が必要かの意味を経営者はきちんと説明しなければなりません。目的やビジョン達成のためなどです。
そして、稲盛和夫さんではないですが、これらの「目的」や「目標」を達成するために、「誰にも負けない努力」をすることが大切です。「誰にも負けない努力」とは「自分なりの努力」とは違います。多くの方は努力をしていると思いますが、大抵の場合、自分なりの努力です。それでは十分でないことも少なくなく、世間が認めてくれるようなアウトプットが出るレベルの努力を最低限しなければなりません。
私は「なれる最高の自分になる」ということをよく話しますが、世間が認めてくれるようなアウトプット、さらに言えば、今までになかったようなアウトプットを目指して、経営者も従業員もなれる最高の自分を目指すことが大切だと思います。