2022年の日本経済(小宮一慶先生 経営コラム Vol.25)
株式会社小宮コンサルタンツ 代表取締役CEO
小宮 一慶
2022/1/17
本コラムでは、『小宮一慶の「日経新聞」深読み講座』等の著書を持ち、日経セミナーにも登壇する小宮一慶先生が、経営コンサルタントとしての心得やノウハウを惜しみなくお伝えします。
※本記事は、会報誌『BIZUP Accounting Office Management Report』vol99.(2022.1)に掲載されたものです。
2022年の日本経済
2020年初頭から世界に大きな影響を及ぼした新型コロナウイルスでしたが、2021年に入っても、その猛威からまぬかれることはできませんでした。とくに「デルタ株」が瞬く間にまん延し、多くの国で感染者が急増しました。
しかし、そんな中にあって、ワクチンの接種が進んだことで、コロナ下での経済活動の復活も顕著になったのも2021年でした。ウイズコロナです。米国では、2021年は3四半期連続で景気拡大しました。欧州では、第一四半期こそコロナの影響でマイナスでしたが、それ以降は大きく回復しています。中国は、「共同富裕」の名のもとに不動産業界などの締め付けを行った結果、経済成長率は鈍化していますが、それでも成長を維持しています。台湾、韓国なども、2021年は成長を取り戻した年でもありました。
その背景には、ワクチン接種の進展とともに、飲食やイベントなどへの規制緩和の効果が大きかったと言えます。
一方、日本の2021年の成長率は、1-3月期はマイナス、4-6月はわずかにプラス、そして7-9月は再びマイナスといった状況です。日本でも今では接種率は、欧米並みかそれ以上となっていますが、接種の出遅れが経済回復を阻んだと言っていいでしょう。
そんな状況ですが、もう少し細かく日本経済の状況を見ると、製造業は比較的堅調ですが、サービス業などの非製造業は低調が続いています。そんな中、感染者数の急減から、10月には緊急事態宣言などが解除され、人流が増え、経済活動が徐々に活発化しています。しかし、2019年のレベルまでは、なかなか戻っていないのではないでしょうか。
今後、多くの方が恐れているのが感染の再拡大でしょう。ワクチン接種開始の遅れが、日本の感染再拡大の遅れの原因かもしれません。
東京では、一日の感染者数が10名前後という日も長く続きました。これは、100万人にひとり程度の確率です。それでもほとんどの人はマスクをしたままです。電車でもマスクの着用を促しています。律儀で几帳面なのです。
次の感染が来た際には、政府は欧米にならって感染者数ではなく、重症者数や病床使用率などから、緊急事態宣言を出すかどうかを検討しているようですが、感染者数が増えれば、日本人は文字通り、「自粛」をするのではないかと私は懸念しています。マスコミもあおると思います。そうすると、それでなくとも回復が遅れている経済の回復がさらに遅れる可能性もあります。
いずれにしても、2022年もコロナの影響を受ける年になりそうです。そうした中、資金の十分な確保と、「できることはすべてやれ、やるなら最善を尽くせ」の気持ちで新しい年を乗り切っていただきたいと思います。