激変!2025年介護現場の羅針盤:補助金と新要件、勝ち抜くための戦略とは?<小濱道博先生の介護特化塾 vol.03>

本コラムでは、介護経営コンサルタントとして、日本トップクラスの小濱道博先生が、介護業界の「知って得する」トピックスを取り上げて解説します。会計事務所の皆様に、介護マーケットの魅力・重要性のほか、介護特化を進めるためのヒントや戦略などを毎回お届けします。
※本記事は、会報誌『BIZUP Accounting Office Management Report』vol.138(2025.4)に掲載予定となっております。


小濱介護経営事務所 代表
C-SR(一社)介護経営研究会 専務理事
C-MAS 介護事業経営研究会 最高顧問
小濱 道博 先生

2025年4月、介護業界は大きな転換点を迎える。新たな補助金制度の導入、そして職場環境等要件の変更。これらの変革は、介護現場に一体何をもたらすのか。事業所は、この変化の波をどのように乗りこなし、持続可能な発展を遂げればよいのだろうか。

まず、焦点となるのは「介護人材確保、職場環境改善等補助金」である。この制度の核心は、事業所が柔軟に資金を活用し、人材確保と職場環境改善を両立できるよう支援することにある。従来の処遇改善加算のように、賃金引き上げにのみ資金を充てる必要はない。例えば、介護助手の雇用促進、ICT導入に伴う研修費用の負担軽減など、多岐にわたる使い道が認められる。

しかし、注意すべきは、この補助金が一時的な支援に過ぎないという点である。継続的な財源とはなり得ないため、事業所は長期的な視点に立ち、戦略的に資金を活用する必要がある。例えば、補助金を活用して業務効率化を図り、将来的な人件費の抑制に繋げる、あるいは、研修体制を強化し、職員の定着率向上を目指すといった工夫が求められる。

次に、2025年4月から変更される職場環境等要件について掘り下げる。この変更は、介護職員等処遇改善加算の算定要件に深く関わり、事業所運営に大きな影響を及ぼす可能性がある。具体的な要件は、今後の情報公開を待つ必要があるが、いずれにせよ、職員の働きがいを高め、質の高い介護サービスを提供できる体制を整備することが求められるだろう。

この新要件への対応として、適用猶予措置が設けられている点は注目に値する。しかし、猶予期間があるとはいえ、事業所は決して油断してはならない。猶予期間を有効活用し、計画的に準備を進めることが重要である。例えば、職員の意見を積極的に取り入れ、職場環境改善のアイデアを募る、あるいは、外部の専門家を招き、研修会を実施するといった取り組みが考えられる。

これらの制度変更を踏まえ、介護現場が直面する課題と今後の展望について考察する。まず、補助金制度は、事業所の経営状況を一時的に改善する効果が期待できる。しかし、根本的な課題である人材不足の解消には、継続的な取り組みが不可欠である。例えば、地域と連携した人材育成、あるいは、外国人介護士の受け入れ体制の整備などが挙げられる。

一方、職場環境等要件の変更は、事業所の組織体制や職員の働き方に大きな変革をもたらす可能性がある。しかし、この変革を成功させるためには、経営層だけでなく、職員一人ひとりが当事者意識を持ち、積極的に参加することが重要である。例えば、定期的な意見交換会を開催し、風通しの良い職場環境を作る、あるいは、キャリアアップ支援制度を充実させ、職員のモチベーションを高めるなどが考えられる。

今後の介護業界は、ICTの活用がますます進むだろう。AIやロボット技術の導入により、業務効率化やサービス品質の向上が期待できる。しかし、これらの技術を導入するだけでなく、職員が使いこなせるよう、研修体制を整備することが重要である。  最後に、これらの変革を乗り越え、持続可能な介護現場を実現するためには、事業所だけでなく、行政、地域社会、そして国民全体が協力し、支え合うことが不可欠である。介護に関わる全ての人が、それぞれの立場で課題解決に向けて努力することで、高齢者が安心して暮らせる社会を実現できるだろう。

小濱道博

こはま・みちひろ/介護経営コンサルタントとして、全国各地で介護事業全般の経営支援、コンプライアンス支援に 特化した活動を行う。2009年にC-MAS 介護事業経営研究会の立ち上げに関与。 税理士、社労士など200を超す専門士業事務所との全国ネットワーク網を構築し、 国内全域の介護事業経営者へのリアルタイムな情報提供と介護事業経営の支援活動を行う。 介護経営セミナーの講演実績は、全国で年間300件以上。 書籍の大部分はAmazonの介護書籍で第一位を獲得。

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