判明した介護経営DBの実務負担とシステム上の戸惑い<小濱道博先生の介護特化塾 vol.02>

本コラムでは、介護経営コンサルタントとして、日本トップクラスの小濱道博先生が、介護業界の「知って得する」トピックスを取り上げて解説します。会計事務所の皆様に、介護マーケットの魅力・重要性のほか、介護特化を進めるためのヒントや戦略などを毎回お届けします。
※本記事は、会報誌『BIZUP Accounting Office Management Report』vol.137(2025.3)に掲載されたものです。
小濱介護経営事務所 代表
C-SR(一社)介護経営研究会 専務理事
C-MAS 介護事業経営研究会 最高顧問
小濱 道博 先生
前回のコラムに続き、判明した介護経営DBの介護事業者への負担とシステム上の課題について報告する。
今年1月6日に運用開始された介護サービス事業者経営情報データベースシステム(介護経営DB)への経営情報提出に関し、2月以降、「経営情報の提出は必要か」「厚労省のホームページの内容が分からない」「GビズIDは必要か」といった問い合わせが急増している。提出期限は2023年度決算分で今年3月31日と定められているが、実際の運用画面は操作方法や入力項目が分かりにくく、厚労省発行の通知やQ&Aの理解が前提となっているため、多くの事業者が戸惑っている。
具体的には、基本情報の入力において法人が採用している会計基準や消費税の処理方法の報告が求められるが、画面上に具体的な指示がなく、会計知識がないと対応が難しい。また、対応する会計ソフトが少なく手入力が必要となるうえ、原則として事業所ごとに入力しなければならず、各事業所に1からの番号をあらかじめ割り振ってから入力する必要がある。この番号の管理や、入力済みの財務情報を正しく事業所に紐付ける作業は、システム利用者にとって大きな負担となっている。
さらに、事業所ごとの職種別人数の入力も複雑だ。ケアマネジャーやサービス提供責任者、送迎ドライバーなどは一旦「その他」区分にまとめて記載し、その後再度、該当する職種ごとに人数を入力する必要がある。加えて、派遣社員の報告人数からの除外など細かいルールも存在し、これらのルールは入力マニュアルを読んでいても直感的に理解しにくい状況だ。実際、事業所ごとの勤務実績表とは別に、資格別の人数まで集計しなければならないため、過去の資料を確認するなどの追加作業が生じ、法人全体で多数の事業所を抱える事業者にとっては膨大な労力が必要となる。
また、外部委託を検討する場合でも、GビズIDを用いた外部委任機能が経営情報提出には利用できず、法人側が個別にGビズIDメンバーのIDを発行し、さらに委任を受ける側は法人毎に専用のメールアドレスを用意する必要があるため、会計事務所などのアウトソーシング受託業者にとっては負担が大きい。こうした状況の中、システムの操作理解や入力ルールの把握が事前準備として求められ、特に初めて利用する事業者は多大な戸惑いと手間を強いられている。
現状では、法人単位での一括報告が特例として認められており、過年度分および2023年度・2024年度分は法人一括で提出することが推奨される。この方法なら、職種別人数もまとめて報告でき、システム理解にかかる時間と事務負担を最小限に抑えられる。今後、2025年度以降の報告に向けては、会計ソフトの対応状況や会計事務所との連携を踏まえた適切な対応が求められるが、いずれにしても、提出期限までに正確な報告を完了させるため、迅速な対応と十分な準備が不可欠である。

小濱道博
こはま・みちひろ/介護経営コンサルタントとして、全国各地で介護事業全般の経営支援、コンプライアンス支援に 特化した活動を行う。2009年にC-MAS 介護事業経営研究会の立ち上げに関与。 税理士、社労士など200を超す専門士業事務所との全国ネットワーク網を構築し、 国内全域の介護事業経営者へのリアルタイムな情報提供と介護事業経営の支援活動を行う。 介護経営セミナーの講演実績は、全国で年間300件以上。 書籍の大部分はAmazonの介護書籍で第一位を獲得。