ゼロからの挑戦と資金戦略の裏側 会計士起業家が教える「18億円」獲得の秘訣 Vol.2

ゼロからの挑戦と資金戦略の裏側 会計士起業家が教える「18億円」獲得の秘訣

株式会社xenodata lab.(ゼノデータラボ)代表取締役社長 関 洋二郎

AIを活用して将来の経済を読み解く。確かな予測を導き出し、企業の意思決定を支援する―。そうしたサービスで急成長を続けているのが株式会社xenodata lab.(ゼノデータラボ)だ。同社が4度の資金調達で獲得した資金は、総額18億円を超えた。トップとして、躍進の先頭に立っているのが代表取締役の関洋二郎氏。公認会計士としてのキャリアを持ちながら、若くして起業家としての道を歩む関氏に同社の未来、そして士業資格者が起業する魅力についてお話を伺った。

事業を始める前に出会い、取り組んだ仕事
それらすべてが、起業に向けたヒントになった

大学在学中に公認会計士2次試験に合格され、在学中から、
あらた監査法人(現:PwC Japan有限責任監査法人)に勤務されていたのですね。
そのまま公認会計士の資格を生かしたお仕事を続ける、というお考えはなかったのでしょうか。

漠然とですが、小学生の頃から「起業したい」と考えていたので、会計士として働き続けるという選択肢は全くありませんでした。会計士の勉強を始めたのも、商学部の学生時代に「ストイックに、経済関係のことを勉強してみたい」と何の気なしに考えたからで、資格自体に強いこだわりはありませんでした。
ただ、会計士を目指す中で学んだことは、今の経営でもかなり生かされています。ですから、資格取得を目指したこと自体は間違っていなかったと思っています。


会計士の資格をお持ちですと、たとえばコンサルタントとしての道や会計事務所の独立開業など
色々な道が選べたと思います。その中で、事業会社を興す道を選んだのはなぜなのでしょうか?

はっきり言って好みの問題で、「サッカーが好きか、野球が好きか」みたいな話だと思います。私が魅力を感じたのが、「事業会社」の方だった。コンサルはあくまで、事業会社のサポート役のように見えたのです。ですが、コンサルが好きな方にとっては逆でしょう。大前研一さんのような「コンサルのトップ」と、孫正義さんのような「起業家のトップ」のどちらを目指したいのか、と自問したときに、あくまで私の場合はその答えが孫さんだったというだけだと思っています。
会計事務所の設立も、そこにプライオリティを置くことはありませんでした。会計や監査の分野で見れば、「この人にはかなわない」という方が何人もいましたし、それに、基準や規範を守る公認会計士の働き方よりも、規範を打ち破っていくような働き方に魅力を感じてもいました。自分に向いていない上、トップも取れない分野に飛び込もうとは考えられませんでした。


監査法人時代の話に戻りますが、当時はどのような仕事をされていたのですか?

エンジニアばかりが在籍しているような、IT監査の部署に志願し、配属されました。あえて志願したのには、大前研一さんの書かれた本との出会いが大きかったと思います。学生時代読みふけり、その後の人生の選択に大きく作用したと感じています。大前さんは本の中で、これからの時代、ビジネスにとって重要になるのは「英語・財務・IT」だと記されていました。私の場合、財務は公認会計士の試験と実務で頑張ったので、起業するには、さらに英語もITもやらないと…と考えたのです。システム監査やデータ監査などITに関する知識に比重を置いて学びました。

そのIT監査部門での経験が、今の事業にもつながったのでしょうか。

業務を通じて財務とITの親和性の高さに気づき、「これで何かできる!」と直感的に思いました。大きな可能性を感じましたね。一方で、 先ほども申しましたが、会計事務所ではなく事業会社を立ち上げたいという思いを強く持っていましたので、事業会社に所属しながら、ITや、事業そのものについて、より深く学びたいと考えるようになったのです。そんなときに、事業開発部門で迎えてくださったのが株式会社ユーザーベースさんです。国内最大級のソーシャル経済メディアでもある「NewsPicks」が有名ですが、当時すでに財務とITに着目した情報プラットホーム「スピーダ」という事業を始められていて、その点にも魅力を感じて転職しました。


「士業として」だけじゃない
社会から強く求められる知識を生かして

今のお話に出てきた「財務とITの親和性」についてですが、
具体的にどのような点にそれを感じられたのでしょうか?

財務は単なる数字の羅列ではなく、数字をはじめとしたあらゆる情報や統計が集約されたデータなのです。データを効率的かつ正確にまとめ、分析するのに、ITほど役立つ技術はないでしょう。当時そうした親和性はまだまだ注目されておらず、伸びしろのある領域だと感じました。私は公認会計士ですから、財務はお手の物です。ITにそこまで知見があった訳ではありませんが、業務ではそれなりに深く関わっていましたし、公認会計士でここまでITを勉強した者は少ないと密かに自負していました。自分の存在意義はここにこそあるのではないか、と感じたのを覚えています。

その後、公認会計士の資格や知識を持って起業された訳ですが、
そうしたご経験はどのようにいかされましたか?

起業当時は、公認会計士の知識が本当に役立ちました。会社法の何条はこうだった、設立無効の訴えにならないようこうしないといけない、等々。 ただ、今になって考えると、こうしたことを抱え込みすぎて、自分の時間を割きすぎたとは思っています。自分でなくてもできることは外注するなり、他の人の力を借りる。そして、自分は事業に集中する。そうした分業が可能だったのではないかと考えています。何でも自分でやり過ぎないというのは大事なことだと思います。

最後に、現在会計士や税理士を目指して勉強中の方や、
資格合格の先に起業を考えている方にメッセージをお願いいたします。

私自身も受験でとても大変な思いをしたので応援したい気持ちでいっぱいです。その頑張りの先に輝かしい未来が待っていると思いますので、頑張ってほしいですね。
また、私は事業を自ら興すという分野に自分の生き方がぴったりと合うと感じたので、起業の道を選びました。そうして監査法人の外に出てみて強く感じたのが、会計に関する知識やスキルは、社会の中で強く求められているという現実です。AIで代替できる分野もあるかもしれませんが、士業にもまだまだ可能性があります。
起業や独立だけでなく、企業の経理や財務・管理部門などで力を発揮するという道もあるでしょう。いずれの道を選んだとしても、大きく社会に貢献できる、ニーズの高い分野に携われる存在になることができると思います。ぜひ自信を持って、ご自身の志向や生き方にマッチした道を選んでほしいと思います。

プロフィール
株式会社xenodata lab. 代表取締役社長 関 洋二郎

◎せき・ようじろう/慶應義塾大学商学部在学中に公認会計士2次試験に合格し、在学中よりあらた監査法人(現PwC Japan有限責任監査法人)にて、会計監査、IT監査に従事。2012年に株式会社ユーザベースに入社し、事業開発部責任者を歴任。2016年、xenodata lab.を創業

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