属人化こそ私の生きる道
浪速の女性税理士が語る「女性起業家」のリアルと独自のSNS戦略とは? Vol.1

西村税理士事務所 西村 真衣

西村税理士事務所 西村 真衣

結婚、出産を経て、自らの事務所を立ち上げた税理士の西村真衣先生。ライフワークとしているのが、女性起業家のサポート。家事・育児と開業を両立させた経験を糧に、起業家のよき相談相手として日々、奮闘している。女性起業家との接点は、SNS。積極的な投稿で情報発信に取り組む一方、SNSの知見をいかした西村先生ならではのサービスも展開している。女性サポートという初心を貫きながら、新たなビジネスにも果敢に挑む西村先生の思いに迫った。

家事も育児も仕事も・・・
「スーパーウーマン」は大変

事務所のホームページでは、「女性起業家を応援します」というメッセージが強調されています。
このメッセージには、どのような思いが込められているのでしょうか?

私と同じような立場に置かれた女性を応援したい、ということに尽きます。
2021年、「西村税理士事務所」を立ち上げました。私の場合は父も税理士で、今も会計事務所を経営しているのですが、「起業」に挑戦し、経営者としての経験を積みたくて、あえて新たな事務所を立ち上げました。
ただ当時は、下の子どもがまだ小学校4年生で、上の子も中学校に上がったばかりでした。付きっきりで面倒を見る必要はない年齢ですが、それでも、食事の準備や洗濯など、家事全般はこなさなければなりません。
自分なりにですが、家事と仕事を両立してきた私だからこそ女性起業家のためにできることがあるのではないか。開業当時から変わらず、その思いを持ち続けています。

男性が育児休暇を取得したり、「主夫」という言葉が広がったりしていますが、
実際には、家庭における女性の役割はまだまだ大きいのですね。

女性にかかる負担は以前より増していると、私は感じています。結婚し、出産を経て、働くことも求められる。さらに、専業主婦並みに家事や育児にもコミットし続けなければならないような状況です。いわば、「スーパーウーマン」でなければ務まらないというのが、現代の女性なのだと思います。
私の夫はサラリーマンで、休日は率先して家事をやってくれています。ただ、今も平日の家事は私が担っていることが多いです。夜に洗濯機を回しながら、翌日の子どもたちの食事の下準備をして、朝はお弁当を作って、というような感じの毎日を送っています。

長く根付いてきた習慣というのは、簡単には変わらないということなのでしょうか?

そう思います。子どもを産むのは女性ですし、出産直後にバリバリ働くというのは現実的には難しいでしょう。要するに、子どもができると、女性の方が家にいる時間が長くなる訳です。その後も、家事の中心を女性が担っていかざるを得ないというのは、当然の流れなのかもしれません。
とはいえ、女性がキャリアを継続したり、起業など新たな挑戦に取り組んだりするのも十分可能だと、私は思います。私自身、家事や育児をしながら税理士試験の勉強に取り組み、資格を取得しました。その過程で、私と夫の母親たちには、本当に助けられました。試験の日など、どうしても家を空けなければならないタイミングではいつもサポートしてもらいましたし、2人が忙しい場合は私の妹たちが家事を手伝ってくれました。こうした支えがなければ、その後の起業もなかったと思います。

西村税理士事務所 西村 真衣
西村税理士事務所 西村 真衣

大切なのは「相談相手」
経験と実績で顧客に寄り添う

周囲の協力が欠かせない、ということですね。

仰る通りです。それは、起業という挑戦においても全く変わらないと思います。女性が起業を躊躇する理由は、妊娠や出産でキャリアが絶たれ、出産後も、家事や育児、介護などに追われて仕事との両立が難しい点にあります。しかし、いざというときに協力を求められる相手がいれば、その点はクリアできるのではないかと思います。さらにいえば、ちょっとした相談ができる相手がいれば、心も軽くなるのではないでしょうか。私は、顧客の方々の家事をお手伝いすることはできませんが、よき相談相手ではありたいと常に思っています。それが、女性起業家を支えることにつながると信じているからです。


女性が起業を躊躇する理由として「相談相手の不在」が指摘されることがありますが、
先生のような経歴の女性税理士であれば相談相手としては心強いでしょうね。

女性の場合、まず初めに相談するのがご自身のご家族、というパターンが多い気がします。身近にいる信頼できる方に相談するのは、確かに当然のことです。私も、起業することを夫に相談しました。しかし、それはあくまでも、これからの生活に関することについてです。起業そのものの相談は、いくら寄り添ってくれる家族だったとしても、専門家ではありませんから難しいものです。
起業に際しての困りごとを解決するには、やはり、専門家である税理士が最適の相談相手だと思います。私自身も日々変わるライフスタイルと起業を経験してきた一人だからこそ、そういった不安に寄り添い、解決の一手を提案できる税理士でありたいと思っています。

女性同士ですと、ざっくばらんに相談することができそうですね。

女性税理士だから親しみ易い、という感覚は持っていただけているかもしれません。

西村税理士事務所 西村 真衣

例えば、女性起業家には表面上、会社の規模拡大にそれほど関心を示さない方も多くいらっしゃいます。
ただ、「起業家」であれば誰しも、自社を宣伝し、成長させたいという意欲を少なからず持っているはずです。その足かせになっているのは何なのか。従業員が増えることによる人件費の増大を懸念しているのか、あるいは営業戦略に不安を感じているのか。面談を重ね、不安を説く際に、同性というのは強い武器になっていると思います。

もちろん無理強いはしませんが、コミュニケーションを重ねて信頼関係を築いた結果、規模の拡大に舵を切った女性起業家も実際に見てきました。
とはいえ、女性起業家の数は全体としてはまだまだ少ないと思います。中には、起業したい気持ちはあっても、諦めざるを得ない方もいるかもしれません。自身の経験もいかして、そうした方々をこれからもサポートしていきたいと考えています。

プロフィール
西村税理士事務所 西村 真衣

父も祖父も税理士という家系に長女として生まれる。
実家は60年続く税理士事務所。
学生結婚し、子どもを授かるも、母・妻・娘という役割だけでなく「自分の人生も生きたい」と決意し、二人の子育てをしながら税理士試験に合格。
「経営者としての経験がなければ、お客様の気持ちに真に寄り添えない」と考え、実家の事務所とは別に2021年、西村税理士事務所を開業。
女性起業家の支援を中心に、ブランディングや経営伴走まで幅広く活動している。
また、三代目税理士としての立場から、家業を継ぐ“アトツギ社長”の経営・事業承継支援にも力を注いでいる。

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