「相続の知恵×デジタル」の掛け算で
今までにないシニア向けサービスの未来を拓くレガシィ
ファミリービジネスの長所を活かし、
デジタルサービスへの挑戦・イノベーションへの想いに迫る!Vol.1

レガシィマネジメントグループ 代表
税理士法人レガシィ 代表社員税理士・公認会計士
株式会社レガシィ 代表取締役社長
行政書士法人レガシィ 代表社員行政書士
天野 大輔
2024年に創業60年を迎えたレガシィマネジメントグループ<東京>(以下レガシィ)は、財産規模の大きい相続・事業承継専門の業界最大手。代表の天野大輔先生は、数年前までメンバーが各人の得意に集中して「特技」にまで高めることができれば顧客満足の最大化と大幅な業務効率化が進むと考え、前代表の天野隆先生や前専務取締役である天野紹子氏とともに分業を進めてきた。しかし、2021年の事業承継前後より、日本全体としてデジタル人手の不足がより顕著となってきたこと、また、生成AIをはじめとしたデジタル技術の急速な発展によってデジタルサービス事業への参入が容易になってきたことから、既存の分業だけでなくクロスファンクショナルなプロジェクト制度の導入を通して、フラットでイノベーティブな活動ができる環境を整備した。その象徴が2023年の東京ミッドタウン八重洲への移転であり、それを機に組織文化の刷新を行い、「ウェルビーイングを通じてイノベーションを起こす」をモットーにより強力に推進してきた。デジタルサービス事業で目指していることは具体的に何か、またレガシィ流のウェルビーイング経営とはどういったものなのか。大学院でフランス文学を研究した後に、IT企業でシステムエンジニアとしてのビジネス経験を経て、公認会計士として監査・コンサルティング、税理士として相続実務を経験してきた異色な経歴を持つ天野大輔先生にお話を伺った。
デジタルで変わる相続の未来——イノベーションに向けた挑戦
デジタルサービスの導入がもたらす変革
レガシィ様では、デジタル技術を活用したサービス提供を積極的に進めていると伺いました。
その背景を教えていただけますでしょうか。
当グループを経営してきた父と母から事業承継するにあたって、さらに飛躍的に成長・発展していくための方向性を考えました。私は以前大手情報システム会社でシステムエンジニアをしてきたこともあり、ITやデジタルの強みを生かしたいという気持ちもある一方で、相続支援事業へいち早く注力し、成長してきた歴史と先代たちが築き上げてきた知恵・ノウハウへの敬意がありました。またイノベーションを起こすには「既存の知」と「既存の知」を掛け合わせる必要があることも経営学やこれまでのビジネス経験を通して実感していました。そこで、「相続の知恵」と「デジタル」を掛け合わせることにしたのです。
まずは相続業務の効率化と、それを通してお客様へのサービス向上を目的にしました。
たとえば、相続税申告。業務上必要な書類が多岐にわたり、アナログなドキュメントも多く、従来の紙ベースでの管理では、情報の検索や共有に時間がかかることが課題でした。そこで、当法人では相続税申告システムや顧客管理システムとデータ連携して案件進捗管理や情報共有がスムーズにできる仕組み「新レガシス」を開発しました。そして、ペーパーレス化も強力に進め、お客様と税理士の間で資料共有を含めた様々な課題解決を行える「相続のせんせい」というアプリも開発しました。これらによりコミュニケーションがスムーズになり、業務のスピードと正確性、顧客満足度が格段に向上しました。

他にも、士業支援・連携を目的に、税理士・司法書士・弁護士などの士業がお互い得意分野を極めて「餅は餅屋」を実現すべく、案件に関するスムーズな授受ができる「Mochi-ya」や、士業間とその顧問先も含めた自由でフラットな士業専用SNS「サムシナ」というアプリを開発し、士業の先生方にとってビジネス価値の高いデジタルサービスを提供しています。
相続分野におけるAI・データ活用の可能性
デジタル化の進展により、AIやデータ分析の活用も進んでいるかと思います。
レガシィ様ではどのような取り組みをされていますか?
AIやデータ分析を活用することで、より正確かつ迅速な相続支援が可能になります。例えば、過去の事例や知恵をデータベース化し、最適な相続税評価方法やリスク要因を提案できる仕組みを構築しています。これにより、税務リスクや顧客満足度につながる知恵の見える化が進み、より精度の高いコンサルティングが可能となりました。
また、お客様ごとの財産状況や家族構成を分析し、AIが最適な相続プランを提案する「デジタル相続診断ツール」も開発中です。これにより、税理士やメンバーがお客様と対話しながら、より適切な相続対策を提案できるようになります。
生成AIについては社内メンバー間でかなり活用が進み、関心と驚きが高まっているので、今後もセキュリティに留意しつつ推進していきたいです。
シニア向けデジタル支援と相続手続きの簡素化
デジタルサービスを活用する際、シニア層への対応はどのように考えていますか?
相続の現場では、デジタルに不慣れな方も多くいらっしゃいます。そのため、当法人ではシニア向けに使いやすいデジタル支援サービス「ワクデジ」を昨年からスタートしました。スマホやLINEの操作などから丁寧にご説明させていただいて、シニアの方がワクワク楽しんでウェルビーイングになっていただけることを目指しています。また先述の相続手続きのオンラインサポートや、簡単な操作で必要な書類をアップロードできる専用アプリ「相続のせんせい」など業務に関係することも支援しております。
今後の展望とデジタルサービスの進化
今後、デジタルサービスのさらなる発展についてどのようなビジョンをお持ちですか?
今後も、AIのさらなる活用を推進してきます。現在は遺言がデジタル形式で法的に認められる将来を見据え、デジタル遺言アプリ「AIユイゴン(仮称)」をシニアユーザー向けに開発するチャレンジをしています。人の感情を深く理解できる生成AIと弊社の独自ナレッジを活用し、遺言を義務ではなく、進んでできるウェルビーイングなものにし、日本の遺言作成率10%を50%にまで高めていきたいと考えています。「人々の財産を世代を超えて守り、生活と心を豊かにする」という弊社のミッションにならい、揉めない相続を実現していきたいと思っています。
弊社が提供する「Mochi-ya」「サムシナ」の士業基盤を活用してこれらのエンドユーザー向けアプリと連携を図り、士業の先生方の業務をさらに効率化・便利にすることも構想しています。
人材育成とウェルビーイング経営——持続可能な組織づくり
採用戦略と人材育成の工夫
レガシィ様では、採用や人材育成にも力を入れていると伺いました。
どのような取り組みをされているのでしょうか?
当法人では、「イノベーション人材」の発掘と育成を1つの柱として取り組んでいます。単に税務の知識を持つ人材ではなく、新しい発想を持ち、変革への対応をリードできる人を積極的に採用していきたいと考えています。
そのために、社内の研修プログラムを充実させ、相続税務の専門知識だけでなく、デジタルスキルやコンサルティング能力も磨ける環境整備を行っているところです。また、長期的なキャリア形成を支援するため、定期的な1on1面談を実施し、個々の成長に合わせたキャリアパスについても柔軟に検討できるよう取り組んでいます。

働きやすい環境の整備とウェルビーイングの推進
メンバーの皆様の働きやすさを向上させるための施策について教えてください。
2023年東京ミッドタウン八重洲への移転を機に「ウェルビーイングを通してイノベーションを起こす」というテーマを掲げ、オフィス環境の整備や柔軟な働き方の導入を以前にも増して進めています。例えば、フリーアドレスの導入により、メンバー同士のコミュニケーションを活性化させると同時に、集中できるワークスペースも確保しています。
また、ウェルビーイング経営の一環として、社内イベントや健康サポートプログラムを実施し、メンバーの心身の健康を重視した働き方を推奨しています。これにより、社員のモチベーション向上や生産性向上にもつながっています。
組織文化と定着率向上のための取り組み
組織としての一体感を高め、定着率を向上させるための施策はありますか?
メンバー同士のコミュニケーションを深めるために、定期的な懇親会やスポーツイベントを開催しています。社外の方との交流も大事にしていて、例えば、士業の先生方と合同で皇居ランを行うなど、業務外の活動を通じて横のつながりを強化し、イノベーションが生まれる工夫をしています。
また、社内の文化として「フラットな関係性」を重視し、組織のフラット化にも取り組みました。以前は役職を付けて名前を呼んでいましたが、現在は「さん付け」を徹底しており、社内メンバーからは代表の私も「さん付け」で呼んでもらう等、年齢や役職に関係なく意見を出し合えるフラットな環境を作っています。こうした風土が、メンバーの定着率の向上にも寄与しているものと考えています。
未来へ向けて——レガシィが目指す相続支援のかたち
相続を取り巻く環境は日々変化しており、お客様のニーズも多様化しています。レガシィでは、デジタル技術の活用と専門性・長年の知恵を掛け合わせて、イノベーションを起こし、新たな価値を提供することを目指しています。今後も、お客様に寄り添いながら、最適な相続のソリューションを提供し続けていきます。


プロフィール |
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レガシィマネジメントグループ 代表 税理士法人レガシィ 代表社員税理士・公認会計士 株式会社レガシィ 代表取締役社長 行政書士法人レガシィ 代表社員行政書士 天野 大輔 1979年生まれ。慶應義塾大学文学部卒業、同大学大学院文学研究科修士課程修了。大手情報システム会社でシステムエンジニアとして勤務した後、2010年に公認会計士試験合格。監査法人勤務を経て2015年に税理士法人レガシィ入社。相続実務や事業承継・M&Aコンサルティング、デジタルサービスの企画・開発などに従事し、2021年からグループ代表。公認会計士・税理士・行政書士。 |