量も質も最高レベルを追求する“ランドマーク式”製販分離を徹底解剖

「大量生産=低品質」という考えは思考停止だ! 量も質も最高レベルを追求する“ランドマーク式”製販分離を徹底解剖

ランドマーク税理士法人 公認会計士・税理士 清田 幸佑

累計相続税申告8,500件超の実績を誇り、「ラ・ラ・ラ・ランドマーク」のテレビCMでも知られるランドマーク税理士法人。一見すると大量生産型の相続特化事務所に見えなくもないが、実際は高い専門性を両立する“ハイスペック型”の事務所である。そんな同事務所が、年間1,000件以上にも上る圧倒的な実績を積み重ねつつ、クオリティの高い相続業務を実現できている理由とは? インタビューの第1回では、現代表・清田幸弘税理士のご子息で公認会計士・税理士の清田幸佑氏に、最強の相続特化事務所が描くドミナント戦略や今後の出店戦略、相続業務の製販分離などについて詳しく話を聞いた。

「横浜中心」から「1都3県」を中心とした大きなドミナントへ

ランドマーク税理士法人といえば、その出店戦略に大きな特徴がありますので、
初めにこれについてお伺いしたいと思います。
まず、JR横浜線沿線に拠点が目立つのですが、これはどうしてでしょうか。

中山周辺(横浜市緑区)は代表の実家も縁があり、創業の地でもありますので、JR横浜線沿線には複数の拠点を構えています。また、厚木や相模原・橋本・八王子を含むエリアや小田急線エリアは町田事務所で、港北ニュータウンエリアは新横浜駅前事務所や中山事務所でカバーしています。東急東横線の武蔵小杉より都内側、JR南武線沿線に拠点が一つもないのは、武蔵小杉に集約させているからです。


拠点にしっかりと担当エリアが設定されているのですね。
相続特化の事務所は、法人顧問中心の事務所と異なり明確に「商圏」が存在するのではないかと思いますが、拠点ごとの商圏や、エリアごとの顧客の分布などは分析されているのでしょうか。

はい。顧客を地図上にプロットするなど、様々な方法で分析しています。そうすることで「うちはここが強いな」というエリアはもちろん、競合に先を越されてしまっているエリアをしっかりと把握し、自社の弱いエリアにはローカルSEOを仕掛けるなど対策を行っています。

常に白黒ひっくり返す攻防が局地戦レベルで展開されているのですね。
ところで、ランドマークさんのこうした出店戦略は、
いわゆる「ドミナント戦略」と呼ばれるものですね。

はい。ドミナントは代表が創業以来、こだわりを持って進めてきた戦略です。かつては、基本的に神奈川県内を中心としたドミナントを展開してきましたが、現在は東京駅、新宿、池袋などの都心部、さらに埼玉の大宮や千葉の新松戸駅前にも出店し、首都圏を中心とした、ひと回り大きなドミナント戦略を進めているところです。

ドミナント戦略
チェーン店などが、ある特定の地域に集中して出店し、知名度を上げたり配送を効率化したりすることで、同業他社よりも優位に立つことをねらう商業戦略。ドミナント出店。
出典:デジタル大辞泉(小学館)


ランドマークさんほどの規模・知名度になると、
全国展開も可能ではないかと思うのですがいかがでしょうか。

実は、相続税申告が必要な方の3割以上が1都3県に集中しています。実際、国税当局のデータ(令和3年分 相続税の申告事績の概要)によると、令和3年中に相続税の課税対象となった被相続人134,275人のうち、1都3県の人は50,508人でした。

計算すると全体の37.6%を占めていることになります。ですので、この商圏に対して、「近くにあって、有名でブランドもある。ここに頼めば間違いない。」というイメージを根付かせるためにも、1都3県に限定して集中的にテレビやラジオのCM、新聞広告など行い、費用対効果が高く出るような戦略を立てております。今後の事業の発展によっては当然全国展開というのも視野には入れておりますが、ある程度採算が見込めるところにまずは展開をしていこうと考えております。

新型コロナからの流れもあり、
法人顧問中心の事務所ではオンライン・非対面による対応が進んでいます。
相続業務もオンライン対応が不可能ではないと考えますが、取り組みはされていますか?

今のところ、オンラインのみでの対応は行っていません。もちろん、部分的にZoom等で面談をさせていただくことはありますが、基本的には対面です。理由はいくつかありますが、一番はお客様に安心感を持っていただくためです。
最近、医療の世界ではオンラインクリニックが増えていますが、実際に自分が重い病気になった時、オンラインクリニックを利用したいかと言われると、おそらく利用しないと思います。「オンラインで本当に私の病状をわかってもらえるのか」という不安がありますし、そもそも「オンラインでしか会ったことのない方に自分の体のことを任せられるか」という問題もありますよね。私は、相続をお手伝いする税理士は、ドクターと同じような見られ方をするのではないかと思っています。一般の方が税理士に会うのは、基本的に相続の時1回きり。しかも大切な資産をすべて詳らかにし、それを委ねることになるのですから、その際にオンラインを希望される方がどれだけいらっしゃるでしょうか。対面でじっくりとお話をしたい方が多いと思いますので、弊所は今後も対面重視であることに変わりはありません。
ただ、最近ではオンラインを中心に全国に展開する相続特化事務所もたくさんありますし、それはそれで戦略として一つだと思います。申告件数でブランディングを行うのであれば、全国からオンラインで相続案件を積極的に受注し、全国展開したほうが良いでしょう。ただ、弊社はそうではありません。生産性を重視し、件数よりは売上、単価を上げていくイメージです。生産性が高まれば、最終的に社員の給料が上がることにつながるので、その方が会社として良い循環が作れるのではないかと個人的には考えています。

1都3県を中心とした大きなドミナント戦略を展開されるとのことですが、
ズバリ、次に狙うエリアは?

関東近郊の新しいニュータウンエリア、再開発が進んでいる、または予定されているエリアは、基本的には構想に入っていますがあまり具体的な地名は出したくないですね(笑)。弊所のサービスにニーズがあるところに出店をしていくことは常に考えております。

大量生産とプロフェッショナル品質を両立する
「ランドマーク式製販分離」とは

現在、全部で15拠点ありますが、それぞれ機能や役割は異なるのでしょうか。

はい。弊社の業務は大きく「相続系」の業務と「月次監査系」の業務に分かれています。少し意外に思われるかもしれませんが、弊社の顧客のおよそ半分は月次顧問のお客様です。したがって、相続業務を行う拠点と、月次顧問業務を行う拠点を明確に区別しています。いま私たちがいる新横浜駅前事務所は相続系の拠点で、このすぐ隣にある「銀洋新横浜駅前事務所」は、まだ新しい拠点なのですが、そちらは法人や個人の顧問業務を行う月次監査系の拠点です。相続系、月次監査系を問わず、“セントラルキッチン方式”を進めております。営業と顧客対応を「販」として各拠点で行い、申告書の作成を中心とした「処理=製」をセントラルキッチンで担っているイメージですね。また、相続の場合、さらに土地の評価という難しい業務がありますが、これについては各拠点の担当者が現地に赴き、土地の写真撮影や情報収集を行います。

この情報収集は、土地の形状や高低差、周辺環境など、相続税評価額の減額要素の有無を確認するために極めて重要です。そして、現地で収集したデータの入力作業や評価額の計算は、内勤(=セントラルキッチン)のスタッフが担当します。これにより、担当者は顧客対応や土地の調査に集中することができ、内勤スタッフはデータ処理に集中することができます。スピードと品質を両立するため、弊社ではこのような分業スタイルに行きつきました。

土地の評価については、複数の見解が出てくることも珍しくないと思います。
最終的に「どの案を採用するか」はどのようにジャッジされているのですか?

まず、減額が見込めそうで、かつ複雑な土地の場合は、評価に精通した税理士が現地まで同行し、担当者と一緒に減額要素がないか検証を行います。その後、出来上がった申告書は複数の税理士がチェックを行い、さらに国税OB税理士によるチェックを経て、最終的に代表と私がチェックを行います。しかし、それでもなお見解が分かれる事案が出てくるのが、土地評価の難しいところです。そのような場合には、調査のリスクを許容して低めの評価額で当初申告するのか、セーフティな評価額で申告するのか、それ以外の方法を選択するのか、しっかりとお客様にご説明した上で選んでいただく方針です。

チェック体制が3重、4重にもなっており、さすが相続専門というだけあります。
ランドマークさんは多くの案件を捌きながらも、高い品質を保っているということがよくわかりました。

私たちが作成した相続税申告書を見ていただければ、決して大量生産を売りにしている事務所でないことを分かっていただける自信があります。
土地評価に関して言えば、多くのOB税理士と共に、過去の類似事案や判例・裁決事例をピックアップして比較検証を行っていますし、評価畑出身のOB税理士に「〇〇先生なら、この評価を見て調査に入りますか」「入ったら増差を取る自信がありますか」と見解をお聞きしています。実際に見解の相違については、朝礼の場で全社員が参加して議論を行って共有していますので、朝礼に参加しているだけで知識が深まっていきます。
ランドマーク税理士法人は今年で創業27年を迎えましたが、私たちが手がけてきた過去の案件は、すべて私たちの大切なノウハウです。中には他では見たことのないようなマニアックな事案もありますので、しっかりと事例を共有することにより、最新の知識や評価方法をスタッフ全員が学び、常に高い水準のサービスを提供できるよう努めています。

プロフィール
ランドマーク税理士法人 公認会計士・税理士 清田 幸佑

◎ せいた・こうすけ/神奈川県横浜市出身。立教大学経営学部在学中に公認会計士試験に合格。新卒でPwC 京都監査法人に入社し、上場企業の会計監査、LPS監査、IPO支援業務等に従事。その後、ランドマーク税理士法人へ入社。月次監査業務、相続税申告業務及び資産税コンサルティングを行うとともに金融機関出向も経験。現在は主に富裕層へ向けた資産税を中心としたコンサルティング業務に従事している。

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