中小企業の財務を一手に担う「外部CFO」サービスとは？
グループ急成長に導く若き税理士の経営戦略に迫る vol.1

ベルシティ税理士法人グループ CEO　小野 良介

創業4年で総勢50名規模の組織へと、驚異的なスピードで急成長を続けているベルシティ税理士法人グループ。「税理士業界の外部CFO化」を目標に掲げ、新たな人材の採用・育成にも力を入れている。グループを率いるのは、弱冠28歳の税理士・小野良介CEO。中小企業をサポートしたい、という強い思いを持ちながら組織の拡大を進める小野氏に、経営戦略と今後の展望、さらには業界の未来について伺った。

明確なビジョンが成長の源泉
中小企業を支える「外部CFO」とは？

会計業界でも働き手不足が深刻化している中、御社は従業員数をどんどん増やしておられるようですね。その秘訣は、どこにあるのでしょう？

採用に関しては、設立当初からいろいろと試行錯誤を繰り返してきました。お世話になっている経営者の方からも様々なアドバイスをもらいました。その結果強く感じるようになったのは、採用する側が魅力的な経営ビジョンを示し、そのビジョンに忠実に行動することの重要性です。そこに気がついてからは、弊社は何を目指し、具体的にどんな仕事ができる企業なのかを、面接の場などで詳しく説明するようになりました。おかげさまで、弊社では自己都合による退職例はほとんどありません。それは、私が社内外で発言していることと、実際に事業として行っていることに乖離がないからではないかと思っています。

御社が掲げている経営ビジョンというのは、どのようなものなのでしょうか？

御社のサービスのキーワードが「外部CFO」とのことですが、どのような考え方なのでしょうか？

資金調達や投資戦略、予算管理など、財務の面から企業経営に携わり、支えていくのがCFO（最高財務責任者）の役割です。弊社は「中小企業の外部CFO」を自称し、中小企業の記帳業務から収支計画の策定、資金調達支援まで幅広く支援しています。
私の父も、アパレル業を営んでいます。実家が小売業を営んでいると肌身で感じるのですが、経営者が、自社のキャッシュフローを把握しておくというのは経営においてとても重要です。経営を軌道に乗せ、事業を拡大していくために、資金の流れをしっかりとコントロールする。その際、父が頼りにしていたのが税理士でした。
だからという訳ではありませんが、私は、資金に関する相談先としては税理士が最も向いていると考えるようになりました。「資金の相談なら金融機関では？」と思う方もいると思いますが、業績が悪い時に親身になって一緒に悩み、同じ方向を見ながら経営戦略を練って支援できるのはやはり税理士です。その立場をいかして、弊社は、中小企業の経営者を下支えする外部の財務担当者としてサービスを展開しています。

具体的には、どのような業務を行っているのでしょうか？

また最近では、資産運用の相談に応じられる体制も整えました。経営が順調であれば、内部留保も当然増えます。内部留保をうまく運用できれば、経営基盤の安定にも役立つでしょう。グループ内の株式会社の中に立ち上げた「金融コンサルティング部」では、内部留保をはじめとした資産をいかに運用し、最大化するかというところまで視野に入れて、顧客に最適な運用プランを提案しています。

中小企業の財務を一手に担う、ということなのですね。

「外部CFO」サービスは、「お客様の手元に残るお金を最大化する。そのためのトータルサポート」というイメージを持っています。仰るように、資金調達も投資も、「財務」に関わることは全て視野に入れて対応するのが「外部CFO」の役割だと私は考えています。
一方で弊社は、よくある他士業同士の横連携には重点を置いていません。むしろ、税務会計分野を核として、この分野をより深掘りしてお客様に対応する、いわば縦方向に事業展開するイメージを持っています。ですから弊社では、従来の税理士業務を決して軽んじてはいません。例えば、記帳業務も有意義な業務の一つと捉えています。そもそも記帳業務は、広い意味では財務に関する業務です。その企業の財務状況が把握できる訳ですから、極めて重要な情報にアクセスする機会になり得るのです。こうした機会をいかして、弊社自身が税務会計の知見を深めるとともに、様々な企業のビジネスモデルを学んでいきたいと考えています。
今後も深い専門性を発揮できるよう、よりいっそうサービス内容を「尖らせて」いきたいです。中小企業の皆さまが求める点を追求しつつ、外へ外へと拡げるのではなく深めていく。そうした取り組みが、結果として差別化につながればと思っています。

声を大にして言いたい
「税理士業には、大きな可能性がある！」

「外部CFO」を掲げる御社では、どのような背景や経験を持つ人材が活躍されているのでしょうか。

弊社では、金融機関で働いたキャリアを持ち、スキルを磨いてきた多くの人材が活躍しています。
一方で、多様なビジネスモデルに触れて企業経営を支援してきた税理士たちも、そのノウハウを存分にいかしています。先ほども触れた通り、税理士の代表的な業務である記帳業務は、企業の財務状況を把握するのに非常に役立ちます。色々な企業の記帳業務に携わる税理士は、様々なビジネスモデルに対する知見を深められる立場にあるのです。そうした税理士の経験や特性は、収支計画書の策定や融資申請の際にも大いに役立つスキルになります。

外部CFOサービスの今後について、どのような展開をお考えですか。

ただ残念なことに、多くの会計事務所がこのビジネスチャンスに気づいていません。だからこそ、僭越ながら弊社が、外部CFOサービスを実際に展開しながら、その考え方を広く業界全体に広げていきたいと考えているのです。
しかし言うまでもなく、小さな組織がいくら叫んだところで誰も耳を傾けてはくれません。ですから、弊社の考えを浸透させるためには、私たちが業界内である程度の影響力を持たなくてはいけません。冒頭で、「従業員数が増えている」という話題が出ましたが、現実にはまだまだ足りません。まずは、「グループ全体で100名」の規模を目指していきます。その上で、「税理士業界の外部CFO化」の考えを普及させていきたい。それと同時に、中小企業を中心とした顧客のニーズに応えていける体制も、今後一層整えていければと考えています。

プロフィール
ベルシティ税理士法人グループ CEO　小野 良介 在学中税理士試験5科目合格後、投資ファンド・医療法人等の高度税務業務から資金調達、金融コンサルティング、会計DXまで、幅広い財務領域に従事し、24歳で創業。現在では、青山、品川、名古屋を拠点とし、財務領域に特化したコンサルティンググループ、ベルシティ税理士法人グループを統括。