中小企業の採用成功法則3:SNS採用の勘違い

人事の扉株式会社 代表取締役
桜井 透
「SNSが流行っている?じゃあうちもやってみよう!」
多くの企業がこんな軽いノリでSNS採用アカウントを立ち上げます。
しかし、その3ヶ月後には…
「フォロワーが増えない、ビューが増えない」
「SNSは効果がない、辞めだ!」
こうして途中で放棄されるアカウントが数多く存在しています。
「SNSは伸びなければ意味がない。」
これこそがSNS採用における最大の勘違いなのです。
SNS採用の本当の価値
正直に申し上げましょう。SNSは爆発的に伸びません。インフルエンサーのように何万、何十万というフォロワーが集まることはまれです。SNSで採用のための認知を一から得ようとするのは本質的ではありません。
しかし、だからといって採用のためのSNSが不要というわけではありません。
むしろ、
今や必須なのです。
エンゲージメント深化ツールとしてのSNS
SNSの真の役割は何でしょうか?それは「すでに接点を持った求職者のエンゲージメントを深める」ことにあります。
就職活動のプロセスを考えてみましょう。昔は、就活ナビサイトや合同就職イベントで知った企業について、より深く知るためにホームページを閲覧していました。しかし現在は、ホームページに加えて、SNSをチェックするのが当たり前になっています。
ここにSNSがなければどうなるでしょう。求職者は公式情報以上の情報を得ることができません。就活ナビや会社説明会、ホームページといった「形式張った一方通行の情報」だけでは、彼らが最も知りたい「半径5mの職場環境」や「リアルな人間関係」を把握できないのです。
その結果、志望度を高めることができず、選考途中での離脱や内定辞退につながりかねません。
現代のドレスコードとしてのSNS
SNSは現代のビジネスにおける「ドレスコード」になりつつあります。SNSをやっているからといって必ずしも採用が上手くいくわけではありませんが、SNSをやっていないことで採用が不利になる時代に突入しています。
特に若年層の採用においては、SNSの有無が企業の「今どき感」や「コミュニケーション姿勢」を測る重要な指標になっているのです。
SNS採用成功の3つのポイント
- 継続こそ力なり
フォロワー数や再生数は一旦無視しましょう。まずは「継続」を最大の目的として、1年間続けることを目指してください。多くの企業は3ヶ月で挫折しますが、1年間続けることで他社との差別化が図れます。 - 無理のないルール設定
週1回の投稿など、持続可能なペースでルールを決めて実行しましょう。毎日投稿のような高いハードルを設定すると、途中で息切れしてしまいます。少なくても定期的な更新が鉄則です。 - コンテンツ形式の選択
効果としては「テキスト<画像<動画」の順ですが、動画制作は継続のハードルが高くなります。まずは1枚の画像投稿でも十分です。重要なのは、内容の質より「続けること」なのです。
ネタ切れになったら?
「何を投稿すればいいかわからない」というのはよくある悩みです。そんなときはAIの力を借りましょう。今やChatGPTなどのAIサービスに「SNS採用で投稿するネタを10個提案して」と依頼するだけで、様々なアイデアを得られます。
- オフィスの一角や社員の働く様子
- ランチタイムの風景
- 新入社員の成長ストーリー
- 社内イベントの様子
- 社員の「入社の決め手」インタビュー
こうしたネタを定期的に投稿することで、求職者は貴社の「リアル」を知ることができます。
地道な積み重ねが大きな差に
SNS採用に即効性はありません。だからこそつい後回しになりがちですが、今取り組まないことによる機会損失は計り知れません。取り組んでいる企業と取り組んでいない企業では、1年後には大きな差となって表れるでしょう。
特に注目すべきは「継続の価値」です。SNSアカウントの歴史が長ければ長いほど、求職者はその企業の文化や雰囲気を時系列で把握できます。2年、3年と続けることで、採用ブランディングとしての価値は指数関数的に高まるのです。
まとめ:SNS採用の本質
SNS採用の本質は「伸ばすこと」ではなく「続けること」にあります。フォロワーが増えないからといって諦めるのではなく、接点を持った求職者に向けた「窓」として機能させることが重要です。
採用活動において、SNSに即効性はありません。しかし、採用の成功に欠かせない重要なドレスコードなのです。今日から無理のない範囲でSNS運用を始め、1年後の採用成果につなげていきましょう。

桜井 透
人事の扉株式会社 代表取締役
新卒から20年間、人材・採用業界に従事し、地方の中小企業700社以上の採用を支援。「母集団いらない」「志望動機を聞かない」「エントリーシート廃止」など、大手就活ナビや大手企業が提唱する成功セオリーを否定し、地方の中小企業独自の採用戦略と手法を構築。採用の本質と最新トレンドを組み合わせ、最適な解決策を提案し採用成功をサポート。新卒・中途・アルバイト・パートの採用支援実績あり。自治体、商工会議所などが主催する300回以上のセミナーを通じて、中小企業が即実践できる採用成功事例やノウハウを提供している。