「ヒトがすべて」の時代だからこそ
会計事務所が“人事コンサルティング”に取り組むべき理由 vol.1

ビズアップ人事コンサルティング株式会社 代表取締役社長
池内 孝行

“人的資本経営”や“ジョブ型雇用”に多くの企業が取り組む中、人事コンサルティングのニーズは急増していており、経営者にとって最も身近な存在である会計事務所への相談も当たり前となってきています。このような時代の変化をいち早くくみ取り、会計事務所が人事コンサルティングに取り組むことができれば、新たな収益を生みだし、他のライバル事務所に対しても大きなアドバンテージを持つことができます。

そこで今回は企業が抱えている人事に関する問題や会計事務所が人事コンサルティングに取り組むべき理由について、人事コンサル実績450件超の人事のスペシャリストである池内孝行先生に詳しく話を伺いました。

池内先生が「人事コンサルティング」に取り組むようになったきっかけを教えてください。

1997年に、すでに人事コンサルティングに取り組んでいた会計事務所系のコンサルティング会社から、ノウハウを教えてもらったことがきっかけです。最初は、自グループの会計事務所顧問先のクリニック、病院に対するコンサルから始めました。その後は、セミナー開催などを通して、顧問先以外の企業に対するコンサルティングにも取り組んできました。

これまでどれくらい、どのような企業に対して人事コンサルティングを行ってきましたか。

これまで、25年以上人事コンサルティングに取り組み、一般企業250件、社会福祉法人150件、病院50件と、450件以上の人事コンサルティングを提供してきました。最近では、平均すると年間30件程度の依頼を受けています。

人事コンサルティングを提供してきた企業には、大きく3つのパターンがありました。1つ目は、会社の規模が30人を超え、初めて人事制度を作りたいというパターン。2つ目は、経営者が世代交代をするにあたり、社内のルール、仕組みを整備したいというパターンで、これは人数規模が10人程度の企業からも依頼がありました。そして最後3つ目としては、ある程度の規模の企業で、現在の人事制度が時代に合わなくなったので、「能力主義」の人事制度から「職務基準」の人事制度に変更したいというパターンです。

様々な業界に対して人事コンサルティングを行ってきたのですね。企業が人事コンサルティングを必要とする理由・背景は何でしょうか。

企業規模が30人を超えてくると、経営者が全社員の行動を把握して、評価をすることが難しくなってきます。また、社内の組織化が必須になり、すべて口頭で行ってきたことを徐々に文書化、形式化していく必要がでてきます。これが「30人の壁」を超えるポイントになり、この点に気づいた経営者の方々から人事コンサルティングは必要とされてきました。また、世代交代をする際に人事制度を整備するパターンでは、創業経営者が行ってきたワンマン経営を、後継者に同じように行わせるには無理があることに気づいた経営者が、「カリスマ経営」から「仕組み経営」にシフトを希望する場合も多く、人事コンサルティングが求められてきました。

先ほどお伝えした3つ目のパターンのような企業では、20年、30年前に構築した人事制度が、社会環境や雇用環境の変化に伴って、不具合や問題が生じてきています。近年では、「中途採用にうまく対応できない」「優秀な人材が退職してしまう」といった事態に陥っている企業も急増しており、これまで付け焼刃的な制度見直しを行ってきた企業が、いよいよ抜本的な見直しを迫られているといった状況に置かれています。

現実として、ここ数年で企業の抱える人事に関する問題や課題はどのように変化していますか。

以前の人事制度の課題は、賃金体系をどのように作っていくか、というテーマが多かったように思います。しかし最近では、新卒、中途ともに採用難、人材難に苦しんでいる企業が多く、採用や人材定着に向けた人事施策をどのように打ったらよいか、社員のエンゲージメント、モチベーションをどのように高めていったらよいか、ということが多くの企業で課題となっています。環境変化によって、人事に対する課題も大きく変わってきているのを肌で感じますね。

なるほど。そのような社会環境だからこそ、会計事務所が人事コンサルティングに取り組むべき理由を教えてください。

会計事務所は、経営者の最も身近にいる相談相手であり、コンサルタントです。

会計事務所の所長先生をはじめとする職員の方は、経営者から「社員を採用する際の給与水準をどのくらいにしたらよいか」「昇給金額をいくらにしたらよいか」「頑張っている社員とそうでない社員の賞与にどのように差をつけたらよいか」などの相談を受けたことがあるはずです。経営者が抱える悩みの大半は「人材」に関するものです。会計事務所が人事コンサルティングのノウハウを習得して、顧問先を支援することができれば、顧問先との関係が大きく変わり、非常に親密なものになります。もちろん事務所経営の観点からも事業の柱が増えることになり、経営的なメリットも大きいと言えます。

「人事コンサルティングは難しいのでは・・・」と考えている事務所様も多いと思うのですが、どんな事務所様でも取り組むことができるのでしょうか。

正直なところ、人事コンサルティングを一から自力で取り組むことは多くの会計事務所にとってハードルが高いです。独学での習得は非常に多くの時間を要し、日々の業務の合間を縫ってそれだけ学習時間を確保することは困難だと思います。しかしながら、人事コンサルティングは事務所に大きな収益をもたらします。事務所のステータスを上げ、ライバル事務所に対して大きなアドバンテージを持つためにも、職員数や顧問先が多い事務所様はもちろん、小規模な事務所様であっても、絶対に取り組むべきテーマであると考えています。

ノウハウの習得方法としては、会計事務所系のコンサルティング会社が開催しているセミナー等で短時間かつ効率的に学習することができるため、非常にお勧めです。

セミナー情報

今回ご寄稿いただきました池内先生のハイグレードセミナー「人事制度構築コンサルティング実践塾」が10月30日(水)より、全3回にわたって開催されます!

人事コンサルティングで年間1.5億円の売上を達成する吉岡マネジメントグループのノウハウを余すことなくお伝えし、人事コンサルティングを事業化するために必要な知識・スキルを徹底的に学習することができる講座となっております。講師はこれまで、中小企業から上場企業まで幅広い規模の企業や、一般企業に限らず医療機関や社会福祉法人など様々な業界に対して人事コンサルティングを行ってきました。その豊富な実績を活かし、各事務所様の顧問先の規模や業種に応じたコンサルティングノウハウを詳しく解説いたします。皆様のご参加を心よりお待ちしております。

「人事制度構築コンサルティング実践塾」(全3回/全日 10:00~17:00)
①2024/10/30(水) ②2024/11/13(水) ③2024/11/28(木)

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池内 孝行

ビズアップ人事コンサルティング株式会社 代表取締役社長
北海道大学卒。三井銀行(現三井住友銀行)勤務を経て、吉岡マネジメントグループに入社。
人事コンサルティング、経営幹部・管理者教育を専門とし、25年で200社以上の企業のコンサルを 実施。30名規模の中小企業から、1,000人を超える上場企業まで、幅広い企業に対する人事 のノウハウを保持している。

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