お客様に専門用語をわかりやすく伝えるために生成AIを活用する
株式会社ウェブタイガー 代表取締役
一般社団法人ウェブ解析士協会 SNSマネージャー養成講座 創設者
生成AI・ソーシャルメディア コンサルタント
田村 憲孝
瑕疵担保責任という言葉をご存知でしょうか。
私が不動産営業をしていた頃、契約書やその前に行う重要事項説明書の文面の中に必ず記載されていたのがこの瑕疵担保責任というワードです。売買契約成立後に物件に欠陥が発見された場合に、誰がどのような責任を持つのかを指す言葉です。
当時の私のように専門的に不動産を扱っていた人間からすると、「瑕疵担保責任」は業務中頻繁に目にするワードです。しかし、一般の方がこの言葉の意味を正確に理解できるよう説明するのはなかなか困難です。
ですので、毎回「たとえば入居後に雨漏りを発見した場合には…」など具体例を挙げ、ご理解いただけるよう説明していたものです。
特定の業界にいると、大事な顧客を含めた業界外の方にも専門用語を使いがちになってしまいます。相手が「それはどういう意味ですか?」と確認してくれれば良いのですが、理解されないまま話が進むこともあります。
理解されないまま物事が進行すると、特に税務・法務などの重要なやりとりでは取り返しのつかない事態に陥ることもあります。あるいは「あの人は専門用語ばかり使って、なにを言っているのかさっぱりわからない」と、顧客離れにつながるかもしれません。
しかし、普段使っている用語をわかりやすい表現にするのも案外難しいものです。たとえば、まったく税務に知識のない経営者に「外形標準課税」の意味と仕組みをどう伝えれば良いのでしょう。
そこで、生成AIです。ChatGPTに「わかりやすく説明」するよう指示してみました。
確かに間違ってはいない説明です。しかし正直、私のような税の素人にとっては決して「わかりやすく」はありません。さらに理解しやすい説明にするために追加でプロンプトを入力してみます。
説明する相手を高校生レベルとみなすのは失礼かもしれません。しかし一般の方でも理解できる表現を生成AIから引き出すためには、このぐらいレベルを下げて説明するよう指示するとちょうど良い加減のものが出力されます。
さきほどのChatGPTとのやりとりで、外形標準課税の大体の仕組みは理解できました。しかし出力された説明を読むとさらなる疑問が出てきます。再度追加で聞いてみます。
詳細な内容まで言及してくれています。説明したあとに顧客から聞かれるであろう追加の質問に対しても、あらかじめ準備しておくことができるようになります。
専門領域の中でも不得意な分野を顧客に説明する必要がある場合や、特定の事象について自身の知識が曖昧な場合などにも活用できます。
自身の顧客に理解を深めてもらうためにも、わかりやすい説明をして顧客からの信頼を得るためにも、生成AIを活用した理解しやすい表現の抽出機能を活用してください。
田村 憲孝
株式会社ウェブタイガー 代表取締役
一般社団法人ウェブ解析士協会 SNSマネージャー養成講座 創設者
生成AI・ソーシャルメディア コンサルタント
不動産会社で営業職・営業管理職としての経験を積んだ後、2010年に独立し、現職に至る。
企業や自治体のSNS運用を、研修・講演・運用代行・広告運用を通じて支援。2023年からは、
ChatGPTなどの生成AIを活用したSNS運用支援を開始。
さらに、SNS以外の領域でも業務効率化を目的とした企業や各種団体への生成AI活用支援・研修を
提供している。
著書
『小さな会社・お店が知っておきたい SNSの上手な運用ルールとクレーム対応』同文舘出版
『世界一わかりやすい ChatGPTマスター養成講座』つた書房
『Instagramショップ 制作・運用の教科書』つた書房
『Facebook&Instagram&Twitter広告 成功のための実践テクニック』ソシムなど
ChatGPTをビジネスの現場で有効活用するための、基本的な操作方法からさまざまな
文書の作成手順までを、ビズアップ総研のeランニングサービス「e-JINZAI」の
「ChatGPTマスター講座」にてお伝えしています。