「継続力」を身につけるための3ステップ:STEP2

習慣化コンサルタント 習慣化コンサルティング株式会社 代表取締役
古川 武士
STEP2 不安定期(振り回される)【8日~21日】
反発期を過ぎた8日目~21日目までを「不安定期」と呼んでおり、急な残業やプライベートの予定に振り回され、挫折しやすい時期です。
不安定期の挫折率は40%で、反発期同様、挫折率が高い時期となります。反発期はベビーステップでハードルを下げて続けてきましたが、不安定期はハードルを上げてください。たとえば、「1日30分英語の勉強をすること」が習慣化の目標であったら、不安定期はこの行動を続けるようにします。
そこで問題となるのが、急な残業やプライベートの予定が入ってきたときに、30分の時間が取れなくて、勉強しない日が続くことです。この問題を上手にクリアするため、不安定期は「続ける仕組みをつくること」を目指してください。具体的には、パターン化する、例外ルールをつくる、継続スイッチをセットする、の3つがあります。1つずつご説明していきましょう。
1.パターン化する
パターン化とは「あなたが身につけたい習慣を一定パターン(時間・やり方・場所)に決めてしまう」ことです。
あなたの日々の習慣を想像してみてください。たとえば起きる時間、朝の歯磨きの時間、朝食の時間、通勤時間、寝る時間まで、多くの習慣はパターンが決まっているのではないでしょうか。

このように習慣化するためには、一定パターンで続けることが非常に効果的なのです。たとえば、私がウォーキングする時間は13時から14時と決めています。これは食後に歩いたほうが気持ちがいいからです。
このようにあなたに一番フィット感のある時間帯や内容・場所を決めるといいでしょう。たとえば、英語の勉強なら「通勤電車の中で、iPhoneアプリを使って英単語を30分間勉強する」。このように決めるだけで忙しい毎日の中でもその行動を忘れないで済みます。また、パターン化することで体に覚えさせることができます。あなたの習慣をパターン化するのに最適な時間や方法は何でしょうか。是非、試しながら見つけていってください。
2.例外ルールを設ける

例えば、パターン化をして「英語を21時から1時間勉強する」と決めたとしても、残業で帰宅が23時になった日はやる気が湧いてきません。そして誘惑がやってきます。「今日ぐらいやらなくてもいいか。明日がんばろう」。
しかし、これが挫折の道に突入するきっかけになります。翌日は友達と食事で何もできず、その翌日は飲み会でお酒が回ってやる気がしない。ついに、「あー、やっぱり続かない」とあきらめてしまうのです。
このように急な予定や決めたとおりに行動できない場合に有効なのが、「例外ルールを設けること」です。例外ルールとは「残業や飲み会・やる気がしないときに何をするかを決めておくこと」です。
一番わかりやすい方法は反発期に決めた「ベビーステップ」をそのまま例外ルールにすることです。先程の例でいえば、残業で23時に帰宅したら誰でも勉強する気力はありません。それならば例外ルールとして、「帰りの電車で英語の本を1ページ読む」と決めてみましょう。それで自分にOKを出してあげるのです。それだけで、「今日もクリアした!!」と達成感があり、自分を責めることはなくなります。
とにかく、どれだけ罪悪感をなくし達成感を味わえるかがポイントです。例外ルールは自分を甘やかすというより、日々の生活の変化に合わせて行動できるよう計画に柔軟性を持たせるためにあります。
飲み会、残業、週末の家族との予定、天気(雨・寒さ)・気分が乗らないなど、習慣化のために決めたことが守れない場合が出てくると思います。
まずは、あなたにとって例外ルールが必要なケースを想定して、例外ルールを決めましょう。とにかく、毎日小さくてもいいから続けること。このポイントはずっと同じなのです。「パターン化+例外ルール」であなたの続ける仕組みの70%は完成しました。
最後に「続けるためのやる気を上げる」方法をご紹介します。
3.継続スイッチを入れる
続く人と続かない人をインタビューして分かったことは、続く人は自分のやる気を上げるコツをよく知っているということでした。たとえば、英語の勉強が終わったらチョコを食べる人、週3回友達と一緒に走ることでやる気を上げている人、ダイエットのために憧れの女優の写真を貼ってやる気を維持する 人など、様々です。

やる気を上げるコツは人それぞれ違いますし、続けたい習慣によっても変わってきます。自分の続けるチカラを引き出してくれるコツを分かっておくことが重要です。
そこで、続く人がどのようなやる気の上げ方をしているのか、12のコツを「継続スイッチ」として纏めてみました。継続スイッチは、大きく2つのタイプに分けています。やる気は、「快感(気持ちいい、楽しい、うれしい)をもっと味わいたいとき」、「苦痛(恥をかきたくない、期限が迫っている、苦しい)を避けたいとき」の2パターンで湧いてきます。今回は、これらをアメ系スイッチ(快感)、ムチ系スイッチ(強制力)と呼んでみました。自分に合うものがあるかチェックしながら読んでみてください。
【アメ系スイッチ(快感)】
憧れ、楽しさ、ほめられる、ご褒美といった快感(アメ)で自分を動かしていくスイッチです。
⚫︎スイッチ1:ご褒美 <ご褒美パワーで目先の困難を乗り越える>
英語の勉強…週に1回大好きな洋画を見る
早起き…出社前に有名ホテルの朝食バイキングを食べる
日記…日記を書き終わったら、ビール1杯を飲む
⚫︎スイッチ2:ほめられ上手 <ほめられる環境を作り、やる気を上げる>
片づけ…夫に毎日「よくがんばっているね」と言ってもらう
ダイエット…1キロ痩せるごとに周囲に変化を聞く
禁煙…妻に毎日、はげましや褒め言葉をもらう
⚫︎スイッチ3:遊び心 <遊び心で行動を楽しくし、自分のテンションを上げる>
片づけ…アップテンポの曲で気分を盛り上げる
節約…節約したらハナマルシールを1つ貼る
運動…かっこいいウェアを買う
⚫︎スイッチ4:理想モデル <理想のモデルを設定し、今の自分を一段レベルアップさせる>
英語の勉強…オバマの演説を真似する
節約…3年後に手に入れたい理想のマイホームの写真を貼る
ダイエット…憧れの女優の写真を貼っておく
⚫︎スイッチ5:儀式 <小さな儀式を行うことで、ダルく辛い気持ちを吹き飛ばす>
日記…5分間瞑想して心を穏やかにしてから書く
片づけ…片づけのためのユニフォームを着て始める
早起き…寝る前に足湯、ストレッチをして眠りに入る
⚫︎スイッチ6 悪魔払い <行動を妨げる障害を取り除き、負担を軽くする>
勉強…TVのリモコンを隠す
ダイエット…飲み会は行かない、酒を飲まない
禁煙…喫煙仲間の隣で食事を取らない
【ムチ系スイッチ(強制力)】
締め切り、宣言、約束、罰を避けたいといった危機感(ムチ)で自分を動かしていくスイッチです。
⚫︎スイッチ7:損得感情 <お金を投資し、挫折すると損する環境を整える>
読書…常に10冊の本をストックしておく
英語の勉強…10万円の教材を購入する
マラソン…スポーツジムを年間契約する
⚫︎スイッチ8:習慣ともだち <習慣ともだちを作ることで甘えを許さない>
読書…読書会に入会し、読んだ本の感想を共有する
片づけ…妻と一緒に片づける
運動…友人を巻き込みチームを結成する
⚫︎スイッチ9:みんなに宣言 <みんなに宣言し、あとに引けない状態を作る>
日記…ブログを「毎日更新する」と友人に宣言する
早起き…「毎日7時に出社する」と上司・同僚に宣言する
禁煙…「一生タバコを吸わない」と上司・妻に宣言する
⚫︎スイッチ10:罰ゲーム <罰ゲームで、日々の辛さ・言い訳・甘えを撃退する>
禁煙…タバコを1本吸ったら、小遣いを半分にする
日記…1日サボったら、腕立て伏せを30回する
早起き…7時出社が出来なかった日はトイレ掃除をする
⚫︎スイッチ11:目標設定 <目標を設定して達成意欲を引き出す>
節約…月2万円を節約し、年末ハワイに行く
英語の勉強…1年後、TOEIC800点を取る
読書…月10冊、年間120冊を読破する
⚫︎スイッチ12:強制力 <他人との約束を交わし、やるしかない状況に追い込む>
英語の勉強…パーソナルレッスンの予定を入れる
運動…駅伝メンバーとして大会に申し込む
節約…財布に2,000円しか入れない
次回は、STEP3 倦怠期(飽きてくる)【22日~30日】をご紹介します。

古川 武士
習慣化コンサルタント 習慣化コンサルティング株式会社 代表取締役
関西大学卒業後、日立製作所などを経て2006年に人材育成会社を設立。
コーチング・心理学を専門にこれまで企業研修・講演を通じて2万人以上の育成に携わってきた。
また、個人コンサルティングとしては経営者から若手ビジネスパーソン、主婦まで幅広く200名以上を支援している。多くの育成現場で痛感したことは、人が本当に変わっていくためには、
よい習慣を確実に身につける「続ける習慣」が重要と考え、オリジナルの習慣化理論とメソッドを開発。
独自メソッドを元に、企業研修、個人向けセミナー、コンサルティングを行っている。
著書に『続ける習慣』(現在7万部突破、韓国・台湾・中国で翻訳)『やめる習慣』
『すぐやる習慣』など計16冊で70万部を超えている。メディア掲載実績として、NHK、テレビ朝日、テレビ東京、朝日新聞、日経ビジネス、日経ウーマン、OZPLUS、プレジデント、
プレジデントファミリー、「企業と人材」等がある。