税理士にコミュニケーション能力は必要?必要な理由をトレーニング方法を紹介
「コミュニーションスキルに自信はないけど、数字相手に仕事をする税理士ならなんとかなるのでは?」
このように、税理士の仕事を数字にだけ向き合う仕事と捉えている人も、案外多いのではないでしょうか。税理士や会計の仕事は1日中帳簿の作成や数字の整理に明け暮れているように思えますが、実際のところは人と接する機会が多い仕事です。コミュニケーションスキルがなければ、円滑に仕事を進めることはできません。
本記事では、税理士にコミュニケーションスキルが求められる理由や税理士の仕事に向いている人、コミュニケーションスキルのトレーニング方法などを紹介しています。
人とのコミュニケーションに自信がない人は、ぜひ記事内容をご確認ください。
目次
- 税理士にコミュニケーションスキルが求められる理由
- 税理士に向いている人の性格や特徴
- コミュニケーションスキルが低い人は税理士を諦めた方が良い?
- 今日からできるコミュニケーションスキルを鍛える方法
- まとめ
税理士にコミュニケーションスキルが求められる理由
仕事を円滑に進めるために、税理士にはコミュニケーションスキルが求められます。
なぜ税理士にはコミュニケーションスキルが必要なのでしょうか。
具体的な理由を3つ、ピックアップしてみました。
- 得意先との関係性構築のため
- 節税対策や資金繰りのアドバイスが求められる
- より私的な相談への対応が求められることもある
得意先との関係性構築のため
税理士は月次監査のために、取引先のオフィスへ出向くことも多いです。取引先の担当者とのやり取りが発生するわけですから、ただ書類を受け取るだけというわけにもいきません。
ある程度のコミュニケーションが取れないと、継続して依頼を貰い続けるのは難しいでしょう。
月次監査では、取引先へ厳しい事実を伝えなければいけない時もあります。そんな時に関係性が構築できていないと、円滑なやり取りは望めません。
親しくし過ぎず、かつドライになり過ぎないほどのほどよい距離感と関係性が求められます。
節税対策や資金繰りのアドバイスが求められる
税理士は取引先から節税や資金繰りのアドバイスを求められることも多いです。
解決方法がわかっていても相手にわかりやすく伝えることができなければ、取引先の満足度を上げられません。
また、相手の要望をしっかり汲み取ったアドバイスができなければ、見当違いの提案になってしまう可能性が高いです。
込み入った話になればなるほど、コミュニケーションスキルが求められます。
より私的な相談への対応が求められることもある
話の流れで家族に関する話が話題にのぼることもあります。一見、関係ない話のようにも思える話題ですが、雑談は取引先の会社が抱える課題解決に役立つこともあるため、疎かにはできません。
経営者の背景が見えてくることで、会社の課題や新たな税金の問題など、今まで見えていなかったものが見えてくることがあります。
コミュニケーションスキルは仕事の幅を広げて信頼を獲得するためにも、欠かせないスキルです。
税理士に向いている人の性格や特徴
税理士の仕事に向いている人の特徴を3つピックアップしました。
- 人とのコミュニケーションが苦にならない
- 正義感と倫理観が強い
- 勉強や仕事をコツコツと取り組むことが苦にならない
人とのコミュニケーションが苦にならない
IT全盛の時代とはいえ、税理士にコミュニケーション能力は必要です。一人で数字と向き合う作業だけならコミュニケーション能力は必要ありませんが、実際にはチームで動くことが多く、取引先に経営や税金に関するアドバイスをすることもあります。
数字と向き合うイメージが強い税理士ですが、意外と人と向き合う機会が多い仕事でもあります。
独立開業を目指す人なら営業が必要になるため、余計にコミュニケーション能力が必要です。
コミュニケーション能力に不安がある人は、まず情報共有や連絡、相談、顧客への提案と説明がしっかりできるようになりましょう。
正義感と倫理観が強い
取引先からは節税するためのアドバイスを求められますが、法律を逸脱しての節税をすすめてはいけません。
自分の知識を活かして節税に務めるのが税理士の仕事ですが、遵法意識があってこその節税です。
顧客獲得のために違法な会計方法をアドバイスしたり、指示されたからといって脱税を引き受けたりしてはいけません。
悪い方向に流されないための強い正義感と倫理観は税理士に必要な資質です。
勉強や仕事をコツコツと取り組むことが苦にならない
税理士の仕事は、数字と向き合う機会が多くなりがちです。また、頻繁な税法の改正によって、常に新しいルールを学び続ける必要があります。
地道な仕事の積み重ねと、コツコツ勉強できる資質は税理士にとって欠かせません。
少しづつ進めていく仕事に苛立ちを感じることなく、新しい情報を違和感なく取り入れることができる柔軟性がとても大切です。
コミュニケーションスキルが低い人は税理士を諦めた方が良い?
数字に向き合うイメージから税理士を志したものの、実際にはコミュニケーションスキルが必要と聞いて、がっかりしている人も多いのではないでしょうか。
IT社会が全盛を迎え、AIまで登場しつつある今の世の中で、本当に税理士にコミュニケーションスキルが必要なの?と考える人もいるかと思いますが、残念ながら前述のとおり税理士には最低限のコミュニケーションスキルが必要です。
もし、税理士の仕事にコミュニケーションスキルが不要な領域があれば、今後IT化やAIによって自動化されるでしょう。
税理士を志すうえでコミュニケーションスキルの習得はどうしても欠かせません。
コミュニケーションスキルに不安がある人は、日頃からスキルアップを意識した生活を始めましょう。
今日からできるコミュニケーションスキルを鍛える方法
コミュニケーションスキルに不安がある人でも、鍛えることでスキルアップできます。
日頃から取り組めるコミュニケーションのトレーニング方法を6つ紹介します。
- 日頃から積極的にコミュニケーションをとる
- 具体的に説明する
- 話し方の工夫
- 会話に比喩表現やたとえを織り込む
- 相手の話をしっかり聞く
- 相手を否定しない
日頃から積極的にコミュニケーションをとる
挨拶はコミュニケーションの基本です。友達や同僚、上司と会ったときは、率先して挨拶するようにしましょう。
笑顔で挨拶することがポイントです。無表情で挨拶されるよりも笑顔で挨拶された方が嬉しくなり、距離が縮まりやすくなります。
挨拶と合わせて、笑顔の練習をするとなお良いでしょう。
具体的に説明する
このくらいわかってくれるだろう、という自分本位の考え方で、抽象的な説明に終始するのは思いやりがありません。
相手がよくわかるように丁寧な説明をするのも、コミュニケーションスキルをあげるトレーニングの一つです。
具体的な説明をするために心がけたい3つのポイントを紹介します。
- 数字を入れる
- 地名や商品名などの固有名詞を織り交ぜる
- 体験談を織り交ぜる
例え話や事例、具体的な数字と合わせて説明すると、断然イメージがしやすくなります。コミュニケーションは相手を思いやることが基本です。自分本位にならないように気をつけましょう。
話し方の工夫
いくら具体的に話をしてみたところで、相手に伝わらないと意味がありません。相手に伝わりやすいように、話し方を工夫することを忘れないようにしましょう。
工夫するポイントは次の通りです。
- わかりやすい言葉を使う
- 聞き取りやすい声の大きさと抑揚で話す
- スムーズかつ聞き取りやすいスピードで話す
専門用語を極力減らすなど、相手によって話す内容を変えることも大切なスキルの一つです。
会話に比喩表現やたとえを織り込む
言葉で説明してもわかりにくい内容は、積極的に比喩表現を使うと理解しやすくなります。
例えば、インターネットのクラウドサービスの原理を専門用語を並べ立てて説明しても、専門家以外は理解できないでしょう。
比喩表現を用いて「ネット上にあるいつでも出し入れできる保管庫のようなもの」と説明すると、なんとなく大まかなイメージはできるのではないでしょうか。
比喩表現を使うときは、相手の知識や理解度を推しはかった上で使うようにしましょう。
相手の話をしっかり聞く
コミュニケーションと聞くと、こちらから積極的に話をして理解してもらうことと勘違いしてしまいがちですが、まずは話をするよりも聞き上手になることの方が大切です。
人は自分の話をしっかり聞いてくれる人に行為を持ちやすい傾向があります。相手の話をしっかり聞くことで、全体的なコミュニケーションが円滑になる、というわけです。
聞き上手になるためには、次の3つのポイントを意識しましょう。
- 相づちとうなずきで共感の姿勢を示す
- 相手の話に興味をもつ
- 話を最後まで聞く
相手を否定しない
話の途中で否定してしまうと、相手は不快な気持ちになってしまうでしょう。それ以上話をしてくれなくなるかもしれません。
どんな意見で合っても、まずは相手の話を聞くようにしましょう。相手の話をしっかりと聞いた後で自分の意見を伝える流れが大切です。
断定的な表現や否定的な表現はできるだけ使わないことがポイントです。「しかし」という接続詞は、相手の意見を根底から覆してしまう表現になるため、使い方には注意しましょう。
まとめ
税理士の仕事は様々な人の協力を得ながら、取引先の話を聞きつつ具体的な提案をする側面もあります。
数字と向き合う事務作業でも一人で完結できることはなく、色々な関係者とコミュニケーションを取りながら仕事を進めていく必要があります。
税理士に必要なコミュニケーションスキルは、日々の仕事や生活の中で改善可能です。細かな日常のやり取りの中でも、常にコミュニケーションを意識してスキルアップできるよう、取り組んでみましょう。
税理士.ch 編集部
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