省エネルギー投資促進支援事業費補助金2025とは?省エネ設備投資に使える補助金を改正内容も含めて詳細解説

令和6年度補正予算において、「省エネルギー投資促進支援事業費補助金」及び「省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金」の継続実施が決まりました。
この2つの補助金を称して「省エネ補助金」と呼びます。
これらの補助金は省エネ設備・機器の更新費用等の一部を支援するもので、前年度2024年にも公募が行われており、2025年度(令和7年)についても2025年3月31日に公募開始となり、現在第3次公募中です。
本記事は、「省エネ補助金」のうち、主に「省エネルギー投資促進支援事業費補助金」に焦点を当て、その改正内容も含めて詳しく解説します。
目次
- 省エネ補助金2025の2つの種類
- 省エネルギー投資促進支援事業費補助金2025の概要と2024年度からの主な変更点
- 省エネルギー投資促進支援事業費補助金2025の公募スケジュール
- 省エネルギー投資促進支援事業費補助金2025の全体スケジュール
- 省エネルギー投資促進支援事業費補助金2025の留意点
- まとめ
省エネ補助金2025の2つの種類
2025年に実施の省エネ補助金は以下の2つの種類があります。
「省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金」と「省エネルギー投資促進支援事業費補助金」です。
このうち、「省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金」は、先進的な省エネ設備や、工場・事業場に合わせた特注品、汎用的な省エネ設備、電化や脱炭素目的の燃転を伴う設備等の更新費用の一部を支援する補助金で、以下の(Ⅰ)工場・事業場型(Ⅱ)電化・脱炭素燃転型(Ⅳ) エネルギー需要最適化型から成り立っています。
一方、「省エネルギー投資促進支援事業費補助金」は、様々な業種で横断的に使われる汎用的な15種類の省エネ設備の更新に対応する補助金で、以下の(Ⅲ) 設備単位型、及び(Ⅳ) エネルギー需要最適化型(既出)から成り立っています。
ただし「省エネルギー投資促進支援事業費補助金」において、(Ⅳ) エネルギー需要最適化型は単独で利用できず、必ず(Ⅲ) 設備単位型とのセット利用が基本になっています。
そのため、もし(Ⅳ) エネルギー需要最適化型を単独で利用したい場合には、「省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金」の下での申請が必要です。
以下の表が省エネ補助金2025の全体像をまとめた一覧になります。
【全体概要】令和6年度補正予算事業

なお、省エネ補助金2025は、SⅡ(一般社団法人環境共創イニシャチブ)が代表幹事となり、大日本印刷株式会社と共同事業体で執行している事業です。
参照先:省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金|SⅡ(一般社団法人環境共創イニシャチブ)
参照先:省エネルギー投資促進支援事業費補助金|SⅡ(一般社団法人環境共創イニシャチブ)
省エネルギー投資促進支援事業費補助金2025の概要と2024年度からの主な変更点

省エネルギー投資促進支援事業費補助金2025の概要と、前年度からの変更点を以下にまとめました。
- 変更点①…より省エネルギー効果の高い事業に支援をおこなうため、省エネ要件を追加
- 変更点②…デジタル技術を活用したエネルギー消費の見える化や最適化に取り組み、GX・DXを加速する事業者を支援するため従来の要件を見直す
- 変更点③…下限額を100万円から30万円に引き下げ
【省エネルギー投資促進支援事業費補助金2025の概要】(今回の変更点には、該当箇所に下線を付与)

(※1)EMSとは、EMS(エネルギー・マネジメント・システム)制御のことで、工場や事業所などで電力や熱などのエネルギーを「見える化」し、効率的に制御・管理するための仕組みです。単なるモニタリングだけでなく、エネルギー使用量を最適化するための具体的な運用改善や機器制御を行う点が特徴です。本補助金では、(Ⅳ)エネルギー需要最適化型」事業区分に関連しています。
(※2)中小企業者等とは、「中小企業者(中小企業基本法第2条に規定する中小企業者であって、みなし大企業を除く)」、「個人事業主」、「中小企業団体等」及び会社法上の会社(株式会社・合名会社・合資会社・合同会社・有限会社)以外(医療法人、社会福祉法人、NPO法人等)であり、かつ従業員が300人以下の法人」
(※3) 大企業とは会社法上の会社(株式会社・合名会社・合資会社・合同会社・有限会社)であり、「中小企業者」、「みなし大企業」 のいずれにも該当しない法人。
その他とは、「みなし大企業に該当する法人」または「会社法上の会社(株式会社・合名会社・合資会社・合同会社・有限会社)以外(医療法人、社会福祉法人、NPO法人等)であり、かつ従業員が300人超えの法人」。
なお大企業については、次のいずれかの要件を満たす場合のみ補助対象事業者とする。
- 省エネ法の事業者クラス分け評価制度において『Sクラス』に該当する事業者(原則、公募締切時点で「令和6年定期報告書分」として資源エネルギー庁HPにて、『Sクラス』として公表されていることが確認できる事業者)
- 省エネ法の事業者クラス分け評価制度において『Aクラス』に該当する事業者
- 中長期計画書の「ベンチマーク指標の見込み」に記載された2030年度(目標年度)の見込みがベンチマーク目標値を達成する事業。
省エネルギー投資促進支援事業費補助金2025の事業目的
省エネルギー投資促進支援事業費補助金の目的は、省エネ効率の高いユーティリティ設備・生産設備への更新やEMSの導入による産業各分野への省エネルギー化の推進です。
最終的には、内外の経済的社会環境に応じた安定的かつ適切なエネルギー需要構造の構築を図ることをめざしています。
制度が作られた背景には、2030年のエネルギーミックスの達成、2050年のカーボンニュートラル実現に向けた2021年「第6次エネルギー基本計画」の策定があります。
さらに国は、2030年までに6,200万kl程度のエネルギーを削減するために、産業・事業部門問わず、更なる省エネ設備投資を積極的に呼び込むグリーンリカバリー投資の推進を打ち出しました。
その目的達成の施策のひとつとして、本補助事業(省エネ補助金)があるのです。
参照先:省エネルギー投資促進支援事業費補助金2025公募要領
(Ⅲ)設備単位型及び(Ⅳ)エネルギー需要最適化型の特徴
省エネルギー投資促進支援事業費補助金2025の特徴に、申請時に計画省エネルギー量・計画省エネルギー率の算出が必要な点があります。
そのため事業計画の審査では、省エネルギー量と省エネルギー率の目標が問われるので、事業実施の前後で省エネルギーの量・率を対比できるデータが必要です。
事業対象者はこの点、十分留意しておいて下さい。
(Ⅳ)エネルギー需要最適化型との組み合わせ
省エネルギー投資促進支援事業費補助金2025の下では、(Ⅳ)エネルギー需要最適化型を利用したい場合、必ず(Ⅲ)設備単位型との併用申請が必要です。
その場合、それぞれの申請要件、補助率が適用されます。
もちろん(Ⅲ)設備単位型の単独申請も可能です。
また(Ⅳ)エネルギー需要最適化型を単独で申請する場合は、別途「省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金」に申請することになります。
省エネ投資補助金2025の複数年度事業(2年度事業)
従来、設備単位型事業では、投資・事業計画が単年度で完了する事業が対象であり、複数年にわたる事業は対象外でした。
しかし本事業においては、総合経済対策を踏まえ、国庫債務負担行為を活用して、複数年(2年度事業)にわたる投資・事業計画を支援しています。
この取扱いにより、単年度事業では難しかった、より省エネ効果の高い大型設備投資への支援ができるようになりました。
以下の図は、従来の支援と本事業における支援を比較したものです。
(※) 複数年度事業に申請するための条件等は公募要領を確認のこと
また複数年度事業(2年度事業)に関しては、それを担保する意味から、予算の面でも2年間にわたり公募要領の中に組み込まれています。
予算額 | 1次公募予算 | 2次公募予算 | 3次公募予算 |
2025年度分(1年度目) | 約150億円 | 約110億円 | 約10億円 |
2026年度分(2年度目) | 約15億円 | 約20億円 | 約10億円 |
※上記の予算額は全ての事業区分を合わせたものである。
※公募における交付申請額の合計額が予算額を超える場合には、総合評価の結果、不採択となることもある。
※2次公募の申請状況により3次公募の予算が変動する場合がある。
参照先:省エネルギー投資促進支援事業費補助金2025公募要領
省エネルギー投資促進支援事業費補助金2025の公募スケジュール
本補助金の公募スケジュールは以下に示したとおりです。
- 1次公募期間…2025年3月31日~4月28日
- 2次公募期間…2025年6月2日~7月10日(交付決定日2025年9月上旬予定)
- 3次公募期間…2025年8月中旬~9月下旬予定(交付決定日2025年11月中旬予定)
- 事業期間…交付決定日~2026年1月31日まで(※複数年度事業は、交付決定日~2027年1月31日まで)
省エネルギー投資促進支援事業費補助金2025の全体スケジュール
省エネルギー投資促進支援事業費補助金2025の全体スケジュール、事業1年間の流れ、交付申請のステップは以下の通りです。
【全体スケジュールの流れ】
【事業1年間の流れ】

【交付申請のステップ】
STEP1 (交付申請スタート)…補助事業ポータルのアカウント登録
STEP2…公募要領、手引き等の確認
STEP3…更新予定の設備・エネマネ事業者の選定(既存設備の能力や稼働条件を踏まえて導入する設備を選定する。また導入予定設備が補助対象設備かの確認も必要。)
STEP4…見積の取得(3者以上からの見積を取得する。また導入を検討している設備がSⅡの定める事業完了日までに手配可能かも確認要。)
STEP5…交付申請に必要な書類の収集及び作成
STEP6…年間エネルギー量の算出(導入予定の設備の計算方法を公募要領等で確認し、設備情報及び稼働条件を補助事業ポータルに登録する準備をする。)
STEP7…補助事業ポータルへ必要情報を入力、作業終了後、書類を印刷
STEP8 (交付申請完了)…必要書類の印刷後、正本は郵送し、副本は手元に保管
省エネルギー投資促進支援事業費補助金2025の留意点
最後に省エネルギー投資促進支援事業費補助金2025の留意点を5点紹介します。
各項目を必ず守って申請し、後に補助金の支払拒否や返還を要求されないよう、十分ご留意下さい。
- 補助金の交付決定の前に契約したり発注されたりした事業(設備投資等)は交付対象とはならないのでご注意下さい。
- 事業完了(設置完了、検収、支払完了)後、SⅡに実績報告書を提出する必要があります。
そしてSⅡの確定検査後に補助金が支払われます。
- 導入した設備は、善良な管理者の注意をもって管理し、補助金の交付目的に従ってその効率的運用を図る必要があります。
- 設備の稼働後、省エネルギーの実績をSⅡに報告する義務があります。
- 導入した設備を財産処分する場合には、あらかじめSⅡの承認を得る必要があります。
上記に違反した場合、補助金の返還を求められる可能性もあります。
まとめ
省エネルギー投資促進支援事業費補助金2025について、その概要や2025年の改正点、実施スケジュールや留意点等、解説しました。
省エネルギー投資促進支援事業費補助金は、多彩な業種・規模で省エネを目的とした設備投資に活用できます。
事業計画において投資後の省エネ効果など煩雑な計算も必要とする補助金ですが、申請手続きをエネマネ事業者や設備販売事業者に依頼もできますし、2年かがりの事業に取り組める点も本補助金の魅力です。
本記事も参考に、省エネルギー投資促進支援事業費補助金を活用して、自社設備の省エネ化をぜひ前進・実現されるようおすすめします。

税理士.ch 編集部
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