【飲食事業者向け】東京都のベジタリアン・ヴィーガン認証取得支援補助金とは

【飲食事業者向け】東京都のベジタリアン・ヴィーガン認証取得支援補助金とは

飲食事業者向けベジタリアン・ヴィーガン認証取得支援補助金は、ベジタリアン・ヴィーガンのインバウンド需要を取り込みたいと考えている飲食店のために、認証取得を支援することに特化した東京観光財団による補助金事業です。

ベジタリアン・ヴィーガンの人は世界的に増えていることから、こうした人たちの食生活需要を取り込んだメニューを提供することは、インバウンド向けの飲食店として必要不可欠になっています。

ベジタリアン・ヴィーガンや補助金について解説します。

目次

ベジタリアンとは?

ベジタリアンは、肉や魚は食べない人たちのことです。イギリスで1847年にベジタリアン協会が発足したのを機にベジタリアンという言葉が使われるようになりました。

ベジタリアンは様々な意味で使われますが、一般的には肉や魚は食べず、卵や乳類は本人の選択で摂取し、穀物、野菜、豆類などの植物性食品を中心として食生活を営む人たちを意味します。

ヴィーガンとは?

ヴィーガンは、ベジタリアンからさらに徹底して、食用品はもちろん、衣料用などでも動物を摂取したり苦しめることをできる限り避ける考え方の人たちです。

そのため、動物の肉はもちろんですが、卵や乳類、蜂蜜、動物由来のゼラチン、羊毛脂なども食しません。さらに、衣服も皮製品、シルク、ウールを避けています。

ベジタリアンやヴィーガンは世界各地で広がっている

食生活でベジタリアンやヴィーガンの考え方を取り入れる人はイギリスなどのヨーロッパだけでなく、アジアやアメリカ、オーストラリアにも広がりつつあります。

日本でも、ベジタリアンやヴィーガンの考えを取り入れる方が増えています。

そもそも、日本では、江戸時代までは、一汁一菜と言い、穀物とみそ汁のみの生活を営んでいました。禅僧などは今でも、一汁一菜の食生活を維持しています。

そのため、和食に親しむ日本人にとって、ベジタリアンやヴィーガンの食生活は馴染みやすいと言えます。

現在では動物性食品が幅広く使われている

現在では、動物性食品が幅広く使われています。そのため、ベジタリアンやヴィーガンの食生活を維持したくても難しいこともあります。

そこでベジタリアンやヴィーガンの食生活を維持したい方のために、ベジタリアン認証やヴィーガン認証が広がっています。

ベジタリアン認証・ヴィーガン認証を受けた食品なら、動物性食品を使っていないので、ベジタリアンやヴィーガンの食生活を維持したい方も安心して食べることができます。

食品だけでなく、飲食店でもベジタリアン・ヴィーガン料理を提供する店が増えていますが、こうした飲食店を認証する制度もあります。

ベジタリアン・ヴィーガンの種類

飲食店がベジタリアン・ヴィーガンである訪日外国人観光客に対応するには、ベジタリアン・ヴィーガンの背景や食生活上の制限を理解することが大切です。

ベジタリアン・ヴィーガンの食生活を守る理由としては、宗教の信条がよく知られていますが、動物愛護、環境保護の考えに基づく方や健康維持や増進が目的の方もいます。

また、ベジタリアン・ヴィーガンと言っても様々な分類があります。

ヴィーガンは最も厳格で、赤身肉、白身肉、魚介類、乳製品、卵のすべてを食しません。また、蜂蜜、ゼラチンなど動物由来成分や昆虫も食しません。

一方、ベジタリアンは、蜂蜜、ゼラチンなど動物由来成分や昆虫はOKの方が多いです。赤身肉、白身肉、魚介類、乳製品、卵も主義により異なります。

種類食生活
ラクト・ベジタリアン乳製品はOK
オボ・ベジタリアン卵はOK
ラクト・オボ・ベジタリアン乳製品と卵はOK
ペスカタリアン(セミ・ベジタリアン)赤身肉、白身肉がNG
ポロタリアン(セミ・ベジタリアン)赤身肉のみNG

ベジタリアン等の世界人口と国別分類

観光庁が令和6年4月に発表した「ベジタリアン・ヴィーガン/ムスリム旅行者おもてなしガイド資料編」によると、ベジタリアン等の世界人口は増加傾向にあり、2023年の時点で約5.3億人に達しているとのことです。

そして、訪日外国人観光客のうち、ベジタリアン等の人口比率が高い国は次のとおりです。

国・地域ベジタリアン等比率
インド20.2%
台湾12.3%
カナダ11.8%
イタリア9.0%
ドイツ8.6%

インド人の訪日外国人観光客なら10人に2人、その他の国でも10人に1人はベジタリアン等の食生活を取り入れている可能性があるということです。

また、2023年におけるベジタリアン等の訪日外国人観光客の数は約128万人、飲食費に換算すると約609億円相当の規模になっています。

また、ベジタリアン等の訪日外国人観光客数を国別でみると、次のようになっており、圧倒的にアジアからの訪日外国人観光客が多いことが分かります。

国・地域推計値
台湾51.7万人
韓国20.3万人
中国10.3万人
米国8.4万人
香港5.8万人

参考ページ:多様な宗教的、文化的習慣を有する旅行者の受入環境の充実 | 観光庁

訪日旅行時に食事の基準を緩めないベジタリアン・ヴィーガンは34%

ベジタリアン・ヴィーガンの方でも、訪日旅行時は、食事の基準を緩める方も少なくありません。観光庁のアンケート調査結果によると、22%の方は食事の基準を緩めており、44%の方は毎食ではないが、部分的に基準を緩めています。

一方で、食事の基準を緩めない人も34%います。そのため、ベジタリアン・ヴィーガンに対応していない飲食店は、こうした方たちの需要を逃している可能性があります。

東京都の飲食事業者向けベジタリアン・ヴィーガン認証取得支援補助金とは?

東京都では、インバウンド支援の一環として、飲食店が第三者である認証機関のベジタリアン・ヴィーガン認証を取得する際にかかる経費を補助するために、「飲食事業者向けベジタリアン・ヴィーガン認証取得支援補助金」の事業を行っています。

詳しく見ていきましょう。

ベジタリアン・ヴィーガン飲食店認証機関とは?

国際基準の第三者認証に該当するベジタリアン・ヴィーガン飲食店認証機関としては、主に次の2つの機関が知られています。

いずれも農林水産省によるヴィーガン・ベジタリアンに適した加工食品(JAS0025)、ベジタリアン又はヴィーガン料理を提供する飲食店等の管理方法(JAS0026)のJAS認証機関で、ベジタリアン・ヴィーガンの国際規格ISO23662に準拠しています。

補助金の交付対象となる飲食店

補助金の交付対象となる飲食店は次の2つの要件を満たす飲食店です。

  • 東京都内において、食品衛生法の飲食店営業許可又は喫茶店営業許可を受けて、営業を行っている店舗であること。
  • 東京都多言語メニュー作成支援ウェブサイト「EAT東京」の「外国語メニューがある飲食店検索サイト」に掲載されている店舗であること。

補助金の対象経費

補助金の対象経費は、上記の飲食店が第三者である認証機関によるベジタリアン・ヴィーガン飲食店認証を新たに取得する際にかかる経費です。

具体的には次のような経費です。

  • 審査料
  • 報償費謝金等
  • 初年度の登録料・認定ロゴ等使用料
  • 初年度の入会金・会員費等
  • 研修費

補助金の補助率と補助限度額

補助金の補助率と補助限度額はそれぞれ次のとおりです。

補助率補助対象経費の2分の1以内
補助限度額1店舗あたり補助限度額20万円

交付申請期間

令和7年4月1日(火)から令和8年3月31日(火)まで

ただし、補助金交付申請額が予算額に達した場合はその時点で受付が終了します。

飲食店がベジタリアン・ヴィーガン認証を取得する意義

飲食店が第三者である認証機関のベジタリアン・ヴィーガン認証を取得する意義としては、ベジタリアン・ヴィーガンの訪日外国人観光客へのアピールになることも挙げられますが、同時に、ヴィーガンやベジタリアンの食生活を実践している日本人へのアピールにもなります。

2023年の国・地域別ベジタリアン等比率によると日本は5.1%となっており、日本人でも20人に1人はベジタリアンであることが分かっています。

今後は、日本でも食料安全保障や健康維持、増進の観点からもベジタリアンの人が増える可能性があります。

ベジタリアン・ヴィーガン認証を取得しておく意義は、インバウンド需要への対応だけではないということです。

まとめ

ベジタリアンやヴィーガンの人が世界的に増えていることから、訪日外国人観光客を取り込むためにも、ベジタリアン・ヴィーガン認証取得の取得が有効です。

東京都では、東京観光財団が「飲食事業者向けベジタリアン・ヴィーガン認証取得支援補助金」を行っています。

東京都内の飲食店でインバウンド需要を取り込みたいと考えている店舗がある場合は、この補助金を活用して、ベジタリアン・ヴィーガン認証取得を目指すのも一つの手です。

東京都内の飲食店を顧問先に持つ税理士の方は、参考にしてください。

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