中小企業の助成金・補助金申請タイミングは?探し方や注意点も解説
助成金・補助金があれば、本来のコストを抑えて新たな事業や取り組みが行えます。しかし、助成金・補助金は個々に内容が異なるため、対象にならなければ採択もされません。
そこで今回は、中小企業が助成金・補助金を申請するタイミングや探し方についてご紹介します。税理士など、専門家が担う範囲や注意点についても触れているので、ぜひチェックしてみてください。
目次
中小企業の助成金・補助金申請タイミング
中小企業が助成金・補助金を申請するタイミングは、以下がおすすめです。
- 職場などの環境改善
- 人材育成
- 新規雇用者を増やす
新事業や規模の拡大といった時期以外でも、助成金・補助金は申請できます。特に、上記のタイミングなら現在の職場・労働者のままで申請でき、人材開発支援助成金など該当する助成金・補助金も多いです。
新規雇用はもちろん、環境改善や人材育成もコストがかかります。内容に合った助成金・補助金を探し、少しでも費用を節約しましょう。
中小企業が自社に見合う助成金・補助金を探すには
中小企業が助成金・補助金を探すなら、次の点を踏まえて行いましょう。
- 応募時期に備えた準備
- 助成金と補助金は内容が異なる
- 助成金・補助金の申請回数
- 実際の助成金・補助金探しは専門サイトが便利
それぞれ、以降で詳しくご紹介します。
応募時期に備えた準備
助成金・補助金は、募集時期がバラバラです。
また、年に数回募集されることもあれば、1回しかないこともあります。
そしていずれの場合でも、期間外の応募は一切受け付けません。ゆえに、少しでも気になる助成金・補助金を見つけたら、申請は次年度以降になるとしても、準備を進めましょう。
稀に、時期の変更もあるため、募集開始となった時点ですぐ申請できるよう、備えることが大事です。
助成金と補助金は内容が異なる
一括りにされやすいですが、厳密には助成金と補助金も違いがあります。
まず担当する省庁が異なっており、助成金は厚生労働省ですが、補助金は経済産業省です。助成金・補助金に関して問い合わせが必要な場合など、間違えないよう注意しましょう。
また、助成金は難易度が低く、申請すれば通ることが多いです。対して補助金は申請の後に審査があり、合格しなければいけません。
条件次第では、上限額より低い金額になる可能性もあります。難易度だけで考えるなら、助成金をメインに探した方が受給しやすいです。
もちろん、助成金であっても要件を満たしていなければ受給できません。申請時はミスが無いよう気を付けましょう。
助成金・補助金の申請回数
助成金・補助金の申請は、1つにつき1回とは限りません。
以下のような状況では、同じ助成金・補助金に再申請できる可能性があります。
- 前回とは対象となる労働者や事業所が異なる
- 前回とは助成金・補助金のコースが異なる
- 別年度に申請する
例えば人材育成関係の助成金の場合、条件が労働者1人につき1回なら、別の労働者が対象になった際に再申請可能です。環境改善も事業所1か所につき1回なら、複数の事業所を持っている中小企業が申請できます。
また同じ助成金・補助金の中に複数のコースがある場合、別のコースでなら受給可能です。A助成金にコース1・2があった場合、以前コース1で受給した労働者が、コース2にも当てはまる場合に申請できます。
そして、1つの助成金・補助金で複数回申請できれば受給額も増え、さらなるコスト削減に繋がります。同じ助成金・補助金であれば、前回の経験がある分、申請の手間を省けるのもメリットです。
実際の助成金・補助金探しは専門サイトが便利
助成金・補助金を探すなら、インターネットで「助成金」などと入力するだけでも数多の件数が見つかるでしょう。ただ、インターネット全体での検索は膨大すぎるので、絞り込みができる媒体の方が便利です。
例えば経済産業省や厚生労働省のホームページ、J-Net21やミラサポなどの支援サイトが該当します。最初から助成金・補助金を中心としたデータがまとまっている場所ゆえ、余計な情報も入りにくいです。
顧問の税理士や専門家が担当できる範囲
もし中小企業から助成金・補助金の申請について相談を受けた場合、税理士や専門家側は次のようなことが行えます。
- 税金など受給後の会計サポート
- 専門書類・用語の確認
- 併給調整が発生した際の見極め
- 必要に応じて助成金・補助金以外の提案をする
1つずつ見ていきましょう。
税金など受給後の会計サポート
税理士であれば、助成金・補助金に関する税金問題を担当できます。受給した助成金・補助金は、課税対象となっていることが多いです。
しかし中小企業側で課税について理解せず、納税分を含めて全額消費してしまうケースは少なくありません。そういった受給後の問題を解決するなら税理士の出番です。
専門書類・用語の確認
申請前に提出書類や計画書などを見せてもらうことで、税関係の問題がないかのアドバイスも行えます。
助成金・補助金の種類によっては、申請書だけでなく、労働者や事業所に関する様々な証明書が必要です。
加えて、専門用語を交えた書類作成も求められます。中小企業側で、書類作成が得意な労働者を雇用していれば問題ありませんが、そんなケースは稀でしょう。
そして専門家がいない状態で作成・申請すると、ミスによる再提出も発生しやすいです。時期によっては修正が間に合わなかったり、最悪、再提出も許されず不採択になるかもしれません。
ゆえに、専門家による書類チェックは税理士側からでも提案する価値があります。ミスがなければ再提出や不採択のリスクも減り、中小企業側も安心して提出しやすいです。
併給調整が発生した際の見極め
中小企業が複数の助成金・補助金に該当していても、併給調整によっていずれかしか受給できない場合があります。
その際も役立つのは専門家の知識です。
複数の助成金・補助金の比較は、素人目には受給額の多さなど分かりやすい部分でしか行えません。
税金を計算したら損をしてしまう可能性もあるでしょう。真に有利な助成金・補助金はどちらなのかを見極めるにも、税理士の助力が必要です。
必要に応じて助成金・補助金以外の提案をする
助成金・補助金そのものは目的ではなく、人材確保などの目的に必要な手段です。
ゆえに同等以上の資金を得られるなら、手間暇をかけて助成金・補助金を申請する必要はありません。
もし中小企業にとって、ほかに望ましい手段があるなら、そちらを紹介してもらったほうがありがたいはずです。助成金・補助金について専門的に調べるのも良いですが、中小企業のためになる提案ができるなら、併せて紹介しましょう。
税理士や専門家が助成金・補助金に関わる際の注意点
助成金・補助金の申請では、税理士やほかの専門家が全てを請け負うことはできません。ここでは、税理士側で担当する際の注意点をご紹介します。
助成金の申請ができるのは社会保険労務士のみ
助成金は、中小企業に代わって申請を行えるのが社会保険労務士のみとなっています。税・法の専門家であっても、社会保険労務士以外が代理申請を行うと罰せられるので注意しましょう。
ゆえに社会保険労務士以外の専門家は基本的に、必要書類の準備やサポートが主です。申請は中小企業の担当者自身に行ってもらうか、別途社会保険労務士に依頼する必要があります(税理士経由ではなく、中小企業が直接依頼する)。
万が一中小企業側から申請代行を依頼された場合は、きちんと断り、社会保険労務士に頼むなどの提案を行いましょう。ちなみに、社会保険労務士のみ行えるのは有償依頼を受けた場合で、無償であればその限りではありません。
また助成金の申請のみ無償で行っても、関連した有償業務が存在する場合は申請も有償と同等になり、処罰の対象です。
補助金や一部の助成金は税理士やほかの専門家も申請できる
社会保険労務士に代行が限定されているのは助成金のみであり、補助金であれば税理士やほかの専門家でも申請できます。また助成金であっても、民間団体などが管理しているものに限っては社会保険労務士以外でも可能です。
もし判別がつかない、要綱などに指定がない場合は問い合わせるか、社会保険労務士に任せた方が無難でしょう。
まとめ
助成金・補助金は、新事業のような大きな計画でなくても、人材確保や育成、環境改善といった理由で申請できます。ただ募集時期はバラバラであり、年に1度しかないものも多いです。
次年度に見送るとしても、申請を決めた時点で準備を進めましょう。その際、税理士や専門家の協力が役立ちます。
専門的な視点で書類のチェックや受給後を含めたアドバイスが得られ、再提出や不採択のリスクを減らせるなど、中小企業にとってメリットが多いです。助成金の申請など、違反行為には注意しましょう。
税理士.ch 編集部
税理士チャンネルでは、業界のプロフェッショナルによる連載から
最新の税制まで、税理士・会計士のためのお役立ち情報を多数掲載しています。
運営会社:株式会社ビズアップ総研
公式HP:https://www.bmc-net.jp/