給湯省エネ2025事業の補助金を詳しく解説!制度の概要やスケジュール、活用の注意点など

給湯省エネ2025事業の補助金を詳しく解説!制度の概要やスケジュール、活用の注意点など

給湯省エネ2025事業では、条件を満たした給湯機器の設置において、エコキュートなら最大13万円、ハイブリッド給湯器なら最大15万円、エネファームなら最大20万円の補助金が受けられます。

本制度は2024年に続いて2025年も「給湯省エネ2025事業」として補助事業の継続が決定されました。

この記事では、給湯省エネ2025事業の制度の内容や申請方法、スケジュール、補助金を活用する際の注意点など詳しく解説します。

目次

給湯省エネ2025事業とは?

給湯省エネ2025事業とは、正式名を「高効率給湯器導入促進による家庭部門の省エネルギー推進事業費補助金」といいます。

給湯省エネ2025事業の目的は、家庭のエネルギー消費で大きな割合を占める給湯分野において、高効率給湯器の導入支援を行い、その普及拡大により「2030年度におけるエネルギー需給の見直し」の達成に寄与することです。

給湯省エネ2025事業には、全体予算として580億円(令和6年度補正)が付けられ、うち32億円については、電気蓄熱暖房機及び電気温水器の撤去に対する補助が付けられています。

給湯省エネ2025事業の補助対象

給湯省エネ2025事業の補助対象については、戸建、共同住宅等によらず、以下の住宅に高効率給湯器を設置する事業が対象です。

申請区分設置する住宅補助対象者
購入・工事新築注文住宅住宅の建築主
新築分譲住宅住宅の購入者
既存住宅(リフォーム)工事発注者
既存住宅(購入)住宅の購入者
リース利用(※)新築注文住宅給湯器の借主
新築分譲住宅
既存住宅(リフォーム)

※本補助事業の補助対象となるリースは、法定耐用年数(6年間)以上のリース期間が設定された、いわゆるファイナンスリースです。そのため自社割賦(分割販売)、レンタルは補助対象になりません。また交付申請は、原則、給湯省エネ事業者の登録を受けたリース事業者が補助事業者として手続きを行う必要があります。

なお本記事では、以後の解説に関して、主に上記の申請区分「購入・工事」に沿って話を進めます。リース利用に関しては、「購入・工事」と補助額、条件等が同じですので、読み替えてご理解下さい。

参照先:補助金の交付申請(リース利用タイプ)|給湯省エネ2025事業

給湯省エネ2025事業の補助額と上限

給湯省エネ2025事業の補助金額と上限を補助対象給湯機器別に、一覧にまとめたのが以下の一覧表です。

導入する高効率給湯器に応じた定額を基本額として補助し、さらに性能加算額として、それぞれの給湯器についてA~C要件を満たす場合、その性能に応じて定額を補助します。(A~C要件を満たさない場合は基本額のみ補助)

さらに導入の補助対象給湯機器の設置に合せて撤去工事を行う場合、その工事に応じた定額が加算額として補助されます。(撤去工事に係る本加算額は予算32億円に達した時点で終了予定)

補助対象給湯機器補助金額
エコキュート(ヒートポンプ給湯器)・基本額:6万円/台
・A要件:10万円/台(インターネットに接続可能で、翌日の天気予報や日射量予報に連動することで、昼間の時間帯に沸き上げをシフトする機能を有する機種)
・B要件:12万円/台(補助対象となるのは、CO2排出量が基準より5%以上少なく、2025年度基準+0.2の性能を持つか、またはおひさまエコキュートである機種)
・A及びB要件を満たす機種:13万円/台
ハイブリッド給湯器・基本額:8万円/台
・A要件:13万円/台(インターネットに接続でき、昼間の再エネ電気を積極的に自家消費する機能を有する機種)
・B要件:13万円/台(補助要件下限の機種と比べて、5%以上CO2排出量が少なく、年間給湯効率が116.2%以上の機種)
・A及びB要件を満たす機種:15万円/台
エネファーム(家庭用燃料電池)基本額:16万円/台
・C要件:20万円/台(ネットワークに接続可能で、気象情報と連動することで、停電が予想される場合に、稼働を停止しない機能を有する機種)
高効率給湯器の導入と合せて蓄熱暖房機または電気温水器を撤去する場合(※)・蓄熱暖房機を撤去する場合: 8万円/台(上限2台まで)
・電気温水器を撤去する場合: 4万円/台(高効率給湯器の導入で補助を受ける台数まで)

※エコキュートからエコキュートへの交換の場合は、撤去費用の追加補助はなし

参照先:補助金の交付申請(購入・工事タイプ)|給湯省エネ2025事業

給湯省エネ2024事業からの変更点

給湯省エネ2025事業の給湯省エネ2024事業からの変更点は、主に補助金額に関する内容のみです。その内容を要約すると、補助の基本額で減少する一方、A~Cの各要件を満たした性能を持つ給湯機器に対しての補助金額は増加しています。

この変更からも、給湯省エネ2025事業では、新しい高効率給湯機器の導入で性能向上により重きを置いた促進態勢を取っていることがうかがえます。

申請区分と登録業者

給湯省エネ2025事業では、原則、以下の申請区分に応じたそれぞれの補助事業者が交付申請等の手続きを行います。ただし各補助事業者は、予め給湯省エネ事業者として登録を受けておく必要があります。(住宅省エネ支援事業者登録)

申請区分設置する住宅契約登録事業者
導入・工事新築注文住宅工事請負契約建築事業者(工事請負業者)
新築分譲住宅不動産売買契約販売事業者(含む販売代理)
既存住宅(リフォーム)工事請負契約施工業者(工事請負業者)
既存住宅(購入)不動産売買契約販売事業者(含む販売代理)

※リース利用に関しては、登録事業者は、消費者とリース契約を締結するリース事業者

給湯省エネ2025事業の申請スケジュール

給湯省エネ2025事業に係る補助金申請は、「事後申請方式」を採用し、工事完了後に申請を行います。申請は補助事業者(施工業者またはリース事業者)が消費者(建築主・工事発注者)に代行して行い、交付された補助金は消費者に還元されます。

また補助事業に係る残予算額は定期的に公表されており、予算が終了次第、受付も終了します。

2024年も予算はほぼ消化されたので、2025年の本補助金を活用したい方はできるだけ早めに申請することをおすすめします。本補助金の申請に係り、補助対象となる期間は以下の通りです。

【着工日の期間】2024年11月22日~予算上限額に達するまで(遅くとも2025年12月31日まで)

購入・工事区分着工日
新築注文住宅住宅の建築着工日
新築分譲住宅住宅の引渡日
既存住宅(リフォーム)対象機器(1台目)の設置工事の着手日
既存住宅(購入)住宅の引渡日

※工事請負契約以前に工事に着手した場合、補助対象にならない
※締切は予算上限に応じて公表する。なお、交付申請は工事の完了後に提出することができる

参照先:予算に対する補助金申請の割合|給湯省エネ2025事業

給湯省エネ2025事業の申請の流れ(図解)

給湯省エネ2025事業の申請の流れを図で示したものが以下になります。

交付申請等の手続きや補助金の消費者への還元は、建築事業者・施工業者(予め「給湯省エネ事業者」として登録要)が行います。

消費者(建築主・工事発注者)は自ら申請することはできないので、建築事業者・施工業者の申請手続きに協力します。

給湯省エネ2025事業活用のメリット・デメリット

給湯省エネ2025事業に係る補助金を活用する場合、メリットやデメリットがあります。

メリットやデメリットを知っておくことで、さらに補助金をうまく活用できます。

メリット

メリットの1つめは、初期費用が大幅に削減できる点です。エコキュート等は高効率給湯器の中でも比較的高額な製品になります。そのため補助金の活用で投資に係る初期費用を大幅に減らすことができます。

メリットの2つめは、省エネ性能がより高い最新機種への買い換え(乗り換え)が容易になる点です。給湯省エネ2025事業では、より省エネ性能の高い機種への買い換えや、ネット接続対応の最新給湯機器モデル、従来以上に電気使用量を削減できる電気温水器等への補助額を厚くしているので、活用価値は大変高いといえます。

メリットの3つめは、設備更新の好機となる点です。仮に消費者のご自宅の給湯機器が老朽化していたら、給湯省エネ2025事業補助金の活用は最新モデルの高性能なエコキュート等に更新する絶好の機会といえるでしょう。

デメリット

一方、給湯省エネ2025事業活用のデメリットも2つあります。デメリットもあることを理解した上で補助金の活用が必要です。

デメリットのひとつは申請の手続きが面倒な点です。たとえば申請にあたり、給湯機器の型番を示す書類をそろえたり、工事前後の写真を適切に写したりして期限内に提出する手間があります。

特にほとんどの方が初めての経験なのでその手順に戸惑うことも多いでしょう。ただし申請は設置事業者が代理で行うので、手続きも考えているより難しくない場合が多いです。

もうひとつのデメリットは、補助金の支給が工事完了後なので、支給されるまでに時間が掛かる点です。その理由は、本補助金が工事完了後に申請が承認されて初めて支給される仕組みだからです。ときには支給までに数カ月待たされることもあります。もし受給予定者本人に資金の余裕がない場合、その待ち時間がデメリットとなる場合もあります。

工事着工前には、事前に十分資金計画を練った上で必要資金を準備しておくことが肝心です。

給湯省エネ2025事業の注意点

給湯省エネ2025事業の補助金を活用する際には、補助事業者(施工業者またはリース事業者)も消費者も本制度の疑問点を解消し、また注意点を深く理解している必要があります。

本章の最後にそれらの項目を確認しておきましょう。

本補助金は後払い、先払い?

本補助金は後払い方式を採っています。具体的な流れを示すと以下のようになります。

  1. 設置工事に掛かった費用を購入者が全額支払う
  2. 補助事業者(施工業者等)が申請手続きを代行する
  3. 補助金承認及び交付後、指定口座に振り込まれる

以上のように補助金の支払いは工事完了後となるので、工事費用の支払計画は事前に綿密に立てておく必要があります。

子育てグリーン住宅支援事業との併用はできる?

本事業と子育てグリーン住宅支援事業は、補助対象となる製品及びその性能要件が異なりますが、一部の補助対象となる機器は重複しています。

そのため複数の高効率給湯器を導入した場合、給湯器の性能等に応じて両事業を併用し、それぞれ補助を受けることができます。(同一の契約および工期でも可)

ただし、両事業の補助対象である機器であっても、一つの機器に対して両事業の補助を受けることはできず、子育てグリーン住宅支援事業の新築に対する補助を受けた場合、本事業は利用できない点に留意が必要です。

給湯省エネ2024事業の交付を受けた給湯器の本事業における取扱いは?

給湯省エネ2024事業(令和5年度補正予算)で補助金の交付を受けた給湯器は、本事業の補助対象とはならないのでご留意下さい。

他の補助金との併用は可能?

同一の高効率給湯器に対して、重複して国の他の補助制度から補助を受けることはできません。ただし地方公共団体の補助制度については、国費が充当されているものを除き、併用可能です。

設備設置後、補助金を受けたことに伴う義務は?

特段の義務はありません。ただし補助金の申請時に提出した書類内容に虚偽があったことが見つかった場合、あるいは補助金を目的外に使用したことが判明した場合は補助金の返還を求められる可能性があります。

まとめ

給湯省エネ2025事業について、その制度の内容や申請方法、スケジュール、補助金を活用する際の注意点など、詳しく解説しました。自宅等に最新の高効率給湯器を導入したい方にとって、給湯省エネ2025事業の補助金の活用は、それを実現できる絶好のチャンスです。

省エネ性能の高い機器への買い換えや設備更新は必ずや家庭の光熱費削減へとつながります。エコキュートの導入や設備の更新を通じ、また省エネ機器で快適な生活を得るため、給湯省エネ2025事業の補助金を最大限に活用して、家計と環境に優しい選択をしていきましょう。

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