令和7年税制改正で「地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)」の控除延長措置が決定!昨年との違いや注意点についても解説

昨年末に令和7年税制改正が発表され、その中に地方創生応援税制、通称企業版ふるさと納税の制度改正も盛り込まれました。「地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)」は、企業にとって大きな影響を与える制度であり、今年の改正をきっかけに改めて注目されています。本記事では、「地方創生応援税制」に関して、制度概要や利用するメリット、また令和7年税制改正における延長措置についてわかりやすく解説していきます。
最新の情報については、公式情報や最新のガイドラインを確認するようにしてください。
(参考リンク:企業版ふるさと納税ポータルサイト)
地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)とは?
「地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)」とは、国が認定した地域再生計画に位置付けられる地方公共団体の地方創生プロジェクトに対して企業が寄附を行った場合に、法人関係税が控除されるという2016年に創設された制度です。
創設の背景としては、人口減少・少子高齢化の問題があります。人口減少・少子高齢化により地域の社会課題が複雑化する中で、地方公共団体だけで課題を解決することは容易ではありません。さらに、地域経済が縮小する中、それぞれの地域内の人材や事業者だけで活性化を図ることも難しいのが現状です。一方、SDGsへの関心の高まり等を背景に、地域の社会課題の解決に積極的に取り組む企業・人材が増えているという側面もあります。そこで、これらの民間資金や人材を地方に還流させることにより、効率的に地域の社会課題を解決することを狙って新設されたのが地方創生応援税制なのです。
制度のポイントは以下の4つです。
- 損金算入による軽減効果にさらに税額控除による軽減効果を上乗可能(併せて9割控除可能、2028年3月末まで)
- 企業が寄附しやすいよう、寄附額の下限は10万円と低めに設定
- 寄附企業への経済的な見返りは禁止
- 寄附額は事業費の範囲内とすることが必要
本制度は、企業側にとって損金算入などにより実質的な負担を約1割まで圧縮することができるという節税メリットが大きい制度です。また、地方公共団体にとっても、寄附により地域振興や地方創生が後押しされるため、双方がメリットを享受することができる重要な制度なのです。
さらに、本制度の活用を通じ、様々な形で企業と地方公共団体がパートナーシップを築いていけるようになることも狙いとなっています。
地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)のメリット
企業にとって、地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)を活用することにより得られるのは税制面でのメリットだけではありません。ここでは、本制度の活用が企業に与える影響や効果について解説していきます。
税額控除のメリット
地方創生応援税制を活用する最大のメリットは、税額控除です。企業は、損金算入による軽減効果(寄附額の約3割)に併せて、令和2年度税制改正により拡充された税額控除(寄附額の最大6割)により、最大で寄附額の約9割が軽減され、実質的な企業の負担を約1割まで圧縮することができます。
企業の社会的責任(CSR)の向上

地方創生応援税制を活用することによって、企業は地域経済に貢献し、社会的責任を果たしていることをアピールすることができます。これにより、企業のCSR活動の評価が高まり、消費者や取引先、さらには投資家からの信頼を得ることもできるのです。特に、企業の社会的責任が重視される昨今において、地域貢献活動は企業のブランド価値を向上させる一手となり得るでしょう。
地域との連携強化
地方創生応援税制を利用することで、企業は地域公共団体との連携を深めることができます。地域と連携したプロジェクトを支援することにより、地域とのネットワークを築き、地域における認知度を高めることができます。これにより、地域の人々との信頼関係を築き、新たなビジネスチャンスを得る可能性も広がります。
寄附募集事業について
地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)は以下の25種類の事業について寄附することができます。
- 企業誘致・起業支援
- サテライトオフィスの整備等
- ICT
- イノベーション
- 就業支援
- 人材育成
- 生涯活躍のまち
- 移住・定住
- 関係人口の創出・拡大
- 観光・交流
- 文化・芸術
- 文教施設
- スタジアム・アリーナ
- スポーツ(スタジアム・アリーナを除く)
- 情報発信・PR
- エネルギー
- 結婚
- 子育て
- モノづくり
- 福祉・医療
- 環境保全
- 農林水産業
- 防災対策・復興支援
- インフラ整備(道路・交通・都市計画等)
- 空き家・空き店舗対策
令和5年度の寄附実績では、「しごと創生」への寄附が最も多く、次いで「地方への人の流れ」や「働き方改革」への寄附も多く集まりました。また、能登半島地震に関連する寄附も多く集まりました。
(参考リンク:地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)の令和5年度寄附実績について(概要))
令和7年税制改正による延長と変更点
令和7年度の税制改正では、地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)が延長されることが決定しました。この延長措置に伴い、いくつかの変更点が加えられました。ここでは、具体的な変更点について解説していきます。
税金控除適用期間の延長
後述の制度改善策を講じることを前提に、税額控除の特例措置が3年間(2028年3月末まで)延長されることとなりました。
地方公共団体におけるチェック機能の強化
寄附活用事業の実施に当たり、留意すべき事項のチェックリストを導入し、各実施段階でチェックを行うこととなりました。チェックリストは、寄附活用事業の実施報告と併せて各会計年度終了後に国に提出しなければなりません。また、寄附受領時に寄附活用事業の歳出予算が帰結前である場合など、一定の場合においては、事業の各段階において国にチェックリストを提出する必要があります。
実施状況の透明化
契約手続等の際、競争入札において一社応札で受託した場合など、一定の場合においては、国への実施報告を義務付けるとともに、寄附法人名の公表を求められる場合があります。また、競争入札もしくは随意契約した発注先は、地方公共団体において公表する必要があります。
欠格期間の創設
地域再生計画の認定取消しを受けた場合、2年間再申請することができなくなりました。
(参考リンク:令和7年度税制改正 企業版ふるさと納税の延長)
申請時の注意点

地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)を活用する際の申請時には、いくつかの注意点があります。ここでは、税制改正後の新たなポイントについて解説していきます。
寄附金の使途を明確にする
申請において最も重要な点は、寄附金がどのように使われるのか、具体的な使途を明確にすることです。税制改正後は、寄附金の使途が事前に詳細に記載されたプロジェクトでないと、寄附先として認められないことがあります。したがって、企業としては寄附先に対してどのような事業が行われるのかをしっかりと確認し、明確にしておく必要があります。
寄附先自治体の選定
寄附先の自治体についても慎重に選定する必要があります。寄附先として選ばれる自治体は、その地域の経済活性化に貢献する事業を行っていることが求められます。したがって、自治体の選定基準に合致するかどうかを確認し、プロジェクト内容が税制改正後の基準に適合するかをチェックすることが重要です。
提出書類の整備
申請手続きには、寄附に関する詳細な書類や証明書の提出が求められます。これには、寄附先のプロジェクトに関する詳細な説明書、寄附金の使途を証明する書類、企業の法人税額計算書などが含まれます。新たに導入されたオンライン申請システムでは、これらの書類をデジタルで提出できるようになっていますが、書類の不備があると申請が通らないこともあるため、提出前にしっかりと確認することが求められます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
本記事では「地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)」に関して、制度概要や利用するメリット、また令和7年税制改正における延長措置について解説してきました。
要約すると、
- 本制度を活用し、地方公共団体の地方創生プロジェクトへの寄附をすることで、損金算入や税額控除などにより実質的な税負担を約1割まで圧縮することができる
- 令和7年度税制改正によって、損金算入や税額控除などの優遇措置は3年間延長されることとなった(2028年3月末まで)
- 延長に伴い、寄附活用事業のチェックが厳格化し、実施状況の透明化も促進される
令和7年税制改正での地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)の変更点はこのようになっています。
地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)」を積極的に活用することで、税制面のメリットを享受し、同時に地域貢献活動を通じて企業の社会的責任を果たすことができます。地域との連携を深め、社会的な信頼を得るためにも、地方創生応援税制を賢く活用してくことが大切です。
本記事が少しでも参考になれば幸いです。

税理士.ch 編集部
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