令和6年度は一部拡充も?一般教育訓練給付制度の特徴を解説

一般教育訓練給付制度は、指定の訓練を受けた場合に費用の一部を支給してもらえます。
令和6年度は、一部に追加給付などの変更がありました。そこで今回は、一般教育訓練給付制度について、令和6年度の内容を中心にご紹介します。

目次

令和6年度に追加給付が決定した一般教育訓練給付制度

令和6年度の一般教育訓練給付制度は、10月に追加給付が決定しました。
そもそも、教育訓練に関わる給付には一般教育訓練給付制度のほか、特定一般教育訓練給付金と専門実践教育訓練給付金があります。

うち、今回追加給付となったのは後の2つです。まず特定一般教育訓練給付金は、本来40%の給付率だったものが令和6年10月以降は50%に増加しました。専門実践教育訓練給付金も、70%から80%の拡充です。

ただし、無条件の拡充ではありません。特定一般教育訓練給付金は訓練後に資格取得及び就職を、専門実践教育訓練給付金では訓練後に賃金の上昇(5%)が必要です。

ただ学ぶだけでなく、それがきちんと仕事に活かされていることを証明しましょう。また、それぞれ10%追加されるとはいえ、特定一般教育訓練給付金は5万円、専門実践教育訓練給付金は8万円が上限です。

ちなみに、追加給付はあくまで令和6年10月からであるため、9月30日以前に訓練の受講が始まる場合は適用されません。令和6年9月30日以前に受講される場合は、従来の給付率のままです。

一般教育訓練給付制度の追加給付で必要な書類

追加給付を申請するには、証明書類が必要です。給付金ごとに提出書類も変わるため、間違えないようにしましょう。

特定一般教育訓練給付金の必要書類

まず、特定一般教育訓練給付金の追加給付で必要な書類は、以下の7つです。

  • 教育訓練給付金支給申請書
  • 受給資格確認通知書
  • 本人・住居所確認書類
  • 資格取得等したことを証明する書類
  • 教育訓練実施者の発行する教育訓練経費に係る領収書
  • 特定一般教育訓練給付追加給付申請時報告
  • 返還金明細書

教育訓練給付金支給申請書は、ハローワークのホームページなどに様式があるので取得し、記入しましょう。資格証明は、免許や合格証などが使えます。

また最後の返還金明細書は、領収書の発行後に費用の一部を還付された場合にのみ必要です。加えて、本人以外が申請を行う場合は、上記に加えて委任状の提出が求められます。

専門実践教育訓練給付金の必要書類

続いて、専門実践教育訓練給付金の追加給付で必要なのは、次の6つです。

  • 教育訓練給付金支給申請書
  • 教育訓練給付金受給資格者証または教育訓練受給資格通知
  • 受講開始前および訓練修了後の6か月間の賃金等を確認するための書類
  • マイナンバーカード
  • 専門実践教育訓練給付追加給付申請時報告
  • 返還金明細書

申請書の取得や返還金明細書の提出条件は、特定一般教育訓練給付金と共通しています。

一方で、専門実践教育訓練給付金は状況によって提出の要不要が変わる書類も多いです。例えば賃金等を確認するための書類は、ハローワークで詳細を確認できる場合に省略できます。

また書類提出が必要な場合、自身で計算するのではなく、事業主に証明を依頼しなければいけません。そしてマイナンバーカードは、受験資格確認の際に写真を提出していない場合に必要です。

このように、人によって実際に提出する書類の数が異なるため、自分の場合はどれが該当するかをきちんと把握しましょう。無論、専門実践教育訓練給付金で代理人に依頼する場合も、上記に委任状が追加されます。

追加給付の申請期限

申請書類は、指定の期間内にハローワークへ提出しなければいけません。

特定一般教育訓練給付金の場合、雇用された日もしくは資格取得日(いずれか後の方)の翌日から1か月以内と短いので注意しましょう。提出先は住居のある地域のハローワークです。

一方、専門実践教育訓練給付金の場合は雇用された日もしくは資格取得日から6か月以内に提出します。ただし、厳密には「雇用された日もしくは資格取得日の翌日から6か月後を起点として6か月以内」です。

早すぎ、遅すぎる申請は受理されない可能性もあるので気をつけましょう。

一般教育訓練給付制度における各給付金の違い

ここでは改めて、一般教育訓練給付制度の給付金それぞれについてご紹介します。自身はどの給付金を申請できるのか、追加給付の対象となるのか確認してみましょう。

一般教育訓練給付金

まず、一般教育訓練給付金は以下に当てはまる方を対象としています。

  • 受講開始日時点で雇用保険の支給要件期間が3年以上
  • 受講開始日時点で被保険者でない
  • 被保険者資格を喪失した日から受講開始日までが1年以内
  • 前回の教育訓練給付金受給から今回までに3年以上経過 など

条件の支給要件期間は、今回が初めての受給なら1年以上に緩和されます。同一の雇用主でなくても通算でカウントされるものの、条件次第では除外される場合もあるため注意しましょう。

また費用の20%が支給され、上限は10万円です。ただし、費用自体が4000円以下なら受給されません。

ちなみに、教育訓練の内容に関しては、以降の特定一般教育訓練給付金及び専門実践教育訓練給付金に該当しないものが対象です。TOEICや簿記、宅地建物取引士など幅広い資格の講座が該当します。

特定一般教育訓練給付金

特定一般教育訓練給付金は、再就職やキャリア形成を早期に行えるような教育訓練が対象です。

介護支援の研修や、大型自動車免許などが該当します。対象者の条件は、一般教育訓練給付金と共通していおり、始めて受給する場合の支給要件期間緩和も1年以上です。

令和6年度の追加給付により、費用の40%に10%加算され50%となりましたが、上限は個別に決まっています。40%の方は20万円まで、10%の方は5万円が上限です。

また一般教育訓練給付金と同じく、費用そのものが4000円以下の場合は受給もありません。

専門実践教育訓練給付金

専門実践教育訓練給付金は、介護士や看護師など、労働者のキャリア形成を目的とした教育訓練に対して支給されます。対象者の条件は、一般教育訓練給付金と同じです。ただし、今回初めて受給する場合の緩和は2年以上となっています。

追加給付前の額は70%ですが、これは教育訓練経費の50%に資格取得等を評価した20%追加分が合わさったものです。つまり、令和6年度10月以降は訓練と資格取得、さらに賃金上昇評価を加えた額が支給されます。

とはいえ単純に80%ではなく、元々の50%は上限40万円、1度目の追加分20%と令和6年度の10%はそれぞれ16万円・8万円までです。加えて、専門実践教育訓練給付金も一般教育訓練給付金同様、費用自体が4000円未満の場合は受給できません。

教育訓練支援給付金

一般教育訓練給付制度は3つの給付金があるとしましたが、令和7年までの限定的な措置として、もう1つ教育訓練支援給付金が存在します。

給付されるのは次のような条件に当てはまる方です。

  • 専門実践教育訓練を受けるのが初めて
  • 受講開始時に45歳未満
  • 訓練期間中は失業状態 など

受講中、かつ基本手当が受けられない期間を対象に支給されます。

一般教育訓練給付制度は一部受講前申請が必須

一般教育訓練給付金以外は、訓練終了後のみならず受講前にも申請が必要です。

提出先は同じくハローワークですが、受講開始日の2週間前までに行わなくてはいけません。今までは締め切りが従来受講開始の1か月前まででしたが、令和6年度から緩和されています。

とはいえ、「明日から受講するからついでに申請もする」のように急な申し込みは不可能です。もし訓練の受講を検討していて、かつ給付金を得たいのであれば、先に受給申請を済ませましょう。

まとめ

一般教育訓練給付制度は、主に3つの給付金で構成されています。

うち、特定一般教育訓練給付金と専門実践教育訓練給付金は、令和6年度に追加給付が決定しました。従来の条件に加えて、訓練後の資格取得や賃金の上昇などにより、さらに費用の10%分が支給されます。

令和6年度と言っても、10月以降の追加給付であるため、9月以前に受講したものは対象外です。また追加分を受給する際も、上限額は元の給付金と追加分とで個別に計算されます。

よって、割合の合計と実際の支給額が異なる可能性も留意しておきましょう。加えて、給付金によっては受講前の申請も必要です。最初の申請がなければ、当然追加給付も申し込めません。令和6年度から緩和されたとはいえ、受講日の2週間前までに必要書類を揃えて申請しましょう。

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