【まとめ記事】令和6年度 税制改正について、仕組みや変更点を紹介

令和6年に行われた税制改正では、個人所得税や法人税、消費税など多岐にわたる分野での調整が行われており、納税者にとって大きな影響を与える可能性があります。特に、所得控除の拡大や新たな控除項目の追加、法人税率の見直しなど、事業者や個人の財務計画に重要な変更が含まれています。

本記事では、それぞれの改正点について詳しく解説し、実際の影響や対応策についてもご紹介します。

目次

所得税・個人住民税の定額減税

令和6年度税制改正による定額減税は、顧問先にとって関心の高い事項であるはずです。今年限りの措置とはいえ、月次減税前の5~6月、年末調整前の11~12月、そして確定申告期では定額減税に関する対応が必要になると考えられます。

賃上げ促進税制

令和6年度税制改正後の賃上げ促進税制は、令和4年度から行われていた制度を強化する制度です。大企業、中堅企業は最大で、全雇用者の給与等支給額の増加額の35%を税額控除できますし、中小企業なら最大45%を税額控除できます。

扶養控除の見直し

令和6年度税制改正では、政府が進めている「異次元の少子化対策」の一環として子育て世代の扶養控除等の見直しが行われました。高校生世代については、児童手当の対象となる一方で、扶養控除の額が引き下げられてしまいます。ただ、手取り額は給与収入にかかわらず増える設計になっています。また、ひとり親控除の拡充、子育て世代向けの住宅ローン減税の優遇措置なども盛り込まれています。

暗号資産にかかる税制

令和6年の税制改正では、法人の暗号資産の期末時価評価課税に関する見直しが行われました。Web3.0推進を目指した環境整備として、ブロックチェーン技術を活用した起業や事業開発の促進を目的としており、暗号資産を継続して保有する必要がある法人にとって有益な改正になります。

イノベーションボックス税制

イノベーションボックス税制とは、企業が新しいアイディアや方法を考え、それを具現化して価値を生み出したときの収益に対して税制上の優遇が受けられる制度のことです。近年注目が集まっている制度のひとつであり、イノベーションボックス税制を適用することで企業は税制負担というメリットを得られると同時に、社会課題解決にも大きく寄与することが期待されています。

ストックオプション税制

ストックオプション(SO)とは、法人の役員や社員などがその法人の株式を予め決められた期間に決められた価格で取得することができる権利のことをいいます。このうち、税制優遇のある「税制適格SO(ストックオプション税制)」がさらに使い勝手が良くなることになり、スタートアップを中心に大きな関心を呼んでいます。

プラットフォーム課税

令和6年度税制改正により、アプリストアなどを介し、日本の消費者向けにモバイルアプリなどを提供する国外事業者が本来納めるべき日本消費税を、プラットフォームを運営する事業者に代わりに納めさせる制度「プラットフォーム課税」が導入されます。

事業承継税

令和6年度税制改正により、事業承継税制(特例措置)が延長されることになりました。事業承継税制(特例措置)は、事業承継時の贈与税と相続税負担を実質ゼロにする制度で、期間限定で実施されています。

戦略分野国内生産促進税制

戦略分野国内生産促進税制は、GX・DX・経済安全保障の戦略分野における国内投資を促進するために、生産・販売量に応じて減税を行う制度で、令和6年度(2024年度)税制改正により創設されました。

中小企業事業再編投資損失準備金制度

中小企業事業再編投資損失準備金制度は、中堅・中小グループ化税制とも呼ばれ、中堅・中小企業がグループ化に向けてM&Aを実施することを後押しする制度で、「経営資源集約化税制」の一種です。令和6年度の中小企業事業再編投資損失準備金制度改正のポイントは、従来の経営力向上計画に係る制度が若干修正されたことと特別事業再編計画に係る制度が新設されたことです。

外形標準課税の見直し

外形標準課税は、資本金1億円超の法人に対して課せられるため、中堅企業や大企業の間では、資本金を1億円以下とする形の課税逃れが横行していました。その対応策として今回、資本金だけでなく資本剰余金も含めて、外形標準課税の対象企業を判定する見直しが行われました。

まとめ

以上、最新の税制改正についての概要をご紹介しました。税制は毎年変更があり、また施行時期も様々なため、確定申告や税務申告の時期に応じた適切な対応が求められます。常に最新の情報をキャッチアップし、クライアントに対して最適なアドバイスを提供するようにしましょう。

税理士.ch 編集部

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