令和6年度の事業承継・引継ぎ補助金を解説!10次以降の募集は?

今回は、事業承継・引継ぎ補助金についてご紹介します。この制度は、事業承継のタイミングで、新しい取り組みや組織内の再編などを行う中小企業を支援するものです。

令和6年度も半ばを過ぎ、改めてその内容や申請時の注意点、今からの申し込みは可能なのかなどを見ていきましょう。

目次

令和6年度における事業承継・引継ぎ補助金の状況

まずは令和6年度における、事業承継・引継ぎ補助金の募集状況についてご紹介します。

令和6年度は第10次公募まで

事業承継・引継ぎ補助金は令和6年11月現在、第10次公募まで行われていました。
最新回となる第10次公募は、令和6年7月1日に募集を開始、8月29日に採択者が決定しました。

また、令和6年度の予算は同年度用として組まれたものではなく、前年度の補正予算が使われています。令和6年度の事業承継・引継ぎ補助金予算については言及されていないようです。

令和6年度中に事業承継・引継ぎ補助金の再募集はあるか

令和6年11月現在、第11次以降の公募については未定です。

ただ、過去の公募が以下のタイミングで行われています。

  • 第10次:令和6年7月
  • 第9次:令和6年4月
  • 第8次:令和6年1月
  • 第7次:令和5年9月

各回は3か月前後の期間を空けて行われているため、11月以降に11次の公募があってもおかしくはありません。もっとも、令和5年度の補正予算がなくなり、かつ令和6年度は事業承継・引継ぎ補助金用に予算を組んでいないのであれば話は別です。

本年度の予算がないのであれば、次は早くても令和7年度としての公募となります。

もしできるだけ早い段階で応募をするなら、事業承継・引継ぎ補助金の公式サイトを随時チェックするなど、情報を常に把握しておきましょう。

事業承継・引継ぎ補助金の申請方法及び交付前後の流れ

今後、事業承継・引継ぎ補助金を申請するのであれば、予めその方法を把握しておくと、いざ公募が始まった時にスムーズです。

ここでは申請方法や、交付後の報告などについて見ていきましょう。

申請先は3事業

事業承継・引継ぎ補助金は、その内容に応じて次の3枠が用意されています。

  • 経営革新枠
  • 専門家活用枠
  • 廃業・再チャレンジ枠

さらに経営革新枠は3つ、専門家活用枠は2つの類型が存在するため、どれに該当するかを確認しておきましょう。過去の公募要項や、公式サイト上に掲載されている動画などが参考にしやすいです。

電子申請が原則

事業承継・引継ぎ補助金では、インターネットでの電子申請のみ受け付けています。

郵送やほかの手段では申請できません。

加えて、申請の際は「gBizIDプライム」のアカウントが必要です。「gBizIDプライム」のアカウントを取得するにも1、2週間ほどかかるため、申請を考えている時点で登録しておきましょう。

また事業承継・引継ぎ補助金の申請は、「jGrants」から行います。交付決定通知や、その後の実績報告など「jGrants」で行うことは多いです。

申請してすぐアカウントを削除することのないよう、気を付けましょう。

必要書類も電子化

申請がインターネット上であるため、必要書類も電子化(PDF形式)が求められます。

例えば以下は、法人の場合の共通の書類です。

  • 申請法人の履歴事項全部証明書
  • 直近3期分の決算書
  • 常時使用する従業員1名の労働条件通知書
  • 申請代表者の住民票

個人事業主なら確定申告書類、株主など共同申請者がいる場合はその分の書類などが追加されます。早めに用意しておくと申請もスムーズですが、書類によって申請予定日から3か月以内など、指定がある点に注意しましょう。

加えて、枠・類型ごとに必要な書類もあります。送付ミスを防ぐため、事業承継・引継ぎ補助金の公式サイトにあるチェックリストを活用しましょう。

交付決定後に事業実施

事業承継・引継ぎ補助金の対象となる事業は、交付決定後の実施が原則です。

具体的には、交付決定日から約6か月の間に実施します。そもそも、実際に補助金を交付するのは実施期間の後、改めて交付手続きを行ってからです。

ゆえに交付決定となった後でも、事業の実施タイミングが異なるなど、ミス次第で取り消しとなる可能性もあり得ます。

報告は交付後も必要

事業承継・引継ぎ補助金の交付決定後も、振り込みされて終わりではありません。補助期間及び終了後も、該当する事業の報告が義務付けられています。

終了後の報告は補助期間完了日の年度を0とし、以降5年間です。もし遵守しない場合、交付の減額や取り消しとなる可能性があります。

補助金が振り込まれた後であっても返還請求があるので、報告は忘れず行いましょう。詳細は「jGrants」のマイページからも確認できます。

事業承継・引継ぎ補助金の注意点

ここでは、事業承継・引継ぎ補助金を申請する上で、特に注意すべき点をご紹介します。申請内容にミスがあれば、当然やり直しです。

時には不採択となってしまうこともあるので、念入りにチェックしましょう。

事業承継・引継ぎ補助金は法人税の対象

事業承継・引継ぎ補助金は収益扱いになるため、法人税の課税対象です。特に交付を受けた年度では、計上することを忘れないようにしましょう。

複数枠の同時申請は可能か

事業承継・引継ぎ補助金の枠の内、複数に当てはまる内容であれば、同時申請も可能です。ただし、場合によっては1つの枠の事業費として含め、複数枠の申請を不要とするケースもあります。

例えば、経営革新枠や専門家活用枠の中で一部の事業を廃止する場合です。廃止があっても廃業・再チャレンジ枠の同時申請ではなく、廃業費の上乗せとして1枠のみの申請とすることがあります。

補助対象の内容変更は申請必須

事業承継・引継ぎ補助金として申請した内容に変更があった場合は、すみやかに報告しなければいけません。具体的には、次の状況に該当する場合です。

  • 該当事業で得た財産の転用あるいは処分時
  • 同財産の使用不可あるいは取り壊し
  • 事業自体の廃止
  • 該当事業で一定以上の利益が出た場合
  • 産業財産権の取得時

報告を怠った場合、補助金の停止やそれまでに受給した分の返還を求められる可能性もあります。また、申請した事業において承継や引継ぎが行われなかった場合も、やはり報告が必要です。

いずれの場合も「jGrants」に専用フォームがあるので、そちらから報告しましょう。

事業再構築補助金及びほか助成金との同時申請は原則不可

事業承継・引継ぎ補助金を申請するのであれば、原則としてほかの補助金や助成金は受けられません。もちろん、先にほかの補助金を交付されている場合、事業承継・引継ぎ補助金は申請できません。

似た内容の補助金であれば申請条件もクリアしやすいですが、併用はできないと思ってください。もしほかにも申請を検討している補助金があるなら、どれがより適しているか考えましょう。

また中小企業を対象とした補助金制度ではありますが、大企業から資金援助を受けている場合も申請対象外です。具体的には、大企業からの資金が5億円以上で、自社の株の100%を保有されている場合に当てはまります。

個人事業主の場合は青色申告のみ申請可能

事業承継・引継ぎ補助金は個人事業主でも申請できます。しかし、引き継ぎにおいてする側・される側いずれもが青色申告者であることが条件です。

どちらか、あるいは両方が白色申告者の場合は申請できません。

申請は締め切りの4営業日前までを推奨

事業承継・引継ぎ補助金の申請内容に不備があった場合、修正すれば再度審査をしてもらえます。しかし、締め切り間際になってしまうと、応募が集中するため審査も遅れがちです。

場合によっては、修正の猶予が与えられず、その回の公募では不採択となることもあります。実際、第10次公募では、期限間際の申請に対して事務局からの不備指摘はされず、不採択とされていました。

無論、全ての公募がそうとは限りませんが、今後の応募であっても、余裕を持った申請が望ましいです。可能なら、申請回の締め切り4営業日前を目安に行いましょう。

まとめ

事業承継・引継ぎ補助金は、令和6年度において前年度の補正予算を使っての公募が行われています。令和6年11月時点では、第10次の公募が採択まで進んでおり、11次以降については未定です。

しかし、過去の公募が3か月前後のスパンで行われていることから、予算次第では第11次も行われる可能性があります。予め第10次までの募集要項などを確認し、どの枠・類型に該当するか、必要書類は何か把握しておきましょう。

ちなみに、事業承継・引継ぎ補助金は電子申請であり、交付後の報告なども全て「jGrants」にて行います。「gBizIDプライム」アカウントの取得や書類のPDF化など、手間がかかることも多いため、早めに行動しましょう。

万が一ミスがあっても修正できるよう、期限の4営業日前までの申請完了が望ましいです。

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