【2024年版】IT導入補助金とは?対象事業者や5つの申請枠も紹介
ITツール導入を支えるIT導入補助金の受付が2024年もスタートしました。DX化や業務効率化を図る事業所はぜひとも活用したい制度です。
本記事では、IT導入補助金の概要と2024年版の変更点を詳しく説明しています。ITツール導入を考えている事業所があれば紹介してみてはいかがでしょうか。
目次
IT導入補助金とは
IT導入補助金とは、中小企業や小規模事業者が自社の課題やニーズに最適なITツールの導入を支援する補助金です。2024年の分は2月14日より申請受付がスタートしています。
IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者が「IT導入支援事業者」とパートナーを組み、特定のITツールを利用する場合に補助金を申請できる仕組みになっています。
自由にITツールを選べる仕組みではない点に注意しましょう。
課題解決に役立つ様々なソフトウェアやクラウドサービスが事前に登録されており、制度の枠組みがしっかりしているため、補助金受給までのスピードは比較的早いです。
IT導入補助金には5つの申請枠が設けられており、それぞれに対象となるITツールや補助金率が異なります。
通常枠 | 経営課題に合わせてITツール導入の際に申請できる基本的な申請枠 |
インボイス枠(インボイス対応類型) | インボイス制度に対応するための会計、受発注、決済ソフトや、PC・ハードウェアなどの導入補助 |
インボイス枠(電子取引類型) | インボイス制度に対応している受発注システムを、自社と取引先で導入する時の補助金 |
セキュリティ対策推進枠 | サイバーセキュリティ強化するためのITツール導入補助金 |
複数社連携IT導入枠 | 複数の事業者が連携してITツールを導入する際に申請する補助金 |
2024年IT導入補助金では、以下のポイントにて変更されています。
- 通常枠、セキュリティ対策推進枠、インボイス枠、複数社連携IT導入枠の支援枠に再構成
- インボイス枠では、小規模事業者に対する補助率を一部「4/5」へ拡大
- インボイス枠(インボイス対応類型)においては、インボイス制度に対応した「会計」「受発注」「決済」機能を有するソフトウェアが対象
対象となる事業者
IT導入補助金の対象となる事業者は基本的に中小企業と小規模事業者です。各業種ごとに条件が設けられています。
業種 | 条件の詳細 |
製造業、建設業、運輸業 | 資本金3億円以下従業員300人以下 |
卸売業 | 資本金1億円以下従業員300人以下 |
サービス業 | 資本金5,000万円以下従業員100人以下 |
ソフトウェア業、情報処理サービス業 | 資本金3億円以下従業員300人以下 |
旅館業 | 資本金5,000万円以下従業員50人以下 |
小売業 | 資本金5,000万円以下従業員50人以下 |
ゴム製品製造業(タイヤ製造業等を除く) | 資本金3億円以下従業員900人以下 |
医療法人、社会福祉法人、学校法人 | 従業員300人以下 |
その他の業種 | 資本金3億円以下従業員300人以下 |
対象となる小規模事業者には、従業員の基準が次の通り設けられています。
- 商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く) 従業員5人以下
- サービス業のうち宿泊業・娯楽業 従業員20人以下
- 製造業その他 従業員20人以下
対象外となる事業者
資本金や従業員の規定を満たしていても次のような事業者は対象外になります。
- 発行済株式の総数又は出資価格の総額の2分の1以上を同一の大企業が所有している
- 大企業の役員又は職員を兼ねている者が、役員総数の2分の1以上を占めている
- 直近3年分の各年又は各事業年度の課税所得の年平均額が15億円を超える
- 風俗営業等を営む事業者
5つの申請枠の概要
IT導入補助金には5つの申請枠が用意されています。それぞれの枠の詳細について説明します。
通常枠
通常枠では、業務のデジタル化を推進するためにITツールを導入する際の費用を補助します。対象となる業務プロセスは、「顧客対応・販売支援」「決裁・債権債務・資金回収管理」「供給・在庫・物流」など7種類です。
幾つの業務プロセスへソフトウェアを導入するかによって補助率や補助金が異なります。
対象となる経費の種類は、ソフトウェア購入費、クラウドサービス利用料(最大2年分)、オプションサービス(機能拡張やセキュリティ対策)のほか、導入にあたってのコンサルティング、マニュアル作成、研修、保守サポートなどです。
幅広く受け付けているため、申請しやすい枠です。
補助率 | 補助額 |
1/2以内 | 1プロセス以上 5万円以上150万円未満4プロセス以上 150万円以上450万円以下 |
インボイス枠(インボイス対応類型)
2023年10月にスタートしたインボイス制度によって、請求書の発行や保存において厳格なルールが決められました。インボイス対応類型は、インボイス制度に対応するために新たなソフトウェア、ハードウェアの導入を強いられる企業への補助金制度です。
補助対象はインボイスに対応した会計、受発注、決済システムや導入コンサルティング、各種ハードウェアの導入費用です。
導入するハードウェアの利用目的は、インボイス対応型のソフトウェアを使う場合に限定されます。
ソフトウェア
補助率 | 補助額 |
3/4以内 4/5以内 | 50万円以下 |
2/3以内 | 50万円超〜350万円以下 |
PCハードウェア
補助対象 | 補助率 | 補助額 |
PC・タブレットなど | 1/2以内 | 10万円以下 |
レジ・券売機など | 1/2以内 | 20万円以下 |
インボイス枠(電子取引類型)
インボイス制度は受発注と請求に関わる制度であり、インボイス対応はあらゆる取引先を巻き込んで対応しなければいけません。
インボイス枠(電子取引類型)は取引先を含めた複数企業でインボイスに対応する時に用いられる枠です。
補助率・補助額は発注者側の企業規模や受注側アカウント数によって異なります。
補助率 | 補助額 |
中小企業や小規模事業者 2/3以内その他事業者等 1/2以内 | 350万円以下 |
セキュリティ対策推進枠
サイバー攻撃による顧客情報の流出、生産・供給・決済に関わるラインの停止などを防ぐためのサイバーセキュリティ強化を目的とした補助金です。
選べるサービスは、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されているものに限定されており、導入費用および最大2年分のサービス費用が補助対象となります。
補助率 | 補助額 |
1/2以内 | 5万円〜100万円以下 |
複数社連携IT導入枠
関係の深い複数企業や特定の商圏で事業を行う組合のような企業群が連携してITツールを導入し、生産性の向上を図る場合の申請枠が複数社連携IT導入枠です。
商店街振興組合、商業活性化や観光振興の担い手となる中小企業または団体などが主な対象となります。
IT導入補助金の申請方法
基本的にIT導入補助金は、IT導入支援事業者との連携が基本です。IT導入支援事業者は、IT導入補助金事務局に登録されており、申請の手続きから流れまで熟知しているので、申請の際はまずIT導入支援事業者へ相談しましょう。
IT導入支援事業者は専用のWebサイトにて検索できます。
なお、以下のようなケースでは補助の対象外となりますので、事前にチェックしておきましょう。
- 補助金交付が決まる前に契約や支払いを終えて導入してしまう
- 登録されている汎用ソフトではなく、自社専用に大規模な開発・カスタマイズをする
- すでに購入済みのソフトウェアのライセンス延長
- 中古品やリース・レンタル契約
まとめ
IT導入補助金は、ソフトウェアやハードウェアの導入・購入に関する経費だけでなく、「IT導入支援事業者」への相談など各種サポート費用も対象となっています。
ほとんどの中小企業や小規模事業者が対象となるため、使いやすい補助金制度です。生産効率化や人手不足を解消するための省人化に取り組む事業者には、ぜひともおすすめしたい補助金です。
税理士.ch 編集部
税理士チャンネルでは、業界のプロフェッショナルによる連載から
最新の税制まで、税理士・会計士のためのお役立ち情報を多数掲載しています。
運営会社:株式会社ビズアップ総研
公式HP:https://www.bmc-net.jp/