税理士試験の勉強時間の目安は?効率の良い勉強方法を解説

税理士試験は、合格までには大量の勉強時間を要すると言われる難関資格の一つです。ですが、それぞれの科目の特徴を知り学習計画を立てることで、効率よく勉強を進めることができます。

この記事では、税理士試験の効率的な勉強法と目安の勉強時間について科目別に解説し、学生、社会人別の勉強法についても紹介します。

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目次

税理士試験の効率的な勉強法

税理士試験の効率的な勉強法は以下が考えられます。

  • 共通する科目を同時に勉強
  • 過去問を繰り返し解く
  • 時間を計りながら勉強

限られた時間を有効に活用し、税理士試験を勉強しましょう。

共通する科目を同時に勉強

税理士試験の科目は、それぞれ独立しているように見えて、内容が連動している部分もあります。たとえば簿記論と財務諸表論、どちらも企業の会計処理について学ぶ科目です。

簿記論で学んだ仕訳の知識は、財務諸表論の勉強で際に役立ちます。同時に勉強すると知識が深まり、記憶にも定着しやすくなるので、結果的に効率的な勉強法だと言えるでしょう。

過去問を繰り返し解く

過去問は、税理士試験の出題傾向や難易度を把握するために重要です。過去問を解くことで、「どんな問題が出やすいのか」「どの分野が苦手なのか」などの把握ができます。自分の弱点を知り、効率的な勉強プランが作成可能なため、合格への近道になるでしょう。

過去問を解く際には、ただ答え合わせをするだけでなく、なぜその答えになるのかの理解が重要です。間違えた問題については、解説を読み込んだり、参考書で該当箇所を復習したりして、知識の定着を図りましょう。繰り返し解くことで、問題のパターンや解き方に慣れるため、本番でも落ち着いて対応できます。

時間を計りながら勉強

税理士試験は、限られた時間の中で膨大な量の知識を問われる試験で、時間配分を意識した勉強が大切です。普段から時間を計りながら勉強すると、本番での時間配分をシミュレーションできます。

時間を計ることで、自分の集中力が続く時間や、1問あたりにかけるべき時間などが把握できます。たとえば、集中力が続くのは30分わかったら、30分勉強したら5分休憩する、といったように自分にとって最適なリズムで勉強が可能です。時間に対する意識が高まり、ダラダラと勉強してしまうことを防げます。試験本番のような緊張感を持って勉強に取り組め、集中力もアップするでしょう。

税理士試験の科目ごとの勉強法と時間の目安

税理士試験は科目ごとにボリュームが違い、以下が勉強時間の目安です。

科目勉強時間の目安
簿記論500~800時間
財務諸表論500~600時間
所得税法1,000~1,500時間
法人税法1,000~1,500時間
相続税法900~1,200時間
消費税法600~800時間
酒税法200~400時間
国税徴収法200~400時間
住民税200~400時間
事業税200~400時間
固定資産税200~400時間

ここでは、科目ごとの勉強法について解説します。

簿記論

簿記論は、最初の関門として立ちはだかる、税理士試験の登竜門的存在です。基礎をしっかり固めることが合格への近道と言えるでしょう。簿記論の勉強法は、何度も問題集を解くことです。

問題を解くことで、知理解が曖昧な部分を明確にできます。パターンや解法が身につき、試験本番での対応力も向上します。

財務諸表論

財務諸表論は、簿記論と内容が重複する部分もありますが、より深い理解が必要となります。財務諸表論の勉強法は、簿記論と同様に、問題集を繰り返し解くことが効果的です。

しかし、財務諸表論は、ただ計算問題を解くだけでなく、理論的な背景の理解が重要です。なぜそのような会計処理するのか、その結果、財務諸表はどう変化するのか、といったことを深く理解する必要があります。テキストや参考書をじっくり読み込み、理論的な知識を深めることも大切です。

所得税法

所得税法は、税理士試験の中でも比較的学習範囲が広い科目です。全てを完璧に理解しようとすると、かえって学習効率が落ちてしまいます。まずは「広く浅く」学習し、基礎知識をしっかり固めることが大切です。

所得税法は、実務と直結する内容が多く、実務経験を活かすことで効率的に学習を進められます。実務経験がない方でも、理論学習と並行して身近な事例に触れることで、所得税法の理解を深められます。

法人税法

法人税法は専門用語が多く、基礎知識がないまま問題集を解いても、解けない可能性があります。テキストで全体像を把握してから問題集に取り組むことで、効率的に学習を進められます。計算式を丸暗記するのではなく、なぜその式になるのか、数字が何を意味するのかの理解が重要です。

たとえば、「益金不算入」や「損金不算入」といった概念を理解すると、計算の全体像が見えてきます。最初は法人税法入門テキストや法人税法の基本計算といった教材を使って、基本的な計算問題から練習するといいでしょう。

相続税法

相続税法は、問題演習中心の勉強法がおすすめです。相続税法は、理論を完璧にしてから問題を解くよりも、問題を解きながら理論を理解していく方が効率的です。問題を解くことで、自分の理解度や弱点を確認でき、効果的な復習にもつながります。

消費税法

消費税法の計算問題は、正確さとスピードが求められます。計算問題を得意にするためには、繰り返し問題を解くことです。スポーツと同じで、練習すればするほど上達します。最初は簡単な問題から始めて、徐々に難しい問題に挑戦していきましょう。間違えた問題は、なぜ間違えたのかをしっかり理解し、同じ間違いを繰り返さないようことが大切です。

酒税法

酒税法はボリュームが少なく、暗記するだけでは合格が難しい科目です。酒類の判定を正しく回答するのが大切なため、暗記が必要です。専門学校で販売されている理論集などを参考に、勉強するといいでしょう。

国税徴収法

国税徴収法は、滞納処分や徴収猶予など、多岐にわたる制度を網羅しています。条文の丸暗記ではなく、制度の趣旨の理解が重要です。丸暗記だけでは、応用問題や実務への対応が困難です。

住民税

住民税は合格ラインが高く、計算問題はボリュームの多い問題が出題される傾向です。ハイレベルな戦いになるため、繰り返し計算問題を解くことが大切です。所得税法と学習範囲が重複しているため、所得税法と住民税を同時に勉強すると、効率よく勉強できます。

事業税

事業税は問題集やテキストが少なく、実務であまり使用しない科目です。法人税と関わりが深いため、法人税と同時に勉強するといいでしょう。

固定資産税

試験範囲が狭く、計算問題が多いことから、固定資産税は計算問題のケアレスミスが合格を左右します。多くの問題を繰り返し解き、スピードや正確さを意識した勉強が大切です。

税理士試験の勉強は何から始める?

税理士試験は科目が多く何から勉強を始めるか悩みますが、簿記論から始めるのがいいでしょう。また、一度の税理士試験で複数科目合格する必要はないため、毎年1科目合格を目指す方法もあります。

簿記論から始める理由

簿記論は、税理士試験の基礎となる科目です。簿記論で学ぶ知識は、他の科目でも応用できるため、最初に簿記論を勉強すると、その後の学習がスムーズに進みます。また、簿記論は計算問題が多く、他の科目に比べて比較的取り組みやすいという点も、最初に選ぶメリットと言えるでしょう。

たとえば、簿記論で学ぶ知識は、法人税法や所得税法などの税法科目でも必要となる知識です。簿記論で基礎をしっかりと固めておけば、税法科目の学習もスムーズに進み、理解度も深まります。

また、簿記論は計算問題が中心なので、暗記よりも理解が重要です。暗記が苦手な方でも取り組みやすく、モチベーションを維持しやすいという利点もあります。

毎年1科目合格を目指す

税理士試験は一度に全ての科目に合格するのは、非常に困難です。毎年1科目ずつ着実に合格していくことで、負担を軽減し、モチベーションを維持しやすくなります。

また、1科目に集中すると、より深く理解できるため、合格の可能性も高まります。科目の専門書や問題集を徹底的にやり込み、より深い理解となるでしょう。さらに、1科目合格するごとに達成感を得られるため、モチベーションを維持しやすく、次の科目の学習にも意欲的に取り組むことが可能です。

学生におすすめな税理士試験の勉強法

学生は社会人に比べて勉強時間に費やす時間が多く、短期合格が可能です。ここでは、学生におすすめな税理士試験の勉強法について解説します。

大学1・2年で簿記論と財務書法論の合格を目指す

簿記論と財務諸表論に的を絞って勉強すると、短期間での合格を目指せます。簿記論と財務諸表論は税理士試験の必須科目であり、最初に合格すると、その後の学習がスムーズです。自信がつき、その後の学習意欲も高まるでしょう。

税理士試験は長期戦になることが多いですが、最初の成功体験は、モチベーションを維持する上で非常に重要です。また、簿記論と財務諸表論の知識は、他の科目にも応用できるため、学習効率も向上します。

大学3・4年で税法科目の合格を目指す

大学3・4年になると、大学での専門的な授業が増え、税法に関する知識も深まります。法人税法や所得税法の授業を受講していれば、税法科目の学習内容をより深く理解できます。税法科目は、計算問題だけでなく、理論問題も出題されるため、計画的に学習を進めることが重要です。

社会人におすすめな税理士試験の勉強法

社会人は仕事や家庭のことで忙しく、まとまった勉強時間を確保が困難です。隙間時間の活用や長期的な計画で、税理士試験を勉強するといいでしょう。

通勤時間や昼休みの隙間時間を有効活用

1日に30分でも勉強時間を確保できれば、1ヶ月で15時間、1年で180時間もの勉強時間が生まれます。

たとえば、通勤電車の中でスマホアプリを使って問題を解いたり、昼休みにカフェでテキストを読んだりできます。また、音声教材を活用すれば、家事をしながらでも勉強可能です。スキマ時間を活用し、忙しい毎日の中でも効率的に学習できます。

長期的に計画

税理士試験は長期戦になることが多く、合格までに数年かかることも珍しくありません。長期的な計画を立て、モチベーションの維持が重要です。

短期的な目標ばかりに気を取られると、途中で息切れしてしまい、挫折してしまう可能性があります。長期的な計画を立てることで、目標達成までの道のりを明確にし、モチベーションを維持できます。

税理士試験の勉強法に関するまとめ

一度に複数科目を受験する方や時間がない社会人の方は、共通する科目を同時に勉強すると勉強の負担が軽減できます。また、繰り返し過去問を解くことで、問題のパターンや解き方に慣れるでしょう。

税理士試験はボリュームが多く、難関資格の一つですが、一度に5科目合格する必要はありません。科目合格の有効期限もないため長期的に計画し、挑戦してはいかがでしょう。

税理士.ch 編集部

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