主婦が税理士になるには何から始めれば良いの?リアルなロードマップをご紹介

主婦が税理士になるには何から始めれば良いの?リアルなロードマップをご紹介

税理士業は、家庭と両立しながらキャリアアップを実現できる魅力的な選択肢です。現在の生活スタイルを維持したままでも、具体的な学習計画を立てて学習に取り組むことができれば、税理士資格取得は夢ではありません。この記事では、試験の流れや税理士資格取得に必要な学習について、また生活スタイル別の具体的な学習スケジュールについてわかりやすく解説していきます。子育てしながら、働きながら税理士を目指している方は、ぜひ最後までお読みいただき、ご参考ください。

目次

税理士という職業の魅力とその可能性

税理士業は、企業や個人の税務・会計に関するスペシャリストとして、変化し続ける税制の中で豊富を活かし、経済社会に貢献する重要な職業です。また、近年では税理士業界でも在宅勤務やフリーランスといった柔軟な働き方が広がり、家庭と仕事の両立がしやすい環境が整っているという点も大きな魅力です。

税理士試験の仕組みと受験の流れ

はじめに、税理士試験の仕組みや受験の流れについて解説していきます。

受験資格について

税理士試験を受験するためには、以下のような一定の受験資格を満たしている必要があります。

  • 学識による受験資格:大学や専修学校等で社会科学に属する科目を履修した者、司法試験合格者、公認会計士短答式試験合格者
  • 資格による受験資格:日商簿記1級または全経簿記上級合格者、会計士補など
  • 職歴による受験資格:2年以上の一定の会計・法律事務経験者

受験科目について

税理士試験は科目合格制度をとっており、5科目に合格して初めて税理士資格を得るための実務に入ることができます。5科目の内訳は会計学に属する2科目と税法に属する3科目です。

一度合格した科目は一生有効なので、数年かけて5科目合格するのが一般的とされています。

試験のスケジュールを自分で決めることができるため、主婦や忙しい方にとって挑戦しやすい制度といえるでしょう。

分野科目選択or必須
会計学簿記論、財務諸表論必須
税法所得税法、法人税法いずれか1科目以上選択
相続税法、消費税法または酒税法、国税徴収法、住民税または事業税、固定資産税2科目もしくは1科目選択

受験スケジュール・その他

税理士試験の実施回数は年に1回で、例年8月に実施されています。

試験時間は1科目あたり120分で、受験手数料は1科目につき4.000円ですが、受験する科目数によって手数料は変わります。受験する科目数が多いほど1科目あたりの手数料は安くなります。

税理士資格取得への基本ロードマップ

税理士資格の取得には、国家試験に合格することが必須です。試験合格レベルの知識を身に着けるためには、一般的に1,500~2,000時間の学習が必要とされますが、ライフスタイルや学習環境によって前後します。資格取得を目指すためのステップを以下に解説していきます。

学習時間の確保

税理士資格は国家資格であり、難易度は高いです。育児をしながら、また働きながら資格取得を目指すのであれば、学習時間をどのように捻出するかが一番の大きな課題です。学習時間を確保するには、徹底したスケジュール管理や、家族の協力も欠かせません。周囲と連携しながら、受験までのスケジュールを組むことが大切なのです。

知識の習得

まずは会計学、税法、民法、商法など、税理士試験の主要科目を学習していきます。学習方法は独学、専門学校、または通信講座などがありますが、特に自宅で学習できる通信講座は時間の融通が利くため忙しい方に適しています。

モチベーションの維持

同じく税理士資格取得を目指す仲間同士のコミュニティに属することも有効な試験対策といえるでしょう。同じ志を持つ仲間がいることはモチベーションの維持につながり、情報共有や自分の弱点の把握にも役立ちます。

定期的なフィードバック

長期間の学習において、ストレスや疲労が溜まらないよう、定期的にフィードバックの機会を設けることが継続の秘訣です。設定した学習目標の進捗状況の把握や、無理な計画となっていないかこまめに確認することで、無理しすぎることなく学習をすすめていくことができます。

試験対策と模擬試験の実施

基礎知識が習得できたら、過去問演習や模擬試験を繰り返し学習し、出題傾向を把握し、自身の苦手分野を重点的に補強していきましょう。反復練習して実際の試験形式に慣れることが合格への近道です。

ライフスタイル別のロードマップ

資格取得のための学習スケジュールはライフスタイルによって大きく異なります。ここでは、ある3人の女性を例に挙げ、具体的な時間の捻出方法と目安となるスケジュールについて解説していきます。

【例1】Aさん:30代専業主婦(税理士事務所を退社して出産。4歳・2歳の子供を育児中)

必要学習時間の目安

全体で約1,500~2,000時間を想定します。子どもが小さい時期は、1日あたり2~3時間の学習を目標にします。

具体的な学習時間の確保方法

  • 朝の早い時間:子どもが起きる前に30分~1時間、テキストの読解やオンライン講座で基礎知識を固める。  
  • 昼の時間(子どもの昼寝中):1~2時間、集中して過去問や模擬試験に取り組む。  
  • 夜間:子どもが就寝後に1~2時間、復習と次の日の予習を実施。  

取得までの目安

このペースで学習時間を積み重ねると年間約800~1,000時間が確保できるため、2~3年で試験合格を目指すことが可能です。

【例2】Bさん:40代兼業主婦(中堅企業で経理事務、17歳・14歳の子供あり)

必要学習時間の目安

同じく約1,500~2,000時間の学習時間が目安です。平日の隙間時間の有効活用を目指します。

具体的な学習時間の確保方法

  • 平日夜:1日1~1.5時間、仕事後にオンライン講座や問題集で重点学習。  
  • 週末:3~4時間のまとまった学習時間を確保し、理解度を深める。  
  • 通勤時間の活用:オーディオ講座やポッドキャストなどで、1日あたり30分程度の復習を実施。  

取得までの目安

このペースだと週あたり約10~12時間、年間で600~800時間の学習が見込めるため、3~4年での資格取得を目指すことができます。

【例3】Cさん:30代専業主婦(子供はなく、自由に使える時間が多いが受験資格がない)

必要学習時間の目安

税理士試験の受験資格を得るために、まず簿記1級の取得を目指します。

簿記1級の学習時間で500~600時間税理士試験の学習時間で1,500~2,000時間、合計で約2,000~2,600時間の学習が必要となります。

具体的な学習時間の確保方法

  • 平日:1日4~6時間(午前中2~3時間+午後2~3時間)
  • 週末:5~7時間(午前3時間+午後2~4時間)

1週間で約30~40時間の学習時間を確保でき、効率的に学習を進められます。

取得までの目安

  • 簿記1級の取得(1日5時間学習の場合):約3~4カ月
  • 税理士試験の学習(1日5時間学習の場合):約10~12カ月(1年程度)

合計で、1年半~2年程度で税理士試験合格を目指すことが可能です。

独立に向けた準備と将来設計

税理士資格の取得後のライフプランを考えておくことも大切です。特に独立開業を目指す場合は、実務経験に加え経営戦略やマーケティングの知識も必要です。以下に独立開業する場合のポイントを解説していきます。

ビジネスプランの策定

どの顧客層にサービスを提供するかなどのビジネスプランを策定することはとても大切です。地域密着型にするのか、特定業界に特化するかなどで、立てるべき戦略は大きく変わってきます。より明確なビジョンを描くようにしましょう。

ネットワークの構築

同業者や金融機関、法律事務所などとの連携を強化し、独立後の集客や経営の安定化に備えます。なかなかつながりを持つ機会がなければ、商工会議所などの経済団体のサービスを利用することも有効です。

経営・マーケティングの研修参加

独立前後も、外部講座やセミナーを通じて、最新の経営知識やマーケティング戦略を習得し、変化する市場に迅速に対応できるようにしていきましょう。

まとめ

いかがでしたか?

本記事では税理士試験の流れや資格取得に必要な学習について、また生活スタイル別の具体的な学習スケジュールについてわかりやすく解説してきました。

税理士資格取得への道のりは、決して楽ではありません。しかし、家庭と両立しながらでも、しっかりと計画を立てれば誰でも実現可能なキャリアパスです。家族との協力体制を整え、計画的な学習と実践的な準備を重ねることで、未来は大きく開けるはずです。

本記事が、税理士を目指す方へ具体的なヒントを提供し、挑戦を後押しする一助となれば幸いです。

税理士.ch 編集部

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