食料品の消費税ゼロで家計はどうなる?メリット・デメリットを解説

食料品の消費税ゼロで家計はどうなる?メリット・デメリットを解説

2026年1月、高市早苗首相率いる自民党が、次期衆院選の目玉公約として「食料品の消費税率を時限的に0%にする」案の検討に入ったことが報じられ、大きな話題となっています。

物価高騰が続く中、日々の食卓を直撃する消費税が「ゼロ」になれば、私たちの生活はどう変わるのでしょうか。本記事では、生活者目線に立ち、具体的に何がいくら安くなるのかというシミュレーションから、この政策が抱えるメリット・デメリットまでを徹底解説します。

目次

そもそも「食料品0%」でいくら安くなる?

現在の日本では、飲食料品(酒類・外食を除く)には8%の軽減税率が適用されています。これが0%になるということは、店頭での支払額がそのまま約7.4%(税込価格から逆算)安くなることを意味します。

具体的に、スーパーやコンビニでよく買う商品の値段がどう変わるのか、生活者目線でシミュレーションしてみましょう。

具体的な価格シミュレーション(税込価格の比較)

商品アイテム現在の価格(税込8%)0%導入後の価格安くなる金額
お米(5kg)2,700円2,500円200円
牛乳(1L)270円250円20円
カップ麺(1個)216円200円16円
ポテトチップス(1袋)162円150円12円
ペットボトルお茶(500ml)162円150円12円
卵(10個パック)324円300円24円

ポイント:
1回の買い物で5,000円使っている場合、そのすべてが食料品であれば、支払いは4,630円程度まで下がります。月に食費を6万円かけている世帯なら、単純計算で月々約4,400円、年間で約5万円以上の節約になります。

「お菓子」や「飲み物」はどうなる?

特にお子さんのいる家庭で気になるのがお菓子やジュースです。

  • 100円(税別)のスナック菓子:108円 → 100円
  • 150円(税別)のチョコレート:162円 → 150円

コンビニでの「ちょっとした買い出し」の際、小銭の端数がなくなるため、支払いが非常にスムーズに感じられるようになるでしょう。

「食料品0%」がもたらす3つのメリット

高市首相が掲げるこの案には、単なる「値下げ」以上の大きなメリットが期待されています。

① 家計への直接的で即効性のある支援

所得にかかわらず、人間は必ず食事をします。食料品の免税は、どんな世帯にも平等に、かつ実施したその日から効果が現れる「最強の物価高対策」と言えます。特に、所得に占める食費の割合(エンゲル係数)が高い低所得世帯ほど、その恩恵は相対的に大きくなります。

② 消費マインドの改善

「消費税がなくなる」という心理的インパクトは絶大です。食費で浮いた月々数千円の資金が、他の消費(教育、娯楽、衣類など)に回ることで、経済全体の活性化につながる「呼び水」効果が期待されます。

③ 税制の「逆進性」の緩和

消費税は、所得が低い人ほど負担感が重くなる「逆進性」という問題を抱えています。生活に不可欠な食料品を非課税にすることで、この不公平感を是正し、「国の品格として食料に税を課さない」というメッセージを打ち出す狙いがあります。

懸念される3つのデメリットと課題

一方で、専門家や現場からは慎重な意見も根強くあります。単に「安くなって嬉しい」だけでは済まない側面も見ておかなければなりません。

① 巨額の税収減と社会保障財源

食料品の消費税率をゼロにすることは、家計への強力な追い風となる一方で、国にとっては極めて大きな財源の喪失を意味します。現在、私たちが支払っている消費税は、その多くが年金・医療・介護、そして子育て支援といった社会保障を支える安定的な財源として割り振られています。

この政策が「2年間」という期限付きであるからこそ、2年の期限が終了し、再び元の税率に戻す際には、生活者の家計に急激な負担増を感じさせるリスクがあります。一時的な恩恵が切れた後の反動をどう抑え、社会保障の質を落とさずに維持し続けられるかという「長期的な視点」での設計が不可欠です。

このように、目の前の生活を楽にするメリットと、自分たちが将来受けるべき社会保障サービスの安定性をどう確保するかが、この政策の最大の論点となります。

② 事務作業の複雑化とコスト

2019年に軽減税率(8%と10%)が導入された際も、レジ改修や値札の張り替えで現場は混乱しました。今回「0%」が導入されれば、再びPOSシステムの改修や会計ソフトのアップデートが必要になります。特に「テイクアウト(0%)かイートイン(10%)か」の判定はさらに複雑になり、飲食店の負担増が懸念されます。どのように変更を進めていくか、また仮に減税が決まったとして移行期間をどの程度とるかも、今後考えていくべき問題でしょう。

③ 「食品」の線引きと「便乗値上げ」のリスク

現行の制度では、アルコール度数1%以上のものは軽減税率の対象外となっています。何をもって「食品」とするかの線引きが再び議論になることが予想されます。

  • みりん(酒類)は10%、みりん風調味料は0%
  • ノンアルコールビールは0%、ビールは10%

このように、似たような商品で税率が大きく異なることへの困惑や、制度の穴を突くような商品開発が進む可能性があります。

また、食品全般に言えることですが、税率が8%に下がっても、原材料費の高騰を理由にメーカーや小売店が本体価格を引き上げた場合、消費者が実感できる値下げ幅が小さくなる(あるいは変わらない)恐れがあります。

まとめ:私たちの生活はどう変わるのか

与党だけでなく、野党からもしばしば主張される「食料品0%」案は、物価高に苦しむ国民にとって極めて魅力的な提案です。しかし、それは同時に「将来の社会保障をどう守るか」という問いを私たちに突きつけるものでもあります。

もし実施されれば、スーパーのレジで支払う金額は確実に安くなり、家計のやりくりには大きな余裕が生まれます。しかし、その裏側にある財源問題や事務負担といった「コスト」についても、有権者として冷静に見極める必要があるでしょう。今後の議論の行方に注目が集まります。

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