【令和6年度】個人ばく露測定定着促進補助金を紹介
令和4年度から義務化された個人ばく露測定ですが、未だに対象企業の全てで実施しているとはいい難い状況です。
個人ばく露測定定着促進補助金は、名前の通り個人ばく露測定を広め、実施を促すことを目的としています。また、測定と共に呼吸器具など対策を施すことは、労働災害防止への期待も大きいです。
そこで今回は、個人ばく露測定定着促進補助金について、令和6年度の内容を中心に、申請方法や注意点などをご紹介します。
目次
- 令和6年度の個人ばく露測定定着促進補助金について
- 個人ばく露測定定着促進補助金の申請に必要な書類
- 個人ばく露測定定着促進補助金申請時の注意点
- 個人ばく露測定定着促進補助金は交付後の取り消しもある
- まとめ
令和6年度の個人ばく露測定定着促進補助金について
まずは、令和6年度の個人ばく露測定定着促進補助金について、要件を見ていきましょう。
令和6年度は2期の公募あり(現在は終了済み)
個人ばく露測定定着促進補助金は、令和6年度の場合2回の公募があります。
第1回は令和6年6月1日から7月31日までで既に終了、第2回が令和6年9月1日から10月25日までの予定です。
もし第1回の申請で通らなかった場合、第2回に再度申請できます。ちなみに、以前は第2回の締め切りは10月15日まででしたが、25日までへ変更となっています。
とはいえ年度いっぱいではなく、また募集期間も長くありません。期限を過ぎないよう気を付けましょう。
加えて第2回は、予算が1000万円と第1回に比べて少ないです(第1回は9000万円)。
ただし第1回の予算が残っていれば、第2回に上積みされます。反対に、予算を大きく上回る応募があった場合は、期限より早く終了することもあり得ます。
第2回が始まったばかりということもあり、令和6年9月時点で終了の告知はありません。とはいえ、申請予定の場合は常に情報を確認しておきましょう。
申請先は全国労働衛生団体連合会
令和6年度は、全国労働衛生団体連合会が個人ばく露測定定着促進補助金の補助事業者です。補助事業者は国と対象者の間に立ち、国から定額補助金を受け取り、対象者に間接補助金として支給する役割を担っています。
よって申請や書類請求、問い合わせなど、個人ばく露測定定着促進補助金に関することは全国労働衛生団体連合会宛に行ってください。ちなみに補助事業者は、毎回公募によって採択されます。
支給対象と補助額
令和6年度の個人ばく露測定定着促進補助金は、以下のいずれかに該当する中小事業者が対象です。
- リスクアセスメントの一環として実施する個人ばく露測定
- 技術上の指針等に基づき実施する個人ばく露測定
どちらか1つでも該当すれば申請できます。
また補助額は、かかった費用の上限を5万円とし、その半分まで支給可能です。費用自体が5万円未満であれば、当然補助額もその半分と少なくなります。
ちなみに、1つの作業場においては最大で2名分までが申請対象です。申請者が複数の作業場を担当していた場合、作業場の数×2名まで申請はできるものの、上限5万円は変わらないので注意しましょう。
個人ばく露測定定着促進補助金の申請に必要な書類
個人ばく露測定定着促進補助金を申請する際は、次の書類が必要です。どの時点で何を提出するのか、把握しておきましょう。
申し込み書類
最初の申請時点では、以下の書類を送付します。
- 個人ばく露測定定着促進補助金交付申請書
- 事業場概要
- 確認書
- 個人ばく露測定に要する費用見積書
交付申請書は、全国労働衛生団体連合会のホームページにテンプレートがあるので、取得し必要事項を記入ましょう。
事業場概要、確認書も同様です。最後の費用見積書は、作業環境測定機関が作成した物の写しを添付しましょう。
補助金請求時の書類
交付が決定したら、測定後に改めて金額等の詳細を提出します。
次の書類を取得しましょう。
- 個人ばく露測定実績報告及び補助金請求書
- 個人ばく露測定結果報告書
- 請求書
- 領収書または銀行取引明細書(振込証明書)
1つ目の請求書は、申請書類同様、全国労働衛生団体連合会のホームページにあるテンプレートを活用しましょう。ほかは測定にあたって、担当機関とのやり取りの中で取得できるため、写しを添付します。
再申請時には専用の申請書を送付
何等かの理由で申請書が通らなかった場合、期間内であれば再申請が可能です。
その際は、再申請用の書類を送付しましょう。こちらもテンプレートが全国労働衛生団体連合会のホームページから取得可能です。ただし不交付決定通知が届いたなど、再申請自体ができないケースもあります。
個人ばく露測定定着促進補助金申請時の注意点
ここからは、個人ばく露測定定着促進補助金を申請する際の注意事項をご紹介します。
申請は測定前
個人ばく露測定定着促進補助金は、実際に測定を終えた後で申し込むことはできません。
補助金を受給したい場合は、先に申請を済ませましょう。具体的には、申請が通った後で届く「交付決定通知書」を受け取って初めて、測定が可能です。
ちなみに申請は、全国労働衛生団体連合会から応募用書類を取得、必要事項を記入後郵送します。応募用書類は先ほど記載したように、申請時と実際の補助金請求時の2種類あるので注意してください。
後者は申請が通った後、改めて測定を行い、かかった費用の明細などを送るための書類です。無論、請求用の書類も期限があり、令和6年度は令和7年2月28日までに全国労働衛生団体連合会へ送る必要があります。
個人ばく露測定定着促進補助金は電子申請も可能
個人ばく露測定定着促進補助金の申請は、郵送だけでなくインターネット経由でも行えます。郵送と同じく申請書類を取得したら、全国労働衛生団体連合会のメールアドレス宛に送信しましょう。
書類データに直接書き込める場合や、印刷の手間を省きたい方に便利です。
申請対象外となる「法令で義務付けられている個人ばく露測定」
個人ばく露測定であっても、既に法令で義務付けられているものは申請できません。
簡潔に言うと、労働安全衛生法第65条における作業環境測定で第三管理区分となり、かつその後改善が認められていない場合です。上記の状況では、個人ばく露測定が義務付けられるため、補助金申請の対象になりません。
測定の都合よりも締め切り優先
個人ばく露測定定着促進補助金は、交付決定後の測定実施が条件です。
同時に、請求書の送付にも期限があります。しかし、請求書送付に間に合わなくなる等の理由であっても、交付決定前に測定を始めることはできません。
また、期限の延長を願い出ることも不可能です。限られた期間で測定から書類送付まで行うことが求められます。そのため、個人ばく露測定定着促進補助金の期間に間に合うか、事前に測定担当機関へ確認しておきましょう。
もし担当機関が難しいと判断した場合は、受給を見送ることもあり得ます。加えて、申請書類の内容を変更することは原則不可能であり、一旦申請してしまえば、別の機関に依頼しなおすことはできません。
スケジュールに不安があるなら、申請前に確認するのも手です。
期間中に要件が変更されることも
第2回の募集が10月25日までと延長されたように、要件は募集の最中でも変更されることがあります。1度内容を見たからと安心していると、変更点を踏まえず申請したために不採用になるかもしれません。
ゆえに申請直前に、必ず要件の見直しを行ってください。
個人ばく露測定定着促進補助金は交付後の取り消しもある
無事に申請が通り、請求書も送付して個人ばく露測定定着促進補助金を受け取っても、その後の状況によっては取り消し、返納を求められることがあります。
特に、次の点には注意しましょう。
- 要綱の指示に沿わない
- 適正化法違反
- 対象事業以外に補助金を使った場合
- そのほかの不正行為
返納となった場合、納付日によっては加算金が発生するなどリスクは大きいです。個人ばく露測定定着促進補助金のルールに沿っていれば通常は問題ないですが、今一度要件等を確認してみてください。
また適正化法は、今回を含めた補助金全般に関する法律です。併せてチェックしておきましょう。
まとめ
令和6年度の個人ばく露測定定着促進補助金は、第1回の募集が終了、第2回の申請を受け付けています。ただし期間が約2か月ほどと短く、予算が第1回よりも限られているため、早期終了も否定できません。
まずは申請から始めましょう。申請に必要な書類は、補助事業者である全国労働衛生団体連合会のホームページから確認できます。また実際の測定は申請後、交付が決まってからです。請求書の送付期限もあるからと言って、交付決定前に測定を始めると、せっかく採用されても取り消しとなるかもしれません。
加えて本記事内の情報も、随時変更となる場合があります。個人ばく露測定定着促進補助金の申請にあたっては、常に最新の情報をチェックしておいてください。
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