起業に補助金は使うべき?賢く活用する方法と注意点を解説

起業に補助金は使うべき?賢く活用する方法と注意点を解説

資金面の不安は、起業を目指す方の多くが抱える課題です。起業直後は売上が安定せず、設備投資や広告費など出費が不可欠なため、資金繰りに頭を悩ませるケースが少なくありません。そうした中で注目を集めているのが、国や自治体が提供する補助金制度です。

この記事では、補助金を賢く活用するためのポイント、自分で申請できるのかどうかや、専門家に依頼するメリットと注意点について詳しく解説します。

目次

起業時に利用できる補助金とは?

補助金制度の活用は、起業を成功させるためのひとつの方法です。補助金には国が提供するもの、地方自治体が独自に設けているもの、業種特化型の支援など、さまざまな種類があるため、どのような補助金が存在するのかを把握することが重要です。最初に、起業時に利用できる補助金の種類、採択基準などを紹介します。

創業期に活用される代表的な補助金

創業直後に利用される補助金として代表的なものが、「創業補助金」や「小規模事業者持続化補助金」です。これらは、事業計画の策定や販売促進、設備投資などに対する支援を行い、起業家がビジネスを軌道に乗せるための支援となります。

例えば、小規模事業者持続化補助金は店舗の改装費やチラシ作成費、ECサイト構築などに活用可能です。返済義務がないため、資金繰りに余裕を持たせられる点は、特に資金面で不安を抱える起業家にとって大きな魅力だといえるでしょう。

補助金には採択基準がある

補助金は、どのようなビジネスでも受けられるわけではありません。補助金には審査があり、採択基準が厳格に設定されています。

たとえば、「新規性があるか」「社会的課題の解決に寄与するか」「地域経済への波及効果があるか」などが審査対象です。審査官は提出された事業計画書から、どの程度明確なビジョンと実行可能な戦略を持っているかをチェックします。

そのため、「資金を得たい」という理由ではなく、どのような意義をもって起業するのかをしっかり伝えることが重要です。

起業時の補助金申請に必要な準備

補助金を申請するにあたって、最も大切なことは事前準備です。準備をせずに申請を進めるのではなく、厳密な計画と書類作成を通して、自分の事業を十分に見直す必要があります。次に、補助金の準備で重要なことを紹介します。

申請書類の精度を高める

補助金申請に必要な書類は、形式的な提出物ではありません。事業の方向性や実現可能性を審査員に伝える、プレゼン資料のようなものであると認識しておきましょう。目的・背景・ターゲット市場・マーケティング戦略・収支計画など、具体的かつ説得力のある記載が必須です。数字の裏付けや根拠となるデータがあると、審査での評価も高まります。

また、この段階で申請者自身も事業の骨組みを整理できるため、結果的に実行力のある起業計画につながるでしょう。

タイミングと戦略も重要

補助金には公募期間が定められており、毎月・毎年定期的に募集されるものもあれば、不定期の公募もあります。特に人気のある補助金は募集開始と同時に申請が殺到するため、事前にスケジュールを把握し、計画的に準備を進めておくことが重要です。また、他の応募者と差別化するためには、地域性や時代の流れを意識した事業内容にするなどの戦略を練らなければなりません。

税理士や会計士に依頼するメリットと注意点

補助金申請は専門的な知識が必要なうえ、事務作業を伴うため、専門家のサポートを得ることで成功率が上がります。しかし、全ての工程を依頼するのではなく、自身でも補助金制度について理解を深めたうえで依頼することが大切です。ここでは、税理士や会計士に補助金申請を依頼するメリットと、依頼する前に知っておきたい注意点を紹介します。

専門家の活用で精度と効率を上げる

税理士や会計士は、資金計画や損益予測の立案において重要な役割を果たします。補助金申請書では、事業計画の財務面をいかに明確に提示できるかどうかが採択可否のポイントです。税理士や会計士は、財務データの整合性や数値の裏付けをしっかりと行い、申請内容の信頼性を高めるサポートをします。

また、過去の採択事例や失敗例にも精通しており、最新の審査基準や傾向を踏まえた具体的なアドバイスを受けることが可能です。さらに、申請書作成の効率化だけではなく、複雑な手続きや提出期限の管理も手厚くサポートするため、時間と労力の節約にもつながります。

税理士や会計士のアドバイスをもらうことで、内容の信頼性と整合性が高まり、審査通過の可能性を高められるでしょう。

依頼先選びと費用のバランスを考える

補助金申請を支援する専門家を選ぶ際には、知識や経験の豊富さを見極めることが非常に重要です。補助金に関する制度や要件は頻繁に変わるため、最新情報に精通しているかどうかで申請の成功率が変わります。

費用面では、申請支援にかかる料金が数万円~十数万円になることも珍しくなく、なかには成功報酬型の料金体系を採用している事務所もあります。

特に起業したばかりの段階では、限られた資金の中でどこにコストをかけるべきか慎重な判断をしなければなりません。費用倒れのリスクを避けるためにも、依頼先の実績やサービス内容を十分に比較検討することが大切です。

加えて、申請の過程で自分自身も補助金制度について理解を深める姿勢を持つことで、将来的な申請や事業運営におけるスキルアップにもつながります。このように、依頼先選びと費用のバランスを総合的に考えた上で、賢く専門家の力を活用することが重要だといえるでしょう。

自力での補助金申請は可能?成功のポイント

補助金申請を必ずしも専門家に依頼しなければならないというわけではありません。自身で制度を理解し、必要な書類をそろえることができれば、十分に自力での申請も可能です。

特に、自分のビジネスを自分の言葉で説明できる点は、説得力ある申請書を作るうえで大きな強みになります。インターネットや公的機関の資料を活用し、制度の趣旨や申請ルールを丁寧に読み込みましょう。

また、初めて補助金申請をする方は、各自治体が主催する無料セミナーや相談窓口の活用がおすすめです。実務的なアドバイスが得られるほか、成功事例の紹介や書類の書き方講座なども受けられます。

補助金に頼りすぎる起業のリスクとは

補助金は事業の立ち上げや成長を支援する貴重な資金源ですが、それに過度に依存したビジネスモデルは長期的に見ると危険です。

補助金がなければ成り立たないようなビジネスでは、継続性が期待できません。一時的な支援に頼るのではなく、売上によって事業を回せる構造を設計しなければ、いずれ資金が底をつき、事業自体が失敗してしまうリスクがあります。

さらに、補助金には「使途の制限」があるため、自由な資金運用は難しいものです。

ほかにも、採択後には実績報告書や領収書の提出、定期的な進捗報告など、手間のかかる業務が発生します。これらの作業にリソースを取られ、本業がおろそかにならないように注意が必要です。

成功する起業家の補助金活用方法

補助金を活用して成長を遂げている起業家には、いくつかの共通点があります。それは、補助金を「補助的資金」として捉え、あくまでビジネスの中の一要素として戦略的に組み込んでいる点です。ここでは、起業家として補助金をどのようにとらえ、どのように活用すべきなのかを紹介します。

補助金は「推進剤」として捉える

補助金を上手に活用する起業家は、それを事業のメインではなく推進剤として活用しています。つまり、補助金がなくても収益が出せることを前提としつつ、成長スピードを上げるための資金として利用しています。このような視点で補助金を捉えることが、持続可能な事業につながります。

信用獲得や評価指標としての補助金

補助金の採択実績は、金融機関や取引先からの信用を高める材料です。補助金申請に通るということは、第三者機関から事業内容や計画の妥当性を評価された証であり、ビジネスの健全性を示せます。このような側面からも、戦略的に補助金を活用すると良いでしょう。

補助金の活用で持続可能な事業を目指す

起業における補助金活用は、資金調達手段として非常に魅力的です。申請に成功すれば、初期投資の負担を軽減できるだけでなく、事業の加速にもつながるでしょう。しかし、補助金はあくまでもビジネスを支える武器であり、事業の土台ではありません。 

また、補助金申請には専門知識と戦略が必要です。そのため、税理士や会計士のサポートを受けることは、制度の複雑さや採択率を高めることにつながります。

起業家にとっても税理士・会計士にとっても、補助金制度を正しく把握したうえで事業計画のなかに組み込むことが重要です。補助金はあくまでも「起業をスタートさせる後押しのための手段」であることを理解し、補助金を活用しましょう。

税理士.ch 編集部

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