令和6年度は新設も多数!障害者雇用納付金制度に基づく助成金を解説

今回は、障害者雇用納付金制度に基づく助成金についてご紹介していきます。

名前の通り、障害者雇用を行っている事業主に対し行われる制度で、雇用水準の引き上げなどが目的です。そんな障害者雇用納付金制度ですが、令和6年度は新たに複数の助成金が設置されています。

さっそく、それぞれの特徴を見ていきましょう。

目次

令和6年度に新設された障害者雇用納付金制度に基づく助成金

障害者雇用納付金制度に基づく助成金は、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)が支援しています。障害者雇用納付金「関係」助成金と表記されることもあるので、資料などを探す際は参考にしてみてください。

そんな障害者雇用納付金制度に基づく助成金ですが、令和6年度は、新たに以下が加わりました。

  • 中高年齢等障害者の雇用継続を図る措置の助成金
  • 障害者雇用相談援助助成金
  • 障害者職場実習等支援事業助成金
  • 健康相談医の委嘱助成金
  • 職業生活相談支援専門員の配置又は委嘱助成金
  • 職業能力開発向上支援専門員の配置又は委嘱助成金
  • 介助者等資質向上措置に係る助成金
  • 中途障害者等技能習得支援助成金

主に、障害者雇用に必要な人員を確保するための助成金が目立ちます。

申請や問い合わせ先は、ほかの障害者雇用納付金制度に基づく助成金と同様、JEEDの各都道府県支部です。初めて申請を検討しているなら、事業所の属する地域のJEEDを把握しておきましょう。

それでは、次から1つずつご紹介していきます。

中高年齢等障害者の雇用継続を図る措置の助成金

中高年齢等障害者の雇用継続を図る措置の助成金は、主に35歳以上の障害者を対象とした助成金です。条件はほかに、雇用してから6か月以上であることが求められます。また、具体的な支給額や支払期間などは決まっていません。

そもそもこの助成金は、以下を受けるにあたって、加齢などによる労働困難を解決するのが目的です。

  • 障害者作業施設設置等助成金
  • 障害者介助等助成金の一部
  • 職場適応援助者助成金

ゆえに実際の支給額や期間は、対象者が上記のうち、どの助成金を受けているのかによって変化します。

障害者雇用相談援助助成金

障害者雇用相談援助助成金は、身体障害・知的障害・精神障害の方が対象です。ただし助成金は障害者を雇用する企業ではなく、彼らから相談を受けた認定事業者に支給されます。

支給条件は2つあり、1つ目は障害者雇用などに関する相談(障害者雇用相談援助事業)をした場合です。こちらでは60万円が限度額として支給されます。

2つ目は、相談後に障害者雇用を行い、かつ、6か月以上継続した場合です。雇用した障害者1人当たり75000円、4人までを上限に支給されます。ちなみに、相談者が中小企業または除外率設定業種事業主であれば、相談は80万円、雇用後は10万円が上限です。また支給回数も相談者1社ごとに1回であるため、複数社から相談を受け、条件を満たせば都度受給できます。

障害者職場実習等支援事業助成金

実際の雇用前に、見学や体験などの受け入れをすると支給されるのが、障害者職場実習等支援事業助成金です。

対象となる障害者は次の通りです。

  • 身体障害
  • 知的障害
  • 精神障害
  • 発達障害
  • 高次脳機能障害
  • 難病等

支給額は1日5000円として、実習を行った日数分の申請ができます。

ただし、同一年度内においては50万円の上限もあり、実習をすればするほど助成金がもらえるわけではありません。1日が5000円ですから、最大で100日までなら対象となると考えましょう。

また、実習に際して別途指導員を雇うなどした場合は、謝金として1時間当たり2000円が支給されます。

健康相談医の委嘱助成金

健康相談医の委嘱助成金は、雇用者のため、新たに医師を委嘱するなどした場合に支給されます。

身体障害や知的障害、精神障害の方のための医師ですが、前提として対象の障害者が5人以上いなくてはいけません。また、医師1人あたり1回の委嘱で25000円まで受給できますが、年間では30万円までです。

加えて、助成率は実費の4分の3と定められており、必ず30万円もらえるわけではありません。ただし、支給期間は最大で10年と長いです。

職業生活相談支援専門員の配置又は委嘱助成金

医師でなくても、障害者をサポートできる専門職の方を招くなら、職業生活相談支援専門員の配置又は委嘱助成金の対象です。

こちらも、対象の障害者が5人以上いることを条件としています。加えて助成率が費用の4分の3、10年まで継続できるなど共通項も多いです。

一方、助成額は専門員との契約形態で変化します。配置するなら1人あたり月15万円が支給されますが、委嘱の場合は1人あたり1回1万、かつ年150万円までと上限付きです。委嘱に比べると、配置は直接雇用と捉えることもできるため、支給額も大きいのでしょう。

職業能力開発向上支援専門員の配置又は委嘱助成金

職業能力開発向上支援専門員の配置又は委嘱助成金は、障害者の雇用、特に技術面で人を雇う場合に申請できます。

条件や支給額などは、先の職業生活相談支援専門員の配置又は委嘱助成金と同じです。こちらも対象の障害者が5人以上必要であること、配置と委嘱で支給額が異なる点に注意しましょう。

介助者等資質向上措置に係る助成金

雇用した障害者の、職場での支援を行う人に関して支給されるのが、介助者等資質向上措置に係る助成金です。医師や専門知識のあるスタッフとは別に、以下に該当する方に対して支給されます。

  • 職場介助者
  • 手話通訳
  • 要約筆記等担当者
  • 職場支援員
  • 職業生活相談支援専門員
  • 職業能力開発向上支援専門員

障害者の条件は特にありません。助成率は費用の4分の3、かつ、1事業者あたり年100万円までが上限です。

中途障害者等技能習得支援助成金

中途障害者等技能習得支援助成金は事故など、後天的な理由で障害者となった方を、復帰後も雇用する際に支給されます。

復帰後に業務内容が変わるなど、必要な知識や技術を学ぶための費用が対象です。助成率は費用の4分の3、対象者1人あたり年20万円を上限として支給されます。

対象者は主に、次に当てはまる方です。

  • 身体障害者
  • 精神障害者
  • 高次脳機能障害
  • 難病等

ただし精神障害の場合、発達障害のみの方は除外されます。また申請者が中小企業事業主である場合は、上限が30万円です。

新設を除く障害者雇用納付金制度に基づく助成金の変更点

令和6年度は、助成金の新設以外にも変更点があります。

特定短時間労働者の追加

障害者雇用納付金制度に基づく助成金の対象者として、新たに特定短時間労働者が加わりました。

特定短時間労働者は、1週間あたりの労働時間がが10時間以上20時間未満であり、かつ、以下に当てはまる方です。

  • 重度身体障害者
  • 重度知的障害者
  • 精神障害者

これらの方は、雇用率を換算する際に0.5カウントとして扱われます。0扱いだった以前に比べ、法定雇用率などの条件を満たしやすくなるでしょう。

ただし、助成金によっては特定短時間労働者であっても対象外とするケースもあるため、事前に確認は必要です。また、障害者雇用納付金なども、令和6年度は新たな法定雇用率(2.5%)で算出します。

法定雇用率は、年度や自治体などによっても変更があるので注意しましょう。

令和6年度は障害者雇用調整金及び報奨金の引き下げも

助成金が多く追加された令和6年度ですが、一方で障害者雇用調整金及び報奨金は引き下げが行われています。

今回対象となるのは、超過人数分の支給額です。障害者雇用調整金は対象者が10人を超えた場合、1人当たりの支給額は本来の額から6000円のマイナスで、23000円になります。

また報奨金は、対象者が35人を超えると、1人当たりの支給額は5000円のマイナスで16000円です。あくまで超過人数における引き下げであり、対象人数が上記を超えない分は、以前のまま支払われます。

まとめ

障害者雇用納付金制度に基づく助成金は、令和6年度に新設など多くの変更が見られます。雇用者自身への支援はもちろん、医師や介助者といった専門家や、認定事業者などサポートを担う方を対象とした助成金も多いです。

また、特定短時間労働者の追加のように、障害者雇用納付金制度への条件緩和もあります。障害者雇用調整金など、減額といえる措置も見られますが、これらはあくまで指定人数を超過した場合です。

指定の範囲内であれば、従来のまま受給できます。各助成金に限度額があるように、やりすぎにも注意しましょう。

ただし、助成金の内容は都度変更される可能性もあります。支援者である独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構のホームページを確認するなど、常に最新の情報を取り入れておきましょう。

税理士.ch 編集部

税理士チャンネルでは、業界のプロフェッショナルによる連載から 最新の税制まで、税理士・会計士のためのお役立ち情報を多数掲載しています。

運営会社:株式会社ビズアップ総研
公式HP:https://www.bmc-net.jp/

登録後送られる認証用メールをクリックすると、登録完了となります。

売上アップの秘訣や事務所経営に役立つ情報が満載
税理士.chの最新記事をメールでお知らせ

BizWebinar無料ご招待
キャンペーン実施中!

2025年3月末までにご登録の方限定で、
BizWebinar(弊社オンラインセミナー)へ無料でご招待いたします。この機会に是非、ご登録ください。