中国語ができる税理士の強みとは?ビジネスチャンスの拡大やおすすめの勉強方法を紹介

税理士業務の簡素化とデジタル化が進む昨今、クライアント獲得のための差別化は欠かせません。ビジネス拡大のための中国語習得は、自分のストロングポイントを見出すための良いきっかけとなるでしょう。
この記事では、これからの税理士に中国語が必要な理由やビジネスチャンス拡大の可能性、おすすめの勉強法などについて詳しく説明しています。
グローバルな税理士を目指している人は、ぜひ記事内容をご確認ください。
目次
税理士に中国語が必要な理由

これから税理士業界で活躍するにあたって、中国語があると良い理由を2つに分けて説明します。
- デジタル化と競争の激化
- グローバル化の拡大と中国の存在感
デジタル化と競争の激化
税理士業界では、AIによる自動化や会計ソフトの利便性が洗練され、従来の記帳代行や申請書の作成といった業務は効率化・簡素化されつつあります。
単なるルーティーン業務だけでは、税理士として生き残るのは難しいかもしれません。付加価値の高いコンサルティングや専門性の確立が求められます。
中国語での税務コンサルティングは、競合との差別化を図り、新たな顧客層を開拓するための強力な武器となる可能性を秘めています。
グローバル化の拡大と中国の存在感
現在のビジネスは、よりグローバル化が加速しています。中でも中国経済の発展は目覚ましく、在日中国人や中国企業の日本進出は目を見張るものがあります。
ますます加速するグローバル化において、税理士の業務は国内にとどまらず、国際的な視点が求められるようになりつつあります。中国語の習得は、日中間の複雑な税務問題への対応や、中国企業のクライアント獲得など、新たなビジネスチャンス拡大の大きな支えとなってくれるでしょう。
中国語に対応できる税理士のビジネスチャンスとは?
中国語対応によるビジネス拡大の可能性を4つのポイントにて、詳しく説明します。
- 在日中国人向けの個人・法人税務顧問サービスに対応できる
- 中国企業の日本進出支援と国際的な税務コンサルに対応できる
- 日本企業の中国進出を支援できる
- インバウンドに関する中国富裕層への対応ができる
在日中国人向けの個人・法人税務顧問サービスに対応できる
在日中国人向けの税務顧問サービスは、税理士にとって大きなビジネスチャンスです。日本で働く個人や事業を営む中国系法人の多くは、日本の税制に加え、中国との二国間税務問題に対応しなければいけません。
彼らは言語や文化の壁から、信頼できる税理士を見つけることに苦労しているケースも十分に考えられます。中国語に対応できる税理士は、所得税申告、法人税務、不動産売買、相続など、多岐にわたる税務顧問サービスの市場において、新たなクライアントを獲得しやすいです。
中国企業の日本進出支援と国際的な税務コンサルに対応できる
在日中国人向けの税務顧問で培った経験は、税理士に新たなビジネスチャンスをもたらします。
中国語のスキルと日本の税務知識を組み合わせることで、日本へ進出を検討する中国企業に対し、法人設立から税務申告、移転価格税制といった国際税務コンサルティングまで一貫した支援も可能です。
言語や商習慣の違いに悩む中国企業にとって、中国語に対応できる税理士はなくてはならない存在となり得るでしょう。結果として、より高単価な案件獲得や、国際税務を専門とする税理士としての独自のポジションを確立し、ビジネスを大きく拡大できます。
日本企業の中国進出を支援できる
中国語を習得できれば、中国の市場開拓を目指す日本企業への支援もできるようになります。ビジネスレベルの中国語と日中双方の税務知識を持っていれば、中国の税制、会計基準、進出形態に関するアドバイザーになるのも夢ではありません。
日本企業が中国で直面する移転価格税制、PE認定、税務調査対応などの税務課題に対して、的確なコンサルティングを提供し、スムーズな業務展開をサポートできます。中国語の習得にとどまらずに、現地のビジネス慣習や文化背景の理解を進めるとより質の高いサービスを提供できるようになるでしょう。
インバウンドに関する中国富裕層への対応ができる
インバウンド市場の回復とともに、中国の富裕層は日本の不動産投資や資産運用に強い関心を示すようになりました。
中国語に対応できる税理士は、中国の富裕層が日本で直面する不動産取得税、譲渡所得税、相続税などの複雑な税務問題に対し、言語の壁なく的確なアドバイスを提供できます。
中国語によるコミュニケーションができれば、中国富裕層へ対して高単価な税務コンサルティングサービスを提供し、新たなビジネスチャンスを掴むことも可能です。
中国と日本の架け橋となるような税理士の存在はそう多くないため、独自の地位を確立できる可能性は十分にあります。
中国語に対応できる税理士を目指すための課題
中国語を習得して実際にビジネスに活かせるようになるためにはいくつかの課題があります。
グローバルな税理士になるための課題を2つのポイントにて、詳しく説明します。
- 中国の税務・会計知識を習得する必要がある
- 文化と商習慣の違いへの理解
中国の税務・会計知識を習得する必要がある
中国の税制にも対応できる税理士になるためには、単に語学だけでなく、中国の税制や会計知識の習得も欠かせません。中国と日本では税制や会計基準が大きく異なることから、理解なしでは適切なアドバイスはできないでしょう。
例えば、中国の法人税、増値税、個人所得税の仕組みや、日中租税協定の適用、移転価格税制への対応など、専門的な知識は欠かせません。
常に最新の法改正をキャッチアップし、中国のビジネス環境を深く理解することで、顧客からの信頼を得て、高付加価値なサービスを提供できるようになります。
文化と商習慣の違いへの理解
中国の文化や商習慣への深い理解も必要不可欠です。中国では「面子(メンツ)」や「関係(グアンシー)」といった概念がビジネスにおいて非常に重要であり、日本とは異なる意思決定プロセスや交渉スタイルが存在します。
土台となる商習慣と文化を理解せずにサービスを提供しようとすると、誤解が生じたり、信頼関係が構築できない可能性があります。単に税務知識を伝えるだけではうまく話がまとまりません。文化背景を踏まえたコミュニケーションを心がけることで、顧客との円滑な関係を構築できるようになるでしょう。
中国語の勉強とスキルアップの方法を紹介

中国語の習得に欠かせない勉強方法とスキルアップについて、おすすめの方法を2つ紹介します。
- 中国語の勉強の進め方
- 情報収集のためのネットワークを活用する
中国語の勉強の進め方
中国語の学習には目標設定が必要です。日常会話レベル(HSK3~4級程度)を目指すか、ビジネスレベル(HSK5~6級程度)を目指すかで学習計画が変わります。税理士として中国語を習得する場合は、ビジネスレベルを目指した方が良いでしょう。
独学の段階ではテキストやアプリを活用しつつ、発音と声調を徹底的に練習します。オンラインレッスンや中国語教室もおすすめです。実践的な会話力を養い、疑問点を直接解消できます。
税務関連の用語を重点的に学ぶことを忘れないようにしましょう。少しづつでも継続的な学習を進めることが上達のポイントです。
情報収集のためのネットワークを活用する
中国語の勉強には、情報収集と実践の場としての中国人とのネットワーク活用が大切です。具体的には、在日中国人コミュニティのイベントに参加したり、日中間のビジネス交流会に顔を出したりすることで、生きた中国語に触れる機会を増やせます。
また、WeChatなどの中国系SNSを活用し、中国の最新ニュースや税務情報をフォローすることも良い方法です。ネットワークをうまく活用することで、中国語の学習に関するモチベーションを維持しつつ、中国の文化やビジネスの動向をいち早く把握することができます。
まとめ
中国語の習得は新たなクライアント獲得のきっかけです。税務処理のデジタル化や簡素化による競争の激化も、新たなクライアントの獲得によって、うまく乗り越えられる可能性があります。
昨今では日本でビジネスを展開する中国系企業も増えつつあります。その他には、インバウンド需要による中国富裕層の需要も見逃せません。
しかし、中国の税務に携わるには中国語の習得のみならず、中国の税制や商習慣、文化の理解など、多くの課題に取り組む必要があります。
取り組むべき課題は多いものの、中国語の習得によって得られるものも大きいです。得られるものと現在の実務のバランスを考えたうえで、チャンスがあれば挑戦してみてはいかがでしょうか。

税理士.ch 編集部
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