公認会計士に向いている人の特徴は?それぞれの特徴別に向いている働き方も紹介
公認会計士(会計士)を目指している方や興味を持っている方の中には「公認会計士が自分に向いているかどうかわからない」と不安に感じている方もいらっしゃるでしょう。
今回は、公認会計士に向いている人の特徴を解説します。
目次
公認会計士に向いている人の特徴
公認会計士は高度な知識が必要とされる職業ですが、それだけではなく公正な視点から会計業務を行うことが求められます。
正義感・遵法精神が強い人
公認会計士は、監査及び会計の専門家として独立した立場において、財務書類の信頼性を確保することにより、企業の公正な事業活動や投資家と債権者の保護を図ることによって、国民経済の健全な発展に寄与することが使命とされています。(公認会計士法第1条)
公認会計士の多くは、監査法人に勤めて金融商品取引法や会社法に基づく法定監査を担当します。
市場の信頼性や健全な経済を守るために、一つ一つの企業に対して公正な監査を行い、問題があれば、しっかり是正を求めるという強い職業倫理感のある人が、公認会計士に向いています。
企業の発展に貢献したい人
公認会計士は、顧問先の経営コンサルティングを担うこともあります。
資金調達、IPO支援、M&A支援など、その企業の成長ステージに合わせて発生する問題を、企業会計や企業法のプロとして解決することが求められます。
「目の前のお客様に貢献したい」「自分がこの問題を解決して喜んでもらいたい」といった、人の役に立ちたい気持ちが強い人も、公認会計士に向いています。
ロジカルな思考や分析が得意な人
公認会計士の仕事は、常に会計や監査の基準や企業を取り巻く各種法令にしたがったものになります。経営コンサルティングにおいても、やはり会計情報に基づく経営分析が原点です。
法令や会計に基づくアプローチが求められる、公認会計士には、ロジカルな思考や分析が得意な人が向いています。
コミュニケーション能力が高い人
企業会計のプロである公認会計士の仕事は、常に企業とともにあります。自身と同じように会計や法令を勉強していない相手と仕事をすることもある公認会計士にとって、コミュニケーション能力は必要不可欠です。
例えば、監査先の経理担当者に指導したいことをしっかり伝えなければならなかったり、経営支援の場面では分析結果をわかりやすく伝えた上で提案をしたり、M&Aでは相手企業と交渉をしたり、独立開業をして営業をしたり…と、多くの場面でコミュニケーション能力が求められます。
決して、おしゃべりが好きである必要はありません。
相手の話をしっかりと聞いて真意を理解できる人や、相手に合わせた適切な情報量や言葉選びで説明できる人が、公認会計士に向いています。
自己研鑽を続けられる人
公認会計士試験に合格した後も、会計士の業務を遂行していくためには、たくさんの勉強が必要です。
改正があれば知識をアップデートしなければなりません。また、会計や監査の知識以外にも、担当先企業のビジネスモデルを学んだり、その事業特有の法制度や管轄省庁の方針など業界の知識も必要になります。
また、これは公認会計士に限ったことではありませんが、組織内で認められるには、成果を出し続ける必要があります。そのためには自ら学び成長し続けることが欠かせません。しかも、勉強熱心な人が多い公認会計士の職場では、周りもさらなる努力を続けます。
目の前の仕事にきちんと取り組み、足りない知識があれば進んで学び続けられる人が、公認会計士に向いています。
自分は公認会計士に向いていない?そう考える人が知っておくべきこと
公認会計士に向いている人の特徴の中に自分にあてはまらないものがあっても、それだけでご自身が公認会計士に向いていないと決めつけるのはもったいないことです。
なぜなら、仕事は続けることによって、その仕事がその人の能力や人格を育ててくれます。
また、公認会計士という資格は活躍できる場所が多く存在します。仮に自分に合わないと感じても、働き方や環境を変えることができるのです。
以下、一つずつ解説します。
仕事が能力と人格を育てる
「地位や肩書きが人をつくる」と言いますが、与えられた役職や任された業務によって、その人の得意なことや考え方が変化していくことはめずらしくありません。
最初は向いていないと思っていた仕事も、続けてみればそんなことはなかったということもあります。同僚や先輩に恵まれてうまくいくこともあります。
また、正確さが求められる公認会計士において、自信を持ち過ぎない性格や、冷静に自己分析ができることは、プラスに働くこともあります。
公認会計士の活躍の場は広い
企業会計と企業法のスペシャリストである公認会計士には、活躍できる場所がたくさんあります。
都内の大手監査法人に就職して上場企業の支援を中心にサラリーマンとして一生働く人もいれば、途中で辞めて、税理士・会計事務所業界に転身し、地域の中小企業の支援をする人もいます。さらには、独立して自分の経験と知識で顧客を開拓していく人もいます。
一つの業務や結果だけを見て「自分は公認会計士に向いていないんだ」と感じる必要はありません。
自分に向いている公認会計士の就職先はどれか
ここからは、会計士の主な就職先・働き方ごとに向いている人の特徴を紹介します。
監査法人
監査法人とは、公認会計士法に基づく公認会計士による法人組織です。
金融商品取引法や会社法に基づく法定監査を担う組織であり、まさに日本の健全な経済成長に貢献する、公認会計士のための職場になります。
上場企業や大企業の法定監査を通じて、最先端のビジネスの会計処理を考えたり、海外展開中のビジネスに関わったりと、大規模な企業に関わらなければ経験することのできない支援ができることも特徴です。公認会計士として成長し続けたい人に向いています。
【監査法人に向いている会計士の特徴】
- 正義感・遵法精神が強い人
- ロジカルな思考や分析が得意な人
- 自己研鑽を続けられる人
税理士法人
税理士法人とは、税理士法に基づく税理士による法人組織です。
税理士は、地域の中小企業の相談相手として頼られることが多く、従来からある税務顧問や記帳代行といった業務の他にも、経営コンサルティング、資金調達、創業支援、相続対策、事業承継のためのM&A支援など、顧問先のニーズに合わせてサービスを提供しています。
業務にもよるところもありますが、基本的には、中小企業の経営者としっかり向き合いたい人や、中小企業の支援を通じて地域の発展に貢献したい人に向いています。
【税理士法人に向いている会計士の特徴】
- 企業の発展に貢献したい人
- 自己研鑽を続けられる人
- コミュニケーション能力が高い人
会計事務所
公認会計士や税理士による個人事務所です。その地域の中小企業の税務顧問や経営支援を行いながら、経営者のニーズに応えます。
個人経営であるため、経営方針に所長の考え方がダイレクトに反映されていくところはありますが、基本的には税理士法人と同様に、中小企業の経営者としっかり向き合いたい人や、中小企業の支援を通じて地域の発展に貢献したい人に向いています。
【会計事務所に向いている会計士の特徴】
- 企業の発展に貢献したい人
- 自己研鑽を続けられる人
- コミュニケーション能力が高い人
経営コンサルティング会社
経営コンサルティング会社に入社し、コンサルタントとして企業を支援する道もあります。
企業会計と企業法のスペシャリストである公認会計士は、コンサルティング業界で活躍することもできます。コンサルティング業界は成果が重視され、それが報酬にも反映されやすいところです。
特に外資系には「UP or OUT」(昇進するか、辞めるか)という社風もあります。自分の経営支援についてのロジックがどこまで通用するのか挑戦してみたい人に向いています。
【コンサルティング会社に向いている会計士の特徴】
- ロジカルシンキングが得意な人
- 自己研鑽を続けられる人
- 企業の発展に貢献したい人
事業会社
公認会計士には、「企業内会計士」として一般の事業会社に勤める道もあります。
企業内会計士には、CFO(最高財務責任者)として財務視点から経営戦略を実行したり、財務部門の幹部・幹部候補として関係部署を統括することなどが求められます。
この他にも、内部監査室(任意監査を行う社内の組織。経営者の直轄であることが一般的)を設けている企業であれば、その構成員である内部監査人として、会計士の資格は役立ちます。
企業内会計士は、監査法人や税理士法人・会計事務所などに属して外部から企業を支援するのとは異なり、企業の内側から、その実務を通じて成長させる働きが求められます。
アドバイザーではなく当事者として、最前線で挑戦してみたい人に向いています。
【事業会社に向いている会計士の特徴】
- ロジカルな思考や分析が得意な人
- 企業(自社)の発展に貢献したい人
- コミュニケーション能力が高い人
独立開業
公認会計士の資格は、独立開業にも向いています。
公認会計士や税理士として個人の会計事務所を設立したり、これまでの企業支援の経験を活かして自身で事業を立ち上げることも可能です。
マーケティングも営業も人材育成もすべて自分の手にかかるわけですが、これらを自分ですべてやってみたい人、自分の理想とする顧客との向き合い方がある人、ワークライフバランスを大切にしたい人などに向いています。
【独立開業に向いている会計士の特徴】
- 自己研鑽を続けられる人
- コミュニケーション能力が高い人
- ロジカルな思考や分析が得意な人
まとめ
公認会計士(会計士)に向いている人の特徴、向いていないと感じた時の対処法、就職先・働き方ごとに向いている人の特徴を解説しました。
公認会計士を目指されている方や公認会計士に興味のある方が感じている疑問の答えになれば幸いです。
税理士.ch 編集部
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