立体商標とは<経営戦略のための知財Vol.22>

特許業務法人 浅村特許事務所
会長・弁理士 金井 建

2022/2/11

M&A、経営戦略、融資判断などで知的財産の占める割合が高まる中、その経済的価値を把握することは企業にとって必須です。そこで、業務に最適な知的財産価値評価サービスを提供している浅村特許事務所の金井建先生が、経営に役立つ知財の活用法について解説します。
※本記事は、会報誌『BIZUP Accounting Office Management Report』vol.99(2022.1)に掲載されたものです。

知財におけるマーケティング戦略⑦


ブランド戦略 7
【立体商標】
立体商標とは、立体的形状からなる商標をいいます。1996年から登録ができるようになりました。立体的形状に文字や記号、図形、模様、色彩が結合している商標と、立体的形状のみからなる商標があります。

立体的形状に文字・図形等が結合している商標
下左の図は、生しょうゆボトルの立体商標です。ボトルに、キッコーマンのハウスマークと複数の帯からなる色彩のみが付加されています。中央図の実際の商品には、「しぼりたて」、「生」、「しょうゆ」、「キッコーマン」等の文字が付されています。

実際の商品と登録商標が異なるのは、実際の商品の表記の自由度を確保するとともに、商標がシンプルなほど、権利として強くなることに起因しています。そのため、識別力のあるハウスマーク等の最小限を付加するにとどめています。



立体的形状と文字・図形等が結合した商標は、文字・図形等の部分が識別力を発揮すれば、たとえ立体的な形状部分が識別力を有していなくても、商品全体として識別力を有するとして登録が認められます。飲料ボトルとしては、ポンジュースの容器なども登録されています(上右図)。

店頭に設置される人形として商標登録された例としては、不二家のペコちゃんやポコちゃん、ケンタッキー・フライド・チキンのカーネルサンダース像があります。これら店頭設置される人形から、提供している会社やサービスが消費者に認知されるために登録が認められています。いずれも立体商標制度開始時に出願された商標で、現在ではこのような出願、登録は見受けられません。既にネット社会となっていますので、あまり流行らないのでしょう。



キャラクターとしては、人型ロボットとしてペッパー君、さらにはゴジラ、マリオ、ピカチュウ、ポケモンGOのモンスターボールも登録されています。

これらの人形やロボット、キャラクター自体は既に人気があり、消費者にはどの会社の、どの商品・サービスかが分かります。そのため、既に自他商品・役務の識別機能や出所表示機能、広告宣伝機能を有している場合が多く、登録が認められやすいといえます。



このような立体商標は、認知度からして既にブランド化していますので、消費者の消費意欲を刺激するに十分な魅力を有しています。次号でも、引き続き立体商標についてご説明します。

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