上場企業に勤務する経理担当が監査対応にあたって準備すべきことについて<President’s Report vol.21>

株式会社ビズアップ総研 代表取締役
吉岡 高広

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今回は、上場企業に勤務する経理担当が監査対応にあたって準備すべきことについてお話したいと思います。

監査対応にあたって準備すべきことを説明する前に、上場企業の経理業務について説明します。
上場企業の経理業務は、金融商品取引法(金商法)で求められる会計基準を適用した財務報告書の作成や、部門・セグメント別会計、経営分析など、多岐にわたります。業務範囲が財務会計、管理会計の両分野に及ぶため、大規模な経理チームが法的な要件に従い、連携しながら業務に当たるのが特徴です。

なかでも大変だといわれる経理業務の1つに監査法人による外部監査の対応があります。
外部監査では、企業側の故意または過失による不正会計がないか、金商法で求められる会計基準が財務諸表に反映されているか、などが確認されます。監査法人によって監査報告書が作成され、監査報告書の中で「財務諸表などが適正である」との無限定適正意見が記載されていれば、外部監査を無事クリアしたことになります。
このように外部監査への対応は上場企業の経理業務のなかでも、大変な業務です。

それだけに、外部監査への対応に携わる経理担当者は監査が円滑に進むよう、事前準備を丁寧に行わなければなりません。経理担当者が行う事前準備には、必要書類の準備があります。準備すべき必要書類は株主名簿や取締役会議事録、決算書類など多岐に渡りますが、必要に応じて他の書類の提出を求められるケースがあります。その場合は、監査法人側から事前に渡された書類リストをもとに準備を進めましょう。

必要な事前準備は書類の準備だけではありません。監査法人からの質問に答えられるよう、自分が担当する決算資料・業務範囲について理解しておくことが必要です。また会計基準が変更された会計年度では、適正な会計処理が問題になるため、会計処理について事前に監査法人に確認しておくとよいでしょう。

事前準備を進めた後はいよいよ外部監査を迎えますが、実際の外部監査に対応するにあたってはいくつか留意点があります。
最もおさえるべきポイントは、監査手続の内容・結果を記録した「監査調書」を想定した回答です。監査法人側の立場に立ち、監査調書に記載する内容を想定して回答してあげれば、監査対応がスムーズに進みます。
具体的には、会計処理の考え方や業務プロセスについて明らかにしたうえで、定量的な情報も織り込んであげると監査法人側に好印象を与えられるでしょう。

このほか、監査対応にあたるうえでは、社内用語の使用は避けましょう。どんなに監査経験が豊富な監査法人でも、クライアントの業界の内情に精通しているとは限らないためです。それを踏まえ、社内で当たり前の知識を洗い出し、一般人にもわかりやすく話せるようにしておきましょう。

当社では今後も、会計・税務のコンテンツや最新情報を提供して参りますので、
是非、ご活用いただければと思います。

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