ESG投資<令和時代におさえておきたい会計 金融キーワード 第4回>

佐藤経営税務会計事務所 代表税理士
佐藤 充宏

2021/11/8

第4回 ESG投資

 
連日メディアでも取り上げられているテーマですが、具体的にどのようなものか気になる方もいらしゃると思いますので、今回は、ESG投資並びにその関連ワードについてご案内します。
 
【ESGとは】
ESGとは、次の用語の頭文字をとったものです。
・環境(Environment)
・社会(Social)
・ガバナンス(Governance)
そして、ESGへの取り組みができていない企業は、投資家等から企業価値が毀損するリスクを抱えていると判断される場合があります。
そのため、長期的に成長する上での経営基盤の強化に繋がるように、ESGへの取り組みをする企業が増えています。
 
【ESG投資】
投資の意思決定において、財務情報だけでなく、ESGも考慮に入れる手法が「ESG投資」といわれています。
特に、年金基金などの大きな資産を超長期で運用する機関投資家を中心に、企業経営のサステナビリティ(持続可能性)を評価するという考えが普及し、気候変動などを念頭においた長期的なリスクマネジメントや、企業の新たな収益創出の機会を評価する指標として、持続可能な開発目標(SDGs)と合わせて注目されています。
 
【ESG投資の種類とその概要】
1.ネガティブ・スクリーニング・・・倫理的でないものや環境破壊につながるものを除外します。
2.ポジティブ・スクリーニング/ベスト・イン・クラス・・・ESGの観点から評価の高い業種や企業に投資します。
3.国際規範スクリーニング・・・ESGに関する国際的な規範を基に投資先を決めます。
4.ESGインテグレーション・・・、財務状況を示すデータとESGに関する情報を総合的に判断し、投資先を決めます。
5.サステナビリティ・テーマ投資・・・サステナビリティ(持続可能性)に関連するテーマに着目して投資します。
6.インパクト・コミュニティ投資・・・環境や社会、コミュニティなどへ与えるインパクトの大きな活動を行う企業に投資します。
7.エンゲージメント・議決権行使・・・投資家が投資先企業に対して行う、目的を持った対話を行います。
 
【PRI(国連責任投資原則)】
PRIとは、投資にESGの視点を組み入れること等からなる機関投資家の投資原則の事であり、この原則に賛同する投資機関は署名をし、遵守状況を開示・報告する事になっています。
そして、このPRIに日本の年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が2015年に署名し、これを機に、日本でもESG投資が増えており、現在では一般的な投資方法の1つとなっています。
 
なお、このPRIには、次の6原則があります。
1.投資分析と意思決定のプロセスにESGの視点を組み入れる。
2.株式の所有方針と所有監修にESGの視点を組み入れる。
3.投資対象に対し、ESGに関する情報開示を求める。
4.資産運用業界において本原則が広まるよう、働きかけを行う。
5.本原則の実施効果を高めるために協働する。
6.本原則に関する活動状況や進捗状況を報告する。
 
【企業のESGに対する取り組み事例】
1、環境
地球温暖化防止に向けた二酸化炭素排出量の削減として、製造工程の見直しやリサイクル、そして、カーボンニュートラル等が挙げられます。
2、社会
人権問題への対応やダイバーシティ、ワークライフバランスの実現に取り組み、職場でのハラスメント防止対策や長時間労働の是正などが挙げられます。
3、ガバナンス
ガバナンスとは、健全な企業経営に向けた、企業自身による管理体制のことであり、
リスクマネージメントやコンプライアンス、組織強化等による積極的な情報開示があります。
 
以上
 
令和時代に知っておきたい会計・金融キーワードに関する解説は今回で最後となります。
なお、全4回の内容については、分かりやすくご案内するために、平易に記載しているところもありますので、実際の事例の個別判断等については、社内で確認の上、専門家等へのご相談をお願い致します。
 
 
出典元:
経済産業省:ESG投資

GSIA(Global Sustainable Investment Alliance):他GSIA内URLより

 ※本記事は2021年9月時点の情報に基づいて作成しております。

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