家族会議が株主総会?<税理士のヒヤリ・ハット体験談 第19回>

税理士法人 古田土会計 社員税理士
土田大輝

2021/10/22

第19回 指折り数えて年数計算!


我々の仕事をしていると、年を西暦で把握する人と和暦で把握する人がいますが、私の肌感覚ですと和暦で把握している人の方が多いような気がします。
理由は、まず会社の決算書の年度表記について、和暦で表記されている会社が多いからということ。そして国税庁から発せられる期日に関する情報と、我々の登竜門“税理士試験”で、和暦を採用されていること、等々。和暦の方が仕事をしやすい環境にあるのが現状だからと思います。西暦は欧米など外国のイメージがありますね。最近こそ経理上の原始資料を拝見すると西暦表記の書類が増えてきていますが、やはり我々の業界は、和暦が根強い印象を受けます。

【和暦での年齢計算方法】
和暦では、元号の移り変わりにより、年齢や経過年数の計算には気を付けないといけないことは、言うまでもないことです。例えば、昭和54年3月26日の生年月日の人は、令和3年10月22日現在で何歳でしょうか。昭和→平成→令和と元号が移り変わったわけですから、令和3年は平成で考えると平成33年とカウントします。平成33年は昭和で考えると63を足して昭和96年とカウントします。誕生日が今年過ぎているので…とその後考えますが、私の受験生時代に、専門学校の講師の先生からこんなやり方を教えてもらいました。
電卓を使って、まず本日の日付を昭和でカウントした(昭和)96年10月22日を『961022』と入力します。
その6ケタの数字から、生年月日(昭和)54年3月26日を『540326』を引き、その答え『420696』を出します。そのときの上2ケタ42が年齢」になります。これを使えば、誕生日が過ぎているかどうかは全く考えなくて大丈夫です。
このやり方は、特に相続税で年齢が適用要件に影響するようなものに、とても重宝しています。皆さんも是非この方法を試してみて下さい。
毎年「今年は昭和であれば96年」等と考えていただければ、大丈夫です。
 
【年数カウントの落とし穴】
では、年齢計算や年数計算で本当によく間違えてしまうのが、
① 譲渡所得での短期・長期の考え
②相続時精算課税での年齢の基準日
です。①は、譲渡した年の1月1日において譲渡資産の所有期間が5年を超えているかどうか。
②は、その年1月1日時点で贈与者60歳以上あるいは受贈者20歳以上という判断。
をします。①であれば譲渡日の状況ではなく②でも贈与の日というわけではありません。
私は、先ほどあれだけ(電卓でする)簡単な計算をご紹介しましたが、最後は一度指折り数えています。特に①については、線表というのでしょうか。期間の経過を、線を描いて、見て数えるようにしています。
 
【消費税の納税義務判定も線表必須】
また、消費税の納税義務の判定も線表の出番です。頭の中だけでは勘違いもしてしまう恐れがあり、また『ミスの温床』とも言われています。皆さんいろいろな工夫をしながら、適用関係を間違えないようにされていると思いますが、最後は手を動かすのが肝心ではないかと思います。
 
業務ごとに様々な年齢計算・年数管理をする必要があるのが我々税理士業です。「ついうっかり」ということを絶対に防ぐべく、取り組んでいきたいところです。
 
【おまけ】
平成から令和になったとき、あるラジオ番組で
「令和の年数を西暦に変換するときは、令和の年数に018(レイワ)を足してあげると良い」
というのを聴きました。例えば「令和3年は3+018=21つまり2021年」というわけです。これも非常にわかりやすいですので、是非仕事でお使いください!

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