量的・質的金融緩和<令和時代におさえておきたい会計 金融キーワード 第2回>

佐藤経営税務会計事務所 代表税理士
佐藤 充宏

2021/9/30

第2回:量的・質的金融緩和

 
経済関連のメディア等でよく取り上げられていますが、これは、日本銀行(以下「日銀」といいます)が2013年4月に導入した金融緩和の強化策であり、当時の景気の停滞期を乗り越えるために、第二次安倍内閣によるアベノミクスにおける3本の矢を柱とする経済政策の1つである「大胆な金融政策」として、デフレ脱却を目指し、金融緩和で流通するお金の量を増やすというものです。
 
【金融緩和政策について】
金融緩和は、サービスやモノが売れないで景気が悪いときに金利を引き下げるというイメージです。
これに対して、景気が過熱しているような時に金利を引き上げるというイメージのものが金融引き締めです。
 
この金融緩和政策にあたっては、日銀は公開市場操作(オペレーション)と呼ばれる手段を用いて、金利の誘導や資産の買入れなどを行っています。
※日銀は市中の金融機関の金利を直接的に変える事はできませんが、金融機関は日銀が決める金利をもとに金融機関の金利を決めています。
 
そこで、景気を上向かせたい場合には、次のような流れのイメージになります。
日銀:金融緩和で金利を下げる。

金融機関:顧客である企業や個人への貸出を低金利で行う。

企業も個人:事業資金を借りやすくなる。

全体として経済が活発する。
 
【量的金融緩和とは】
量的金融緩和とは、日銀が操作して世の中に出回るお金の量を増やすことです。
 
ところで、市中の金融機関は、日銀に日銀当座預金という口座を持つこととなっていますが、量的金融緩和の場合には、例えば次のような流れのイメージになります。
日銀:金融機関が政府から買った国債を買い取る。

金融機関:金融機関が持つ日銀当座預金残高が増える。

金融機関:増えた日銀当座預金を企業や個人に貸し付ける。

世の中にお金が循環する。
 
【質的緩和】
これは、「質的」な手段で、世の中に出回るお金を増やすことです。
例えば、次のような事があります。
・日銀が保有する国債を長期保有する。
・国債以外に証券取引所に上場されている投資信託等の金融資産の買い入れをする。
 
【量的・質的金融緩和の推移】
2013年のアベノミクス開始時は、量的・質的金融緩和でしたが、2%の物価安定目標をできるだけ早期に実現するため、2016年には、マイナス金利付き量的・質的金融緩和を導入し、2018年には、長短金利操作付き量的・質的金融緩和の持続性を強化する措置が決定され、その後も、金融緩和を継続するとともに、情勢変化に対して、躊躇なく、機動的かつ効果的な対応が行われています。
 
以上
 
なお、上述のご案内は、一般的な情報提供を目的としており、平易な内容で説明しているため、法務や財務・会計、税務その他の専門的助言を提供するものではなく、実際の個別の判断等については一切責任を負いませんので、実際の対応等にあたっては、取引金融機関の担当者、その他関係者・専門家とご確認・ご相談の上、ご対応をお願い致します。
 
<出典元>
日本銀行
最近の金融経済情勢と金融政策運営 

2%の「物価安定の目標」と「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」

「量的・質的金融緩和」導入以降の経済・物価動向と政策効果についての総括的な検証

※本記事は2021年9月時点の情報に基づいて作成しております。

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