上場を目指す企業が監査法人によるショートレビューの後に取り組むべき対応について<President’s Report vol.19>

株式会社ビズアップ総研 代表取締役
吉岡 高広

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今回は、上場を目指す企業が監査法人によるショートレビューの後に取り組むべき対応についてお話したいと思います。

ショートレビューとは、監査法人などが上場に向けた課題を抽出する目的で行う事前課題調査です。
予備調査や短期調査などの名称でも呼ばれ、現在の会社の状況やIPO(新規公開株式)に向けた課題を明確にできるメリットがあります。受ける時期としては、N-3期(上場3期前)が望ましいと言われています。
ショートレビューでは、主に財務諸表の妥当性や内部統制の整備運用状況などが調査されます。

財務諸表のチェックでみられるのは、回収可能性に問題のある売掛金や評価損計上が必要な棚卸資産の有無などです。企業によっては、製品を作るうえでかかった費用を計算する原価計算制度や、グループ全体の決算状況を明らかにする連結決算体制の整備状況なども調査されます。
一方、内部統制のチェックでは、取締役会や監査体制、労働環境の運用・整備状況などが調査されます。
このうち、監査体制では、株主総会で選任された監査役による監査役監査や、企業内の独立した監査組織による内部監査の実施状況などが主なチェックポイントとなっています。

ショートレビューを受けた後は、抽出された課題に優先順位をつけて順次改善を進めていきます。
コーポレート・ガバナンスや組織・規定の整備といった上場基準のクリアに向けた改善対応も重要ですが、差し当たっては、監査を受けるための体制の整備に取り組みましょう。具体的には、内部統制の整備や会計方針の確定、会計処理の根拠となる資料の整理などです。

これらの対応は、N-3期末からN-2期首にかけて行われる「新規監査受託のための調査」(予備調査)の調査項目に該当します。
ショートレビューから予備調査までは、それほど余裕がありません。そのため、ショートレビューの後は、監査法人によるフォローアップ(改善状況の確認)を受けながら、早急に改善対応に取り組みましょう。その際、監査法人のアドバイザリー業務を利用するのも有効です。

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