2025年4月から65歳までの雇用確保が義務化!
シニア雇用の法改正と助成金受給のカギ

労務管理事務所 新労社 社会保険労務士
深石 圭介

高年齢の雇用についてはこれまで、定年をゴールとして収入を増やし、リタイアして経済的に安心して生活ができるようにすることが目標とされてきました。定年前に正社員になる、あるいは在職老齢年金などの収入との調整を主眼に政策が図られてきました。

ただ2017年の「1億総活躍社会」政策(老若男女誰もが活躍する社会の創造)から、高年齢雇用確保措置として、継続雇用の義務化が段階的に図られることになり、教育や正社員化関連と併せて、高年齢関係助成金の使いやすさがアップしました。2021年度以降、定年引上げ、継続雇用の助成金の大幅緩和を皮切りに、2025年度からは高年齢雇用継続の65歳義務化が行われます。

こうしてみると、高年齢者への政策が変化していることが感じられます。リタイアを目標とした雇用措置から、健康が続く限りは何歳まででも働くための雇用措置を行うという政策への転換です。その原因は少子高齢化に由来する人材不足、さらに終身雇用、年功序列の賃金体系の維持の困難化、職務給への転換の必要性です。

もちろん定年前に所得を増やす、あるいは定年延長、継続雇用を行うことというのは、今日においても重要な企業の施策です。ただ延長すれば、継続雇用すればいいのか? その中で働く仕事はどうなのか? やっかい者扱いされる可能性はないのか? ということを考えなければならない時代になっています。

それが当局の「三位一体の労働市場改革」(リスキリング・職務給・労働移動⇒人手不足を解消する雇用の多様化に対応)政策の設定動機です。少なくなる若手はともかく、日進月歩の技術に追われる社会で、中高年が日本の経済基盤を支えるようでなければ、現在日本のインフラは持たなくなりつつあるのです。年功序列、終身雇用のシステムが崩れると言われて久しいですが、その代替案として当局が提案しているものです。

ですから年金をはじめ所得の保障というよりも、正社員でも非正規でも、またボランティアや請負でも、体が動く限りは働いていただこうという当局のすすめで、そのための制度を現在整えているところなのです。

例えば2024年11月施行のフリーランス・事業者間取引適正化等法は、「1人親方」のフリーランスがキッチリとした就業条件で仕事をするほかに、請負元が就業環境も整えなければならないということになっています。法律適用に年齢制限はありませんから、“高齢”労働者の他にボランティアや請負、委託などの多様化をにらんだ雇用や福利をもたらすことを目指していることが分かるのです。

セミナー情報

今回ご寄稿いただきました深石先生の高年齢者の雇用に向けたセミナー「2025年4月から 65 歳までの雇用確保が義務化!シニア雇用の法改正と助成金受給のカギ」(https://www.bmc-net.jp/seminar/2024/057/)が、2024年9月30日(月)に開催されます。

定年を延長する、雇用継続することに対しての助成金も紹介しますが、高齢者を会社の利益に向けて有効に活用し企業の戦力とするにはどうしたらいいのか? ということにうってつけの助成金と、その助成金に結び付けるための「高年齢者の仕事の棚卸し」を行うツールもご紹介いただきますので、 ぜひ多数の方々からのご参加をお待ちしております。

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深石 圭介

労務管理事務所 新労社 社会保険労務士
平成16年に新労社を開業。 雇用関連助成金の申請及び派遣関係の許可申請等を専門とし、中小企業の労務管理に関して実践的な アドバイスを行っている。社会保険労務士として多くの顧問先を持つほか、 労働法の改正等にも知見が深く、研修会社や業界団体等においてセミナー講師も務めている。

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