LIBORとは<令和時代におさえておきたい会計 金融キーワード 第1回>
佐藤経営税務会計事務所 代表税理士
佐藤 充宏
2021/9/30
第1回:LIBORの恒久的な公表停止
以前よりメディアでも多く取り上げられていますが、様々な業務に関係する部分もあるため、今回は、この概要についてご案内致します。
【LIBORとは】
ロンドン市場の金融取引での銀行間取引金利の事であり、「London Interbank Offered Rate」の略称です。
【LIBORの利用】
LIBORは、「金利はLIBOR+~%とする」の文言として用いられる事等もあり、資金調達コストの基準として用いられ、金融取引での金利指標の一つとされています。
そして、次の5つの通貨について公表されています。
・日本円(日本円通貨の場合には、「円LIBOR」といわれています)
・米ドル
・英ポンド
・スイスフラン
・ユーロ
※その他の金利指標例としてTIBORがあります。
これは、「Tokyo Interbank Offered Rate」の略称であり、東京の市場での銀行間取引の金利指標とされています。
また、その他の金融市場でも用いられる銀行間金利があります。
【LIBORの恒久的な公表停止】
2021年3月5日に、LIBORの運営機関である ICE Benchmark Administration より、一部を除き、LIBORについては、2021年12月末をもって公表を停止する事が公表されました。
【LIBORの恒久的な公表停止の影響】
LIBORは、例えば、貸出・債券・デリバティブといった商品における参照金利としてだけではなく、ヘッジ会計や資金決済等、様々な制度や慣行等での利用が前提とされています。
そのため、LIBORの恒久的な公表停止による影響は大きく、金融機関はもちろん、企業等においても対応が必要です。
(LIBORを直接参照していなくても、LIBORを利用した指標もあるため、これらへの影響も想定されます)
そこで、日本では、日本銀行を事務局とする「日本円金利指標に関する検討委員会」が設立され、恒久的な公表停止に備え、金融商品や取引の性質に応じて円金利指標を適切に選択し利用していくうえで必要な検討(基本的な考え方や具体的課題、対応策の整理、移行計画の策定等)等を行っています。
【財務・経理部門で必要と思われる対策例】
・LIBORを参照する金融商品・取引等の原契約および条文の特定と、状況に応じての契約内容の変更手続き
・LIBORを利用している財務会計・管理会計等の業務の特定と課題解消
・金融機関や会計監査人等の関係者と確認の上、想定される影響の把握と課題解消
・社債権者や投資家等への対応
※その他、全社レベル・部門レベル等で、状況によって必要な対策を漏れなく、そして、遅滞なく進めなければなりません。
以上
なお、上述のご案内は、一般的な情報提供を目的としており、法務や財務・会計、税務その他の専門的助言を提供するものではなく、実際の個別の判断等については一切責任を負いませんので、実際の対応等にあたっては、取引金融機関の担当者や会計監査人、その他関係者・専門家とご確認・ご相談の上、ご対応をお願い致します。
<出典元>
金融庁
LIBORの恒久的な公表停止に備えた対応について
日本銀行
金利指標改革(LIBORの恒久的な公表停止に備えた対応)
一般社団法人全国銀行協会
LIBOR特設ページ