経営者が学ぶべき3つのこと(小宮一慶先生 経営コラム Vol.21)

株式会社小宮コンサルタンツ 代表取締役CEO 
小宮 一慶

2021/7/18

本コラムでは、『小宮一慶の「日経新聞」深読み講座』等の著書を持ち、日経セミナーにも登壇する小宮一慶先生が、経営コンサルタントとしての心得やノウハウを惜しみなくお伝えします。
※本記事は、会報誌『BIZUP Accounting Office Management Report』vol.95(2021.9)に掲載されたものです。

経営者が学ぶべき3つのこと


今回は、私が常々経営者たちに話している、「経営者が学ぶべき3つのこと」についてお話ししましょう。

まず、経営とは、1. 企業の方向付け、2. 資源の最適配分、3. 人を動かす、の3つから成り立っていると私は考えています。それらをうまくやることが経営です。とくに、経営の8割がたは「方向づけ」、つまり何をやるかやめるかで決まると私は思っています。それを的確にやることが何よりも大切です。

学ぶべきひとつめは、「新聞の大きな記事を読む」ということです。「会社」という字は「社会」という字の反対ですが、社会の大きな動きに勝てる会社はありません。経営者は社会の大きな流れを知る必要があるのです。

それを知る最適の道具は新聞です。それも、自分の関心のある記事だけを読むのではなく、大きな記事、とくに、数行で全体をまとめたリード文のあるような記事は、リード文だけでもいいので読むのです。国際面でも、金融面でも、他産業の記事でもとにかく大きな記事は、リード文だけでも読むのです。これは電子版でも同じです。

多くの人が「7-ELEVEn」の最後の「n」が小文字なのに気づいていませんが、関心を持っていないからです。逆に関心を持てば、モノは見えるのです。新聞の大きな記事を読むことで大きな社会の流れに関心を持つことが第一です。

次は、「経営の原理原則を学ぶ」ことです。経営上の判断をする際には基準が必要ですが、それを学ばなければなりません。最良はピーター・ドラッカーの本を読むことだと私は考えていますが、なかなか難しいことも事実です。ドラッカーが難しければ、お勧めは一倉定先生の本です。柳井正さんの『経営者になるためのノート』も秀逸です。私の本(『経営者の教科書』)でもかまいません。

学ぶべき3つ目は、これまでも何度か触れてきましたが、「何千年もの間、多くの人が正しいと言ってきたことを学ぶ」ことです。稲盛和夫さんは、「ビジネスも人生の一部」とおっしゃっていますが、人生がうまくいくことが何よりも大切で、そのためには、前回にもお話ししたように、論語や仏教書、キリスト教の聖書など、何千年もの間、多くの人が頼りにしてきた本から生き方を学ぶことです。それが難しければ、松下幸之助さんや稲盛さんの本もお勧めです。

いずれにしてもここで説明した、「新聞の大きな記事を読む」、「経営の原理原則を学ぶ」、そして「何千年もの間、多くの人が正しいと言ってきたことを学ぶ」を繰り返し行えば、松下さんがおっしゃるように「人生もビジネスも自然にうまくいく」ようになっていると私は確信しています。

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