仮想通貨、ビットコイン、NFT、DiFi…税理士が知っておきたい暗号資産用語をご紹介

近年、投機・投資の手段として多くの個人投資家に注目されている暗号資産ですが、法人においても、資金調達や取引の手段として暗号資産を活用する企業が増えています。日本暗号資産取引業協会の調査によると、現物取引高が1兆円を超えるなど(2024年5月次)、暗号資産は巨額のお金が動くビジネスです。

それだけに国税庁からの目は厳しく、昨年発表された「所得税及び消費税調査等の状況」では申告漏れ所得金額の総額が189億円に上るなど、税務調査や確定申告を行う税理士のニーズは高まっています。

インターネット上のプラットフォームを介して行うシェアリングエコノミー等新分野の経済活動(注)に係る取引や暗号資産(仮想通貨)等の取引を行っている個人に対しては、資料情報の収集・分析に努め、積極的に調査を実施しています。

<暗号資産(仮想通貨)等取引を行っている個人に対する調査状況>
➢ 令和4事務年度においては、615件(前事務年度444件)実地調査(特別・一般)を実施しました。
➢ 1件当たりの申告漏れ所得金額は、3,077万円(同3,659万円)となっています。また、申告漏れ所得金額の総額は189億円(同162億円)に上ります。

令和4事務年度 所得税及び消費税調査等の状況 – 国税庁HP

本記事では、暗号資産への対応が必要な税理士・会計士の皆様へ向けて、暗号資産にまつわる用語を紹介していきます。

目次

暗号資産の用語紹介

暗号資産(仮想通貨)

暗号資産とは、デジタル形式の通貨のことです。中央銀行や政府が管理する法定通貨とは異なり、インターネット上で取引され、ブロックチェーン技術を基盤としています。代表的な暗号資産としては、ビットコインやイーサリアムがあります。これらの通貨は、投資目的やオンライン決済などで使用されることが多いです。暗号資産は価格の変動が大きいため、投資の際にはリスク管理が重要とされています。仮想通貨とも呼ばれますが、呼び方の違いだけでどちらも同じものを指します。金融庁や日本銀行などの公的機関では、暗号資産(仮想通貨)と括弧書きで呼ばれることが多いです。

ブロックチェーン

ブロックチェーンは、一言で言えば「取引記録を安全に管理するための技術」です。簡単に言うと、取引データを時系列で「ブロック」として記録し、それを「チェーン」のように連結させる仕組みです。ブロックは1つ前の取引データを引き継いで連結していくこと、分散型ネットワークという、中央管理者がいない管理方法をとっていることから、改ざんが難しくセキュリティ性が高いという特徴があります。このブロックチェーンの技術が、後述する暗号資産の様々な要素の基盤となっています。

分散型ネットワーク

ネットワーク上のたくさんのコンピュータ(これをノードと呼びます)で取引記録を共有して管理する技術を分散型ネットワークと呼びます。この仕組みのおかげで、中央の管理者がいなくても全てのノードが同じデータを持つことができ、これにより、データを改ざんすることが非常に難しくなっています。例えば、一つのノードがデータを改ざんしようとしても、他のすべてのノードが正しいデータを持っているため、改ざんされたデータは無視されます。この技術を使用して、ブロックチェーン取引の安全性は保たれています。

ビットコイン

仮想通貨といえば「ビットコイン」を想起する方も多いのではないでしょうか?ビットコインは、2009年にサトシ・ナカモトという匿名の人物が開発した、最も広く知られている暗号資産です。その価格推移は凄まじく、2014年7月時点で約6万円だったビットコインは、2024年7月現在では890万円の値をつけています。

ステーブルコイン

ステーブルコインは、法定通貨や他の資産に価値を固定した暗号資産です。例えば、米ドルに価値が連動するUSDT(Tether)などがその代表です。ビットコインなどの価格変動の激しさに対して、ステーブルコインの特徴は、価格の安定性です。これにより、取引の際に価値が大きく変動するリスクを回避することができます。ステーブルコインは、国際送金やデジタル資産の保管、スマートコントラクトの実行などで利用されています。

スマートコントラクト

スマートコントラクトは、ブロックチェーン上で自動で実行される契約のことです。ブロックチェーン上で契約条件が満たされると、自動的に処理が行われるため、第三者を介さずに契約を実行することができます。例えば、不動産取引や保険契約などで利用されることがあります。透明性が高く契約内容の改ざんが難しいため、信頼性が高いことが特徴ですが、国内での活用事例は多くありません。

マイニング

マイニングは、新しい暗号資産を生成し、取引をブロックチェーンに追加するプロセスです。高性能なコンピュータを使って複雑な計算問題を解くことで、新しい暗号資産が報酬として与えられます。マイニングは、多くの電力と計算能力を必要とするため、個人で行うのは難しくなっていますが、マイニングプールに参加することで可能になります。税理士としては、マイニングで得た収益の適切な税務処理をクライアントにアドバイスすることが重要です。

ICO

ICO(Initial Coin Offering)は、企業やプロジェクトが新しい暗号資産やトークンを発行し資金調達を行う手法です。従来のIPO(新規公開株式)を、株式ではなく暗号資産の発行という形で踏襲しています。ICOは、スタートアップ企業が資金調達を行うための有効な手段となっていますが、詐欺も多く存在するため、企業にとっても投資家にとっても慎重な判断が求められます。

ウォレット

ウォレットは、暗号資産を保管するためのデジタル財布です。暗号資産は取引所で保管しておくことも可能ですが、取引所がハッキング被害を受けた際に資産が盗まれてしまうというリスクがあります。そのため、銀行から下ろしたお金を自らの財布にしまうイメージで、取引所から自分のウォレットに資産を移す方法が主流です。
ウォレットには、オンラインで管理する「ホットウォレット」と、オフラインで管理する「コールドウォレット」があります。

秘密鍵

秘密鍵は、暗号資産の取引を行うために必要な暗号コードです。秘密鍵を使って取引を署名することで、暗号資産を送受信することができます。秘密鍵が第三者に知られると、暗号資産が不正に利用されるリスクがあります。そのため、秘密鍵は厳重に管理する必要があります。

NFT

NFT(Non-Fungible Token)は、アート作品や音楽、ゲームアイテムなどの所有権を証明するトークンです。限定アイテムやコレクションなどに対して発行されることが多く、デジタルアイテムそのものがNFTである場合もあれば、実物に対してNFTを発行し所有権を発行することもあり、販売や譲渡も可能です。2022年には、スポーツブランドの「NIKE」がデジタルスニーカーのコレクションをNFTとして販売し、約250億円を売り上げました。NFTはブロックチェーン上で管理されるため、所有権の証明や取引履歴の追跡が容易です。

ミント

ミントは、新しいNFTを発行するプロセスのことです。アーティストやクリエイターがデジタルアートをNFTとしてブロックチェーン上に登録する際に行われます。ミントされたNFTは、その後、売買やトレードが可能となります。

BCG

BCG(Blockchain Game)は、ブロックチェーン技術を活用したゲームのことです。プレイヤーがゲーム内で得たアイテムやキャラクターは、実際の暗号資産として取引されることがあります。これにより、ゲーム内の資産が現実の価値を持つことになります。

DeFi

DeFi(Decentralized Finance)は、中央管理者なしに金融サービスを提供するシステムです。借り入れや貸し付け、取引所などのサービスが含まれます。DeFiは、ブロックチェーン技術を基盤としており、透明性が高く、利用者にとっての利便性が向上します。

DEX

DEX(Decentralized Exchange)は、中央管理者なしに暗号資産を取引できるプラットフォームです。取引が迅速で透明性が高く、取引手数料も比較的低いのが特徴です。

エアドロップ・giveaway

エアドロップは、プロジェクトがプロモーションの一環として無料で暗号資産やトークンを配布することです。新規ユーザーの獲得やコミュニティの活性化を目的としています。

Dapps

Dapps(Decentralized Applications)は、ブロックチェーン上で動作するアプリケーションです。中央管理者なしに運営され、透明性が高いのが特徴です。Dappsは、金融サービス、ゲーム、ソーシャルネットワーキングなど、さまざまな分野で利用されています。

まとめ:暗号資産に強くなって新規クライアントの開拓をしよう

ここまで、暗号資産に関する基本的な用語を紹介しました。一見複雑で難しく感じられるこの分野ですが、暗号資産の会計処理や税務対応に精通していることで、企業に対するサービスの幅が広がります。新たなビジネスチャンスを開拓したい方は暗号通貨を学んでみてはいかがでしょうか?

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