税理士の年収はいくら?年齢別や企業規模別にくわしく解説

「税理士の年収は具体的にどれくらいだろう?」「税理士の資格を持てば高収入が期待できるのだろうか?」こんな疑問を抱えていませんか?

税理士の平均年収は約738万円ですが、年齢や経験年数によって異なります。特に50歳以上になると、年収1,000万円以上が期待できることもあります。

この記事では、税理士の年収について詳しく解説します。年齢や企業規模ごとの年収の違い、そして今後税理士に求められるスキルについても触れていきます。

目次

税理士の平均年収は一般労働者よりも高い

厚生労働省の令和5年賃金構造基本統計調査によると、税理士の平均年収は一般労働者に比べると高めです。ここでは、税理士の平均年収が一般労働者と比べてどれくらい違うのか、理由や具体的な数字を交えながら解説します。

一般労働者の平均年収は318.3万円

厚生労働省の令和5年賃金構造基本統計調査によると、一般労働者の平均年収は318.3万円です。平均年収は会社員やアルバイト、パートなどを含めた平均値ですが、業種や職種、年齢、地域などによって年収は異なります。

たとえば大企業で働く正社員と、中小企業で働くパート社員では、年収が違います。また同じ会社員でも、営業職と事務職では、年収に差があるでしょう。

税理士の平均年収は738万円

税理士と公認会計士の平均年収は738万円と、一般労働者の平均年収と比べて高い水準です。専門性の高さや安定した需要が、高収入につながっていると考えられます。

税理士は、税務に関する専門知識やスキルを持つ国家資格者です。企業や個人事業主の税務申告や相談、税務調査の対応など、税務に関する幅広い業務をします。専門性が高く、需要も安定していることから、一般労働者よりも高い年収を得ていると考えられます。

税理士は独立開業して自分の事務所を持つことができますし、企業の経理部門や税理士事務所に勤務も可能です。独立開業した場合、自分の能力や営業力によって年収が大きく変わる可能性があります。

税理士の年収は働き方によって違う

税理士の年収は働き方によって異なり、同じ税理士の資格を持っていても、年齢、雇用形態、勤務先の規模によって年収は違います。ここでは税理士の年収について、年齢別や企業規模別などの観点から解説します。

年齢別の税理士の平均年収

厚生労働省の令和5年賃金構造基本統計調査によると、年齢別の税理士・公認会計士の平均年収は以下の通りです。

年齢平均年収
20〜24歳366万円
25〜29歳558万円
30〜34歳700万円
35〜39歳805万円
40〜44歳840万円
45〜49歳836万円
50〜54歳990万円
55〜59歳592万円
60〜64歳1,031万円
65〜69歳730万円
70歳〜686万円

税理士の年収は年齢とともに上がる傾向があります。経験を積むほどに専門知識やスキルが向上し、より高度な業務を任せられるようになるためです。また、顧客からの信頼も厚くなり、より多くの案件を獲得できるようになることも、年収アップに繋がります。

20代の税理士の平均年収は350万円~550万円程度ですが、30代になると700万円~800万円ほどに上昇します。さらに、40代では850万円ほど、50代以上になると1,000万円を超えるでしょう。

ただし、年齢を重ねるだけで年収は上がりません。常に新しい知識を学び、スキルアップに努めることが大切です。また、顧客との信頼関係を築き、安定した顧客基盤の確保も、長期的な年収アップに繋がるでしょう。

雇われ税理士の平均年収

厚生労働省の令和5年賃金構造基本統計調査によると、雇われ税理士・公認会計士の平均年収は以下の通りです。

経験年数平均年収
0年403万円
1〜4年531万円
5〜9年670万円
10〜14年844万円
15年以上848万円

税理士の平均年収は、経験年数によっても異なります。経験年数0年では400万円ほどで、資格を取得したからといって、年収が大幅に増えるわけではありません。一方、経験年数が10年を超えると年収は800万円ほどとなり、経験を積むことで年収アップが期待できます。

開業税理士の平均年収

第6回税理士実態調査報告書(2014年実施)によると、開業税理士の平均年収は以下の通りです。

年収構成比
300万円以下31.4%
301万円〜500万円16.7%
501万円〜700万円12.0%
701万円〜1,000万円13.5%
1,001万円〜1,500万円11.0%
1,501万円〜2,000万円5.0%
2,001万円〜3,000万円3.4%
3,001万円〜5,000万円1.5%
5,00万円超0.5%

年収1,000万円以下の開業税理士の構成比は73.6%ほどです。開業税理士は経営者のため、経営手腕や集客力によって、年収は大きく違います。

顧問先の数や規模、提供するサービスの内容などによっても、年収は大きく左右されるでしょう。開業税理士は、成功すれば高収入を得られますが、失敗するリスクもあります。開業する際には、慎重に検討する必要があります。

企業規模別の税理士の平均年収

厚生労働省の令和5年賃金構造基本統計調査によると、企業規模別の理士・公認会計士の平均年収は以下の通りです。

企業規模平均年収
10〜99人706万円
100〜999人719万円
1,000人以上922万円

大企業ほど業務内容が複雑で高度な専門知識やスキルが求められます。大企業は経営規模が大きく、税務処理も複雑になるため、税理士の重要性も高まります。

たとえば、大企業に勤務する税理士の平均年収は900万円~1,000万円ほどですが、中小企業に勤務する場合は700万円ほどです。企業規模が大きいほど、仕事量や責任も増えるため、ワークライフバランスを重視する場合は、中小企業の方が働きやすいと感じる人もいるでしょう。

これからの税理士に求められるスキル

これからの税理士に求められるスキルは、数字だけではありません。時代の変化とともに、税理士の役割も変わっています。税金を計算する税理士から、クライアントのビジネスをサポートする、頼れるパートナーへと進化するでしょう。

ここでは、これからの税理士に求められるスキルを解説します。

コミュニケーション能力

コミュニケーション能力の高い税理士は、クライアントから厚い信頼を得ます。クライアントの話をじっくり聞き、専門用語を使わずにわかりやすく説明すると、安心して悩みを打ち明けてくれます。一緒に問題を解決していく中で、クライアントは「この人に任せてよかった」と感じるでしょう。

クライアントの状況や想いを理解し、最適な解決策を一緒に考えていくことが求められる時代です。たとえば、新しく事業を始めるクライアントには、資金調達や経営戦略をアドバイスし、相続問題を抱える方には家族関係も考慮した解決策を提案できます。

コンサルティング能力

クライアントのビジネスを成功に導くためには、税務・会計の知識だけでなく、経営に関する幅広い知識が必要です。具体的には、クライアントの財務状況を分析し、経営課題を洗い出し、改善策の提案が求められます。

また、経営に関する最新情報の収集も大切です。たとえば、「補助金や助成金の制度を活用すれば、設備投資の負担を軽減できますよ」といった情報提供は、クライアントにとって非常に価値のあるものとなるでしょう。

専門分野の確立

専門性を高めることで、クライアントに質の高いサービスを提供できます。

たとえば

  • 医療機関専門の税理士
  • IT企業専門の税理士
  • 相続税専門の税理士

といったように、特定の業界や分野に特化すると、その分野に関する深い知識や経験を積むことが可能です。

また、専門分野を持つことで、他の税理士との差別化を図ることもできます。たとえば、海外進出支援に強い税理士という専門性があれば、グローバル展開を目指す企業にとって魅力的な存在となるでしょう。

税理士の年収に関するまとめ

税理士・公認会計士の平均年収は738万円ほどです。年齢や経験年数などによって異なり、経験年数0年では平均年収は400万円ほどですが、経験年数10年以上になると800万円が期待できます。

時代の変化とともに、税理士の役割も変化しています。コミュニケーション能力やコンサルティング能力、専門分野に特化した税理士を目指してはいかがでしょう。

参考:厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」

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