顧問先のIT支援は、もはや難しいものではない!
会計事務所が実践するITコンサルティングとは!?

【第2回】ITコンサルティングにおける会計事務所の優位性

株式会社クレスコ シニアテクニカルエグゼクティブ 山内 貴弘 氏

はじめに

第1回では、会計事務所が「企業の情報システム部門」になることをお薦めしましたが、それでも「本当にやれるのかな?」と疑問に思われている方がたくさんいらっしゃるのではないかと思います。そこで今回は、ITコンサルティングを事業として成立させる上での、会計事務所の優位性についてお伝えします。

会計事務所はITコンサルティングに圧倒的な優位性がある

 ITのベンダーは、さまざまなルートでクライアントを獲得しています。例えば、ソフトウェアをトライアルでお使いいただいた方や、WEBサイトからお問い合わせをいただいた方にアプローチしたり、既存の顧客やパートナー企業からの紹介、時には地道なテレアポなども行っています。どのようなルートであれ、基本的には初めて接点を持つお客様ですから、私たちは企業の内情を詳しいところまで把握することができません。どのような経営課題があり、どのようなITを求めているのか。関係の深いクライアントやご紹介の案件なら話は別ですが、基本的にはこれを知る手段がないのです。

一方で会計事務所は、普段からたくさんの会社に顧問として関与されていますし、年に数回は会社を訪問し、経営者とお会いされていますよね。だから、課題や欲しいシステムを知る機会がたくさんあるのです。それどころか、皆さまは毎月の会計処理をチェックされており、企業のあらゆる財務情報を把握されています。これが、私たちからすると非常に羨ましいポイントなのです。

というのも、私たちのようなITベンダーは、クライアントの予算が分からず、どの程度の予算感、サイズ感の提案ができるかいつも探り探りなのです。経営者と親しい営業がいる場合は良いのですが、そうでないことも少なくなく、どの程度の提案を求めているか計り知ることができません。

“攻め”のIT活用を支援できるのも大きなポイント

会計事務所がITコンサルに向いている理由はそれだけではありません。

ITやDXはとかく「生産性向上」という文脈で語られがちですが、ビジネスにおいてそれ以上の付加価値をもたらしてくれるものです。

例えば、いま「LINE集客」というソリューションが店舗型のビジネスで非常に人気があります。このシステムを使うと、飲食店がLINEを使って予約や注文をとることができるので省力化につながるのですが、これ以外にも大きなメリットがあります。LINEで予約するということは、すなわちLINEアカウントに紐づいた顧客情報が取れるということです。注文もLINE完結にすれば、顧客ごとに注文履歴データを取ることができます。

また、LINEで友だち登録していただくので、クーポンを直接配信したり、ステップメールなどのマーケティング活動も行うことが可能です。データを分析することで商品開発などにも活用できるでしょう。商品別の販売数などはPOSデータでも取れますが、残念ながらそれを顧客データに紐づけることはできません。でも、LINEを活用すれば、そのようなことができてしまうのです。

生産性向上が“守り”のIT活用なら、各種データの収集・利活用は“攻め”のIT活用といったところでしょうか。多くの会計事務所は、ITに限らず“守り”は支援できますが、“攻め”を十分に支援できていないのが実状だと思います。だからこそ、ITコンサルティングにチャレンジして、“攻め”の部分も支援していただきたいのです。

先生方が得意とする財務の健全化、コストカットといった部分に加え、マーケティング戦略やCSの向上、ユーザー利便性といった部分でもプラスの提案ができるので、よりクライアントに貢献できますし、財務コンサルティングなどに比べても圧倒的に報酬が得やすいのではないかと思います。通常の税務・会計顧問とは明らかに別領域ですから、「顧問料の範囲で」とうやむやにされることはまずありません。

ノーコード、ローコードの登場でITコンサルはもっと手軽に

このように、会計事務所にはITコンサルティングに取り組む大きな優位性やメリットがあります。そのため、最近では特に中〜大規模の事務所で取り組みが先行していますが、このような事務所には必ずといって良いほどSEが在籍しています。

また、税理士の先生方からも「ITコンサルに取り組むにはやっぱりSEが必要ですか?」とよくご質問いただくのですが、私は決して「ITコンサルの担当者が元SEやIT業界の経験者である必要はない」と思います。

なぜなら、すでにITが難しいものではなくなってきたからです。よほど独自のシステムを導入したいならば自社開発するケースもあると思いますが、現在はレディメードのシステムを導入することが主流です。

それから、皆さまも聞いたことがあるかもしれませんが、最近はノーコード、ローコードと呼ばれるシステムやアプリケーションが主流になりつつあります。

ノーコードとは、開発にソースコードを書く必要がないWebサービスやアプリケーションのことで、ローコードとは、少ないソースコードで開発ができるWebサービスやアプリケーションのことですが、いま、こうしたノーコードやローコードのアプリケーションが大量に登場しており、もはやこれが当たり前になるのは時間の問題です。

「ITコンサルなんて難しいよ」と構えてしまう方もまだまだ少なくないと思いますが、プログラミング等の知識がない方でも十分にコンサルティングができる下地は、すでに出来上がりつつあるのです。

※次回第3回では、私が講師を務める「ITコンサルタント養成講座」の内容や、効果的な受講の仕方についてご紹介させていただきます。

セミナー情報

今回ご寄稿いただきました山内先生のハイグレードセミナー「ITコンサルタント養成講座」が6月25日(火)より、全8回にわたって開催されます!

会計事務所がITコンサルティングをスタートするための知識とスキルを、目指すレベルや提供したいサービスに合わせて、8つの講座の中から選んで受講することができるプログラムとなっておりますので、皆様のご参加を心よりお待ちしております。

「IT コンサルタント養成講座」(全8回/全日 9:00~17:00)
①2024/6/25(火) ②2024/7/10(水)・7/11(木) ③2024/8/6(火) ④2024/8/27(火) ⑤2024/9/10(火) ⑥2024/9/25(水) ⑦2024/10/8(火) ⑧2024/10/22(火)

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山内 貴弘

株式会社クレスコ シニアテクニカルエグゼクティブ
筑波大学大学院システム科学研究科修了。大学卒業後に入社したIBMでは、 職種はシステムエンジニアにもかかわらずソフトウェア営業日本一を二度獲得。 同期中最速で課長職に昇進し、IBM認定プロジェクトマネージャーとなる。 トラブルプロジェクトを2週間で立て直す、1週間で17億円のコスト削減をする、 大手通信会社の料金計算システム構築といった大規模プロジェクトを数多く成功させるなど 大きな成果を残す。
現在は、株式会社クレスコでグループ会社含めた2,800名の技術リーダーとして 多くのエンジニアを育成するとともに、スクラムマスターとしてお客さまのアジャイル開発を推進。 著書に『一夜漬けAWSクラウドプラクティショナー直前対策テキスト』他多数。

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