収益認識に関する会計基準の概要<収益認識に関する会計基準 第2回>

佐藤経営税務会計事務所 代表税理士
佐藤 充宏

2021/7/17

第2回:従来の会計基準からの変更点と収益認識に関する会計基準の概要等

1、従来との収益認識に関する変更点

【従来:企業会計原則第二損益計算書原則三B】
売上高は、実現主義の原則に従い、商品等の販売又は役務の給付によって実現したものに限る。
ただし、長期の未完成請負工事等については、合理的に収益を見積もり、これを当期の損益計算に計上することができる。

【変更後:収益認識に関する会計基準35項】
企業は約束した財又はサービスを顧客に移転することにより履行義務を充足した時に又は充足するにつれて、収益を認識する。
資産が移転するのは、顧客が当該資産に対する支配を獲得した時又は獲得するにつれてである。

つまり、変更点のポイントとして、
『収益認識のタイミング』
『財又はサービスの移転のタイミング』
を認識する事等があります。

2、収益認識に関する会計基準の概要
(1)会計処理の基本原則【収益認識に関する会計基準16項】
約束した財又はサービスの顧客への移転を当該財又はサービスと交換に企業が権利を得ると見込む対価の額で描写するように、収益を認識することである。

そして、次の5つのステップにより収益を認識する事としています。

(2)収益認識の5つのステップ【収益認識に関する会計基準17項】
なお、この各ステップは1から5の順で規定しているのではなく、
・収益の認識基準については、次の2つ、
計上単位・・・ステップ1と2
計上時期・・・ステップ5
・収益の額(計上金額)の算定については、ステップ3と4
という構成になっています。

① ステップ1(計上単位)
「顧客との契約を識別する。」
(所定の要件を満たす顧客との契約を識別して収益を認識します)

② ステップ2(計上単位)
「契約における履行義務を識別する。」

※ここでいう履行義務とは、顧客との契約において一定の財又はサービスを顧客に移転する約束の事であり、収益の認識単位(計上単位)というイメージです。

③ ステップ3(計上金額)
取引価格を算定する。

※ここでいう取引価格とは、財又はサービスの顧客への移転と交換に企業が権利を得ると見込む対価の一定額というイメージです。

④ ステップ4(計上金額)
契約における履行義務に取引価格を配分する。

⑤ ステップ5(計上時期)
履行義務を充足した時に又は充足するにつれて収益を認識する。

3、収益認識に関する会計基準が適用されない取引【収益認識に関する会計基準3項】
(1) 「金融商品に関する会計基準」の範囲に含まれる金融商品に係る取引
(2) 「リース取引に関する会計基準」の範囲に含まれるリース取引
(3) 保険法における定義を満たす保険契約
(4) 同業他社との一定の商品又は製品の交換取引
(5) 金融商品の組成又は取得に際して受け取る手数料
(6)「不動産流動化実務指針」の対象となる不動産の譲渡
(7) 資金決済に関する法律における定義を満たす暗号資産及び金融商品取引法における定義を満たす電子記録移転権利に関連する取引

以上

次回は、収益認識に関する会計基準をより分かり易く理解して頂くために、数値例等を織り込んでお知らせしますので、よろしくお願い致します。

出典元:
企業会計基準委員会:改正企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準」等公表資料

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