【令和6年度】税理士試験とは?試験難易度、免除要件など
ビズアップ総研
税理士.ch 編集部
(2024/5/7)
税理士は、専門知識を駆使して、税務署などに申告や申請を行う税務代理業務をはじめ、税務書類の作成や税務相談、そして顧問先企業の会計決算に関する業務など、税務や会計に関連する幅広い業務に従事します。
そんな税務のエキスパートとも言える税理士になるために必要な条件の一つに、税理士試験の合格があります。この記事では、難関としても知られる税理士試験について解説します。
目次
- 税理士になるための道「税理士試験」を突破しよう
- 令和 6 年度の税理士試験スケジュール
- 税理士試験の受験資格
- 税理士試験の特徴
- 税理士試験の科目免除の条件
- 税理士試験の受験料について
- 税理士試験の試験会場
- 申込み方法の手順
- まとめ
税理士になるための道「税理士試験」を突破しよう
税理士の資格を取得するには、通常、税理士試験に合格して、2年以上の実務経験を積む必要がありますが、学歴や職歴によって、試験の一部もしくは全部が免除される場合もあります。
さらに、試験には受験資格が設定されていますが、2023年度(令和5年度)からはその要件が緩和され、より多くの人が受験するチャンスが広がりました。税理士試験に関する基本情報を知っておくことが重要ですので、以下で解説していきます。
令和 6 年度の税理士試験スケジュール
令和 6 年度(第 74 回)の税理士試験は、以下のスケジュールで実施されます。
- 試験実施日程の官報公告:令和6年4月5日
- 受験申込の受付開始:令和6年4月22日
- 受験申込の受付締切:令和6年5月10日
- 試験実施日:令和6年8月6日~8月8日
- 合格発表日:令和6年11月29日
※スケジュールは変更される可能性があります。また、受験申込の受付期間が従来よりも前倒しになっていることに注意が必要です。
税理士試験の受験資格
令和5年度(第73回)税理士試験から、受験資格に関する制限が緩和されました。会計学に属する簿記論・財務諸表論は、以前の制限が撤廃され、どなたでも受験が可能となりました。従って、会計学に関連する科目のみを受験する場合、特定の証明書等の提出は必要ありません。
税法に属する科目については、以下の「1 主な受験資格」に掲げた条件に従い、学識や資格、職歴など、多岐にわたる要件を満たすことで受験資格が認められます。
受験資格を証明する書類は、受験願書と一緒に提出する必要があります。事前に用意しておくようにしましょう。
学識による受験資格
- 大学、短大、または高等専門学校を卒業し、社会科学の科目を1科目以上履修した方
- 大学3年生以上で、社会科学の科目(※1)を1科目以上含み、62単位以上を取得した方
- 一定の専修学校の専門課程を修了し、社会科学の科目を1科目以上履修した方
- 司法試験に合格した方
- 公認会計士試験短答式試験に平成18年度以降に合格した方
資格による受験資格
- 日商簿記検定1級に合格した方
- 全経簿記上級に昭和58年度以降に合格した方
職歴による受験資格
- 法人または個人の会計に関する事務に2年以上(※)従事した方
- 銀行、信託会社、保険会社等で資金の貸付けなど関する事務(複式簿記による仕訳・決算の事務等)に2年以上(※)従事した方
- 税理士、弁護士、公認会計士などの業務補助の事務に2年以上(※)従事した方
※2年以上の合計勤務経験があれば、異なる雇用先でも受験資格が与えられます。
税理士試験の特徴
選択式科目制度は、試験科目が全11科目ある中から受験方が5科目を自由に選択して受験する制度です。税理士試験に合格するためには、会計科目である「簿記論」と「財務諸表論」の2科目と、税法科目(所得税法・法人税法・相続税法・消費税法、もしくは、酒税法・国税徴収法・住民税、もしくは、事業税・固定資産税)の内の「法人税法」または「所得税法」のどちらか1科目以上を含む、税法3科目の合計5科目に合格する必要があります。各科目の合格基準点は、満点の60%です。
試験のスケジュールは、科目合格制度を採用しています。これは、一度の受験で5科目の全てに合格しなくてもよく、1科目ずつ受験することができる制度です。また、一度合格した科目は永久に有効です。
ポイントとしては、「簿記論」の合格を最初に目指すことが重要です。税理士試験の受験科目は全11科目ありますが、まずは「簿記論」を合格し、「財務諸表論」を次に目指すことが試験対策の基本です。また、十分な学習時間が確保できる場合は、両科目を同時に受験することをおすすめします。
合格した科目は永久に有効であり、1年に1科目ずつの受験も可能です。これにより、忙しいスケジュールやライフイベントの影響で学習時間を確保できない場合でも、税理士試験の受験を断念せず、自分のペースで進めることができます。また、科目合格制度の柔軟性により、受験者は自身の能力やスケジュールに合わせて受験計画を立てることができます。
税理士試験の科目免除の条件
試験免除の対象となる資格には、弁護士資格や公認会計士資格が含まれます。全ての科目が免除されます。
また、学位取得による科目免除では、平成14年3月までに大学院に進学し、商学の修士または博士号を取得した人は会計系科目(簿記論、財務諸表論)が免除されます。法学または経済学の修士または博士号を取得した人は税法系科目(選択必修および選択科目)が免除されます。
さらに、平成14年4月以降に大学院に進学し、会計系または税法系の修士論文を執筆し、学位を取得し、それぞれの科目に1科目以上合格した人は、残る会計系または税法系の科目が免除されます。
会計学に属する科目等の学位を持つ者は残る会計系の科目が免除され、同様に税法に属する科目等の学位を持つ者は残る税法系の科目が免除されます。
国税従事による科目免除の場合、10年または15年以上税務署で勤務した国税従事者は税法系科目が免除されます。23年または28年以上税務署で勤務し、指定された研修を修了した国税従事者は会計系科目が免除されます。
税理士試験の受験料について
税理士試験の受験料は、受験申込科目数に応じて以下のように設定されています。税理士試験の受験願書に、受験申込科目数とそれに対応する受験手数料を記入し、収入印紙を貼付してください。現金や郵便切手、証紙などは受け付けられませんので、ご注意ください。
- 受験申込科目数: 1科目 → 受験手数料: 4,000 円
- 受験申込科目数: 2科目 → 受験手数料: 5,500 円
- 受験申込科目数: 3科目 → 受験手数料: 7,000 円
- 受験申込科目数: 4科目 → 受験手数料: 8,500 円
- 受験申込科目数: 5科目 → 受験手数料: 10,000 円
税理士試験の試験会場
令和6年分はまだ公表されていません。令和5年分は以下の通りでした。
北海道・宮城県・埼玉県・東京都(3か所)・石川県・愛知県・大阪府(2か所)・広島県・香川県・福岡県・熊本県・沖縄県
申込み方法の手順
試験を受けるための申込書類は受験地を管轄する国税局または沖縄国税事務所に、受験者ごとに郵送してください。申込書類は直接国税局に持参しても受け付けません。複数の国税局に申込書類を提出することもできません。
受付期間は、令和6年4月22日(月)から令和6年5月10日(金)までであり、その間の通信日付印がある申込書類(料金後納や別納郵便の場合は、令和6年5月10日(金)までに到着)のみ受け付けます。
申込書類を送付する際には、以下の点に留意し、できるだけ早く申し込むようにしてください。
- 申込書類が正確に記入されていること(不備のある場合は受理されません)
- 受験票の裏面に受験方の郵便番号、住所、氏名が記載され、63円分の切手が貼られていること(切手のない又は不足している受験票は送付されません)
- 封筒(A4判大)の表面に「税理士受験」と赤で書かれており、一般書留、簡易書留、または特定記録郵便で送付されていること(封筒には差出人の住所と氏名が記載されていること)。
- 複数人の申込書類が1つの封筒に同封していないこと
なお、申込内容の変更や取り消しは受け付けられません。
一部の科目に合格している方は、直近の税理士試験結果通知書や一部科目合格通知書のコピーが必要です。また、一部の科目の免除を受けている方は、税理士試験結果通知書や一部科目免除決定通知書のコピーが必要です。ただし、一部科目合格通知書が昭和60年度以前の場合は、全科目合格分のコピーが必要です。
まとめ
税理士の資格獲得には、一般的には税理士試験に合格することと2年以上の実務経験が必要です。受験資格要件が大幅に緩和されたのは、令和5年度(2023年度)からです。
受験科目は将来の専門分野を考慮して選択する必要があります。税理士資格を目指す際には、まずは受験資格を確認してみることが重要です。
過去に受験を断念した方も、令和5年度の要件緩和によって再挑戦しやすくなっています。
今回の記事が皆様の税理士試験に関する理解を深めるきっかけとなれば幸いです。
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