創業支援業務で気を付ける事とは?国・行政支援の活用も

ビズアップ総研 編集部

(2024/4/9)

創業支援業務で気を付けるべきことは、視野が狭くなりがちな創業者に対して、幅広い情報と多方面からの専門的なサポートを提供することです。創業者の段階に合わせた的確な支援を行い、国や地方自治体の創業サポート情報の提供も忘れないようにしましょう。

1.創業支援業務では創業者に幅広い情報を提供する

創業支援業務とは、創業前の方や、創業後1年程度といった間もない方を対象し、支援する業務で、メインとなるのが開業資金調達のための事業計画書の作成です。
会計や税務を専門とする公認会計士や税理士の方ですと、資金計画や税金対策といった会計・財務面に主眼を置きがちですが、創業に際しては、幅広い分野からのサポートが必要になります。
創業者の方は、自らが行おうとする事業については詳しく知っていても、事業を成功させるために必要な経営戦略・マーケティング、会計・財務、人事・労務、法務・総務等に関する知識は有していないことも少なくありません。
創業者の視野が狭いままでは、成功はおぼつきません。そのため、創業支援業務では、会計・財務に関する情報を提供することはもちろんですが、創業者の視野が広がるように様々な分野からの情報を提供することが大切です。

2.創業者に幅広い情報を提供する体制の整備

創業者の方に幅広い分野からの情報を提供するためには、公認会計士や税理士の方でも、会計・財務に関する知識だけでなく、経営戦略・マーケティング、人事・労務、法務・行政手続き等の知識を吸収しておくことはもちろん大切です。
しかし、より質の高い創業支援サービスを提供するには、専門分野については、それぞれの専門家に情報提供をしてもらうべきです。
そこで、重要になるのが、専門家同士の連携です。
経営戦略・マーケティングについては中小企業診断士、人事・労務については社会保険労務士、法務・行政手続きについては弁護士や司法書士、行政書士というように、それぞれの分野の専門家からワンストップでサービスを提供できる体制を整備しておくことが重要になります。

3.創業者の段階に合わせた支援を行う

創業者と言ってもまだ構想を練っているだけの方もいれば、すでに創業した方もいるなど、それぞれ異なる段階にいます。
独立行政法人中小企業基盤整備機構が発行する「支援者のための創業サポートブック」
(2021年10月改訂版)によると、創業者は次の4フェーズ(段階・ステージ)に分けられます。

  • フェーズ1 漠然と創業したいと考えている段階
  • フェーズ2 どのような事業で創業するかが決まっているが具体化していない段階
  • フェーズ3 やろうとしている事業内容が創業計画として具体化されている段階
  • フェーズ4 創業に向けて動き出す段階

創業支援の相談を受けた際には、創業者の方がこの4フェーズのいずれの段階にいるのかを確認し、それぞれの段階に合わせた支援を行う必要があります。

  1. フェーズ1の創業支援

    フェーズ1の段階にいる創業者に対しては、主に相談業務を通じて、創業に活かせる強みの整理、創業に至る経緯のストーリー化の支援を行います。
    あわせて、創業における支援者の有無を確認し、特に、専門的な知見を有する士業やコンサルタント等の支援者が欠けている場合は、紹介する等のサポートが必要になります。
  2. フェーズ2の創業支援

    フェーズ2の段階では、創業者が、事業コンセプトを整理し、強みや独自性、顧客に提供できる価値を確認し、利益を生み出せるビジネスモデルを構築できるように支援します。
    あわせて、3C分析、SWOT分析を行うことにより、ビジネスモデルのブラッシュアップを図ります。
  3. フェーズ3の創業支援

    フェーズ3は、創業者のビジネスを始動させるために具体的な創業計画書に落とし込む段階です。
    4P分析、4C分析などのマーケティング・ミックスのフレームワークを用いて、具体的な創業計画に落とし込みます。また、販売・マーケティングの観点だけでなく、資金計画と収支計画、組織や人材を想定した実施体制、予想されるリスクや対処法についても、創業計画に盛り込むようにします。
  4. フェーズ4の創業支援

    フェーズ3で作成した創業計画書に基づいて、開業するまでのタスクをリストアップし、スケジューリングしたうえでアクションプランを作成し、実行に移す段階です。
    スケジュール通りにタスク処理が進まない場合は、様々な専門家の助言を受けながら、原因を究明し、アクションプランはもちろん、必要に応じて創業計画書そのものを見直す必要があります。

4.国や地方自治体の創業サポート情報も忘れずに提供する

創業の際は、国や地方自治体によるサポートを受けられることがあります。
産業競争力強化法に基づき、各自治体が実施している特定創業支援事業が代表例です。
例えば、

  •  創業支援等事業者(地域金融機関、NPO法人、商工会議所・商工会等)と連携した、ワンストップ相談窓口の設置
  •  創業セミナーの開催
  •  起業家教育事業

などを行っています。

創業者は、これらの特定創業支援事業を利用することにより、創業に必要な知識が身につくことはもちろんのこと、登録免許税の軽減措置、日本政策金融公庫の融資制度である新規開業支援資金の貸付利率の引き下げ等の支援策を受けられます。

創業支援を行う側としては、各自治体の特定創業支援事業を確認し、利用を促すことも忘れないようにしましょう。

また、独立行政法人 中小企業基盤整備機構でも、創業支援を行う側に役立つ情報の提供を行っているので併せてチェックしておきましょう。

支援機関の方へ
https://www.smrj.go.jp/supporter/

5.まとめ

創業支援業務では創業者に幅広い情報を提供することが大切です。そのためには、様々なジャンルの専門家と連携して、ワンストップでサービスを提供できる体制を整えましょう。
また、創業者の段階に合わせた支援を行う必要があるため、創業者がどの段階に達しているのか把握することが大切です。
国や地方自治体の創業サポート、中小企業基盤整備機構が提供する情報にも注目し、創業者に提起できるようにしましょう。

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